なぜ犬に「玉ねぎ」を与えてはいけないの?その理由や食べてしまった場合の対処法とは
犬が食べてはいけない代表的な食材の1つが玉ねぎです。犬が玉ねぎを食べてしまうと最悪の場合、死亡することもあるので十分に注意しなければなりません。
今回は犬が玉ねぎを食べてはいけない理由や、食べてしまったときに出る症状を解説します。万が一、愛犬が誤って食べてしまったときに慌てないよう、対処法も覚えておきましょう。
目次
犬に玉ねぎを与えてはいけない!
犬は玉ねぎを食べてしまうと健康被害をおよぼすので、絶対に与えてはいけません。生の状態はもちろんのこと、加熱した玉ねぎでもNGです。
また、玉ねぎ入りのスープや肉じゃがなどにも注意しましょう。玉ねぎの成分は煮汁に流れ出るので、直接玉ねぎを食べなくても汁を舐めたり、玉ねぎと一緒に調理した食材を食べてしまうことも危険です。
玉ねぎは、ハンバーグやカレー、味噌汁など、さまざまな調理に使われる食材なことから、常備しているという人も多いかと思います。愛犬が口にしないよう十分に注意してください。
玉ねぎだけじゃない!ねぎ属の食材はNG!
玉ねぎだけではなく、以下のようなねぎ属の食材も犬に食べさせてはいけません。
- 長ねぎ
- あさつき
- わけぎ
- にら
- にんにく
- らっきょう
玉ねぎを加工した調味料なども注意が必要?
玉ねぎを加工した食品は、ケチャップやソースなどの調味料から、カレーやミートソースなどのレトルト食品など、実にたくさんあります。このような加工品には、オニオンパウダーやエキスというかたちで含まれていることも多いので、加工品であっても中毒を起こす可能性があります。
犬に玉ねぎを与えてはいけない理由
なぜ犬に玉ねぎを与えてはいけないのか、その理由を知っておきましょう。
玉ねぎには犬にとって危険な成分が含まれている
玉ねぎには、「有機チオ硫酸化合物」という成分が含まれており、この成分が原因で中毒を引き起こします。そのため、犬に与えてはいけません。
また、テーブルなどにうっかり出しっ放しにしてしまった玉ねぎ入りの料理や加工品を、愛犬が勝手に食べてしまわないようにも注意が必要です。
有機チオ硫酸化合物
有機チオ硫酸化合物は、赤血球や赤血球内のヘモグロビン(血色素)を酸化させる作用があります。酸化された赤血球は構造が変化して脆くなることから、赤血球が壊れて貧血を引き起こします。
犬は、有機チオ硫酸化合物を消化する酵素を持っていないため、中毒物質となってしまうのです。
アリルプロピルジスルフィド
玉ねぎには、「アリルプロピルジスルフィド」という有機硫黄化合物が含まれています。この成分は、直接の中毒の原因ではありませんが、有機チオ硫酸化合物の吸収力を高める働きがあります。そのため、中毒症状を引き起こしやすくなるということです。
犬が玉ねぎを摂取してしまった場合の対処法と治療法
犬が誤って玉ねぎを食べてしまったら、まずは口の中に残っていないかを確認しましょう。飲み込まずに口に残っていて、愛犬がおとなしくしているようであれば、指で取り出してください。
食べた量によっては非常に危険な場合があり、時間が経つにつれて症状は悪化する傾向にあるので、早急かつ落ち着いて以下のように対処しましょう。
食べた量にかかわらず、動物病院に連絡する
食べてしまった玉ねぎの量にかかわらず、まずは動物病院に連絡して、どのような状態のものをいつどのくらいの量を食べたのか、現在の愛犬の様子はどうなのか、といったことを伝えましょう。
食べた量などによって獣医師から、ひとまず自宅で様子を見るように指示されることもあれば、早急に処置が必要と言われる場合もあります。必ず獣医師の指示に従って対処しましょう。
自己判断で吐かせない
愛犬が玉ねぎを飲み込んでしまったら、「吐かせなければ!」と焦ってしまいがちです。
ネット上などには、犬に食塩水をガブガブ飲ませる、オキシドールを混ぜた水を飲ませるなどの方法が紹介されていることがありますが、自己判断で行うのはとても危険です。濃度や飲ませる量を間違えてしまうと、さらに体にダメージを与えてしまいます。
自己判断で無理やり吐かせるのは、絶対にやめましょう。
犬が玉ねぎを摂取した場合に見られる症状
犬が玉ねぎを食べてしまってから中毒症状が現れるまで、数時間後の場合もあれば、数日経ってからという場合もあります。そのため、どのような症状が見られるのかを知っておくことはとても大切です。
下痢・嘔吐
下痢や嘔吐は玉ねぎを食べた直後ではなく、数時間後から起こることがあります。玉ねぎの成分が血中に回ると元気がなくなって嘔吐を繰り返す、下痢が続くなどの症状が現れます。
血尿や血便が出る場合がありますが、血便の場合は動物病院に行く際に、忘れずに持参して検査してもらいましょう。
貧血
大量の玉ねぎを食べると、ハインツ小体性溶血性貧血という玉ねぎ中毒を起こします。元気がなくなる、フラフラする、立てなくなるという症状が出たら玉ねぎ中毒を疑いましょう。放って置くと重度の黄疸を引き起こし、死に至る場合があります。
痙攣・震え
症状が重くなると痙攣や震えの症状も見られます。てんかんを起こしたように痙攣している場合は、すぐに病院へ連れていきましょう。
成犬の場合の致死量は?
犬の体重1kgあたり、玉ねぎ5gで体調不良が起こり、30gを3日間与えた場合に致死量に達すると言われています。
例えば、チワワのような超小型犬が玉ねぎを食べてしまった場合、15g(縦8cm、横7cmの小サイズの玉ねぎ約1/8カット分)以上食べると、ハインツ小体性溶血性貧血(ネギ中毒)を起こす可能性が高くなります。
体重40kgの大型犬であれば、玉ねぎ200g(通常サイズの玉ねぎ約1個分)が致死量です。しかし致死量は体の大きさだけでなく、その個体の玉ねぎに対する感受性によっても異なるので、この量以下でも危険な状態になる可能性もあります。
なお、柴犬や秋田犬などの日本犬の赤血球の構造は、玉ねぎ中毒に陥りやすい「HK型(高カリウム型)赤血球」である場合が多いため、少量の玉ねぎの摂取であっても特に注意が必要です。
愛犬が玉ねぎを食べてしまわないように要注意!
犬にとって玉ねぎは危険な食材です。気をつけなくてはいけないのは、玉ねぎが入った料理の盗み食いや食べこぼしです。気づかないうちに愛犬が食べてしまい、健康を損ねる可能性があります。
特に犬連れでのキャンプやBBQでは、つい目を離してしまうことが多いので、「料理に玉ねぎを使用しない」などと決めて食材の工夫をすれば、安心して楽しい時間を過ごせるでしょう。
愛犬を中毒から守れるのは飼い主しかいません。玉ねぎの取り扱いには十分に注意しましょう。
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この記事のライター
nao
「愛犬の気持ちを理解したい」「寄り添ったコミュニケーションを取りたい」という思いからドッグライターとして犬に関する知識を学び、発信しています。愛犬の笑顔を守るために、そして同じ思いを抱く飼い主さんのために、有益な情報を発信していけたらと思っています。
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