犬に肉球がある理由は?役割・なめる理由・お手入れ方法などを紹介
犬の肉球は毛が生えていないため、ほかの部位と違った触り心地です。
「愛犬の肉球のにおいが癖になる」という方も多いのではないでしょうか?
そんな肉球は犬の全身を支えるだけでなく、体温調節や衝撃の吸収など犬にとって重要な役割があります。この記事では、意外と知らない肉球の構造や肉球のお手入れについて紹介します。
犬の肉球の基礎知識
犬の肉球は全身を支えたり、体温調節の役割をになったりしています。
「愛犬の肉球が愛おしい!」と思っている方は多いですが、ただかわいいだけではないのです。
まずは、この肉球について、構成や構造などの基礎知識を紹介します。
構成
犬の肉球は以下の部位で構成されています。
【前脚】
- 掌球(しょうきゅう):中心にある大きな肉球
- 手根球(しゅこんきゅう)狼爪(足の内側、上の方にある爪)の少し下にある小さい肉球
- 指球(しきゅう):爪が生え際にある5つの肉球
- 【後脚】
- 足底球(そくていきゅう):中心にある大きな肉球
- 趾球(しきゅう):爪の生え際にある4つの肉球
構造
犬の肉球はほかの部位の皮膚と同じように表皮・真皮・皮下組織という3つの層からできており、この基本的な構造は私たち人間も一緒です。
肉球の外側は、角質化した厚い皮膚で覆われています。
その下には脂肪と弾性繊維(エラスチン)・膠原繊維(コラーゲン)などの弾力のある組織で構成されているため、さわるとぷにぷにとした触感があります。
色
肉球の色は子犬の頃はピンクで、成長するにつれて黒くなる犬が多いですが、色の違いは遺伝的な要素が強いとされています。
黒い肉球の中にピンクのぶちがある犬もいるように、その色や模様はさまざまです。
硬さ
肉球は成長に従って固くなるのが一般的ですが、生活環境によっても左右されます。
生まれたての子犬は肉球がとても柔らかくぷにぷにしていますが、成長するにつれて硬くなっていきます。
また、あまり散歩をせず、室内で過ごすことが多い犬は比較的肉球が柔らかいままのことが多く、散歩やドッグランなど外を歩くことが多い犬は硬くなる傾向です。
それぞれ環境に適応した結果といえます。
ところで、肉球といえば猫の肉球を思い浮かべる方も多いのではないでしょうか。
犬と比べ猫の肉球は柔らかくしっとりしています。
その理由は、猫は高いところから飛び降りたり、足場の狭い場所を歩いたりする習性があるため、よりクッション性や滑り止めとしての役割が求められるからです。
肉球一つとっても、その生き物の習性がより活かされる造りになっています。
骨
ほかの脚の部位に比べて柔らかい肉球ですが、きちんと骨もあります。
その骨に沿って腱や血管などがあり、肉球が形成されています。
肉球の役割
では肉球にはどんな役割があるのでしょうか。
重要な4つの役割を紹介します。
体温調節をする
犬を飼っている方なら、犬が暑がっているときに舌を出し「ハァハァ」と呼吸している様子を一度は見たことがあるのではないでしょうか。
そのしぐさはパンティングと呼ばれるもので、熱を外へ放出することで体温調節をしています。
パンティングだけで十分に体温調節しきれない場合は、肉球から汗をかき体温をコントロールします。
人間には全身に汗腺がありますが、犬には鼻の頭と肉球にしか存在していません。
足を衝撃から守る
肉球は全体重のかかる足先を保護すると同時に、クッションの役割も果たしています。
犬が走ったり、飛び跳ねたりしたときに肉球が緩衝材のように衝撃をやわらげ、脚全体や脚の関節を保護してくれます。
ブレーキをかける
肉球表面のざらざらした部分は、犬が急カーブや急ブレーキをした際の滑り止めとしての役割を果たしてくれます。
また体温調節機能の部分でも説明したように、肉球は汗をかくため、その湿気で滑りにくくなる効果もあります。
地面の熱や冷気を感じにくくする
犬の肉球は角質層が分厚いため、地面の熱や冷気から足を守ってくれます。
人間であれば、真夏のアスファルトを裸足で歩こうとすると、熱くて歩けなくなってしまいますよね。
犬が熱い場所でも歩けるのは、この角質層が足を守ってくれているからなのです。
犬が肉球をなめる理由
犬が自分の肉球を舐めることがあります。
自分のお手入れ(グルーミング)のために舐めることが多いですが、いつまでも舐め続けているときや噛んでいるときは、以下のような原因が考えられるため注意が必要です。
ストレスを抱えている
犬がストレスを感じると、ストレス解消のために肉球を舐めることがあります。
原因はさまざまですが、散歩に行けない日が続いたり、長時間のお留守番をしたりすることでストレスを感じる犬が多いです。
また、一緒にいても構ってあげられないことが多かったり、不必要に怒鳴ったり、いつまでも叱ったりすることも原因になります。
肉球にトラブルがある
ほかにも肉球に何らかのトラブルがあると肉球を舐めてしまうことがあります。
なかには舐めることで症状がさらに悪化するケースもあるので注意が必要です。
このトラブルについては、次の項で紹介します。
犬の肉球に起こりえるトラブル
犬の肉球には大切な役割がたくさんありますが、さまざまなトラブルも起こり得る部位です。
愛犬の肉球を観察することは、愛犬の健康を守ることでもあります。
ここでは、犬の肉球にはどんなトラブルが起こり得るのかを解説しますので、ぜひ愛犬の健康管理に役立ててください。
やけど
真夏の炎天下でアスファルトや砂浜など熱い地面を歩くと、肉球がやけどしてしまうことがあります。
犬が歩くことを嫌がったり、肉球に赤みが出たり不自然に黒くなっている場合はやけどの可能性があります。
ほかにも肉球が腫れていたり水疱が出たりしている場合もやけどの症状なので、必要に応じて獣医師に相談しましょう。
指間炎
指間炎とは指と指の間に炎症を起こす皮膚病のことです。
指間炎になると痛みやかゆみを感じるため、それを紛らわせようと肉球をしつこく舐めたり噛んだりすることがあります。
指の間を湿ったまま放置することが原因となることが多いです。
乾燥・ひび割れ
犬の肉球も人間と同じように乾燥するとひび割れてしまうことがあります。
高齢犬や冬場の空気が乾燥する季節は特に乾燥しやすいため注意が必要です。
アレルギー
アレルギーによる炎症を起こしている場合もあります。
人間のアレルギー皮膚炎と同じように何らかのアレルギー物質が原因となるため、その原因物質を取り除く必要があります。
餌にアレルギー物質が含まれている場合が多いですが、花粉やハウスダストによって引き起こされることもあるため、原因を特定するには動物病院での検査が必要です。
角質化
肉球が乾燥したり、アスファルトのような固い地面を歩いたりすると、肉球の表面が角質化といって硬くなることがあります。
角質化が起こると肉球の表面がガサガサになるため、フローリングで転倒する危険性が高まります。
高齢の犬の場合、転倒して骨折してしまい歩けなくなることもあるため、「ただの乾燥」と放っておかずきちんとお手入れをしてあげましょう。
また、角質化が悪化するとその部分が盛り上がってしまうこともありますが、その場合は角質化した部分をカットしてケアすることができます。
腫瘍
腫瘍のなかにはガンのような悪性のものと、放っておいても数ヶ月で消えてしまったり、問題がなかったりする良性のものがありますが、見分けることは困難です。
腫瘍のようなものができていたらすぐに獣医師に相談しましょう。
犬ジステンバー
犬ジステンパー感染症とは、犬ウイルスによる伝染性疾患です。
感染経路には空気感染や飛沫感染があります。
死亡率が非常に高く、急速に症状が悪化して感染後2週間で死亡してしまうことも多いです。
その症状の一つとして肉球が固くなるケースがあります。
非常に恐ろしい感染症ですが、ワクチン接種で予防できます。
生後6〜12週あたりに複数回ワクチンを接種することで犬ジステンパーウイルスの抗体が作られます。
母犬から受け継いだ抗体は生後6〜12週あたりに消えてしまうため、早めの接種を心がけましょう。
肉球のお手入れ方法
肉球トラブルにならないためには、どのようなお手入れが良いのでしょうか。
ここでは3つのお手入れ方法を紹介します。
散歩後にウェットシートで肉球を拭く
まずは犬の肉球を清潔に保ちましょう。
その際、肉球の間に小石が挟まっていないか、肉球の色や形に異常はないかなどを観察することで、いち早く異常に気付けます。
乾燥しているときは保湿クリームを塗る
肉球をきれいにしたいからといって、過度に拭いたりシャンプーをしすぎたりすると、肉球が乾燥してしまうので控えた方が良いです。
冬場の乾燥しやすい季節だけでなく、肉球を拭いた後でも乾燥しているようであれば、肉球専用の保湿クリームを塗ってあげましょう。
またシニア犬は保湿機能が低下してしまうため、定期的なお手入れが必要です。
クリームをなめてしまう犬も多いため、クリームを購入する際には口に含んでも大丈夫なものか必ず確認しましょう。
なかには香りの強いものもありますが、犬は嗅覚が優れているため、そのようなクリームは避けることをおすすめします。
肉球にかかる毛はカットする
肉球に毛がかかっている場合は、犬が滑ってしまうためカットが必要です。
カットする際には、刃が細かく皮膚を傷つけにくい構造になっているペット用のバリカンを使うと安心です。
それでも不安な場合や犬が嫌がってしまう場合は、トリミングサロンに連れて行ってカットをお願いしましょう。
肉球マッサージをする
人間と同じように犬の足の裏(肉球)にはたくさんのツボがあります。
そのため、マッサージすることで、疲労回復やリラックス効果などさまざまな効果が期待できるのです。
マッサージを行う前には、爪が伸びすぎていないか、足に傷や腫れがないかなども確認しましょう。
マッサージ自体はとても簡単です。
犬がリラックスしている状態で足を優しく包み込むように持ち、親指で優しく押してあげましょう。
このとき素早く手を動かすのではなく、犬の呼吸に合わせてゆっくりとマッサージすると、犬がよりリラックスしてくれます。
散歩後や夜の疲れているときに行うと、そのまま犬が寝てしまうこともあるでしょう。
まとめ
この記事では、犬の肉球の構造や役割、お手入れ方法について紹介しました。
肉球に起こる可能性のあるトラブルを知るだけで、肉球に対する向き合い方も変わったのではないでしょうか。
言葉を話さない犬だからこそ、じっくりと向き合い、その些細な変化を見逃さないようにしましょう。
この記事のライター
nana
泳ぎも走りも得意な運動神経抜群のゴールデンレトリバーと暮らしています!今は愛犬とタンデムサーフィンの練習中。いつまでもアクティブに楽しく過ごせるような情報を発信していきます。
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