【獣医師監修】マッサージにはメリットがたくさん?犬が眠くなるマッサージのポイントを知ろう
人間には眠気を誘うと言われているツボがいくつかありますが、犬にもそのようなツボが存在するのか気になったことはありませんか?SNS上では飼い主さんにマッサージされてリラックスしていたり眠ってしまう子の動画が数多く投稿されているので、犬にも気持ちよいと感じるポイントはありそうですよね。本記事では犬をマッサージすることによるメリットとやり方をご紹介します。簡単にできるマッサージの方法を知って、愛犬との信頼関係の構築や健康管理に役立てましょう。
マッサージによるメリットはなに?
「犬をマッサージする必要があるの?」と思う方もいらっしゃるかもしれませんが、実際にドッグマッサージが取り入れられている動物病院やサロンもあり、ドッグマッサージセラピストという職業も存在します。まずはじめに、犬をマッサージしてあげることで得られるメリットをご紹介しましょう。
血行促進
人間と同じでマッサージには血行の促進や老廃物の排出、筋肉をほぐす効果などが期待できます。血液やリンパの流れがよくなることで免疫力も高まると言われているため、運動不足や血行不良になりがちなシニア犬にも効果的です。
また、マッサージすることで胃腸や腎臓などの調子も整うと言われています。
ドッグマッサージセラピストについて詳しくはこちらの記事をチェック!
病気の早期発見に繋がることも
マッサージは犬の身体をくまなく触るので脂肪のつき具合はもちろん、被毛の状態や皮膚の炎症、しこりなどの異変にも気づきやすくなり、病気の早期発見に繋がるケースも珍しくありません。
身体の変化にいち早く気がついてあげられる可能性が高まるところもマッサージのメリットの1つです。
上記のほかにも、筋緊張の緩和・痛みの軽減や神経伝達速度の上昇、代謝機能亢進などの効果も見られると言われています。
リラックス効果も
大好きな飼い主さんに触られることで幸せホルモンであるオキシトシンやエンドルフィンが分泌されることに加え、マッサージによって体の凝りがほぐれるのでリラックスすることができます。
また、スキンシップの時間にもなるので愛犬との絆も深まります。
ちなみに幸せホルモンの分泌はマッサージをしている側の飼い主さんにも認められるため、愛犬だけではなく飼い主さんにもメリットがあると言えます。
こちらの記事もチェック!
ウォーミングアップ&クールダウン
わたしたちが運動前に軽めの運動やストレッチを行うように、犬も運動の前後にマッサージをしてあげることでウォーミングアップやクールダウンの効果を得ることができます。
具体的には、運動前のマッサージは筋肉が柔らかくなり関節の可動域が広がるため、怪我の予防や心臓への負担の軽減が期待できます。
運動後のマッサージは筋肉の緊張がほぐれ、疲労が溜まりにくくなります。
ただし、激しい運動をしたあとは積極的なマッサージは避けましょう。リラックス目的で軽く行うのであれば問題はないと考えられますが、マッサージには血行促進効果があるため、運動後に血圧や体温を上昇させてしまうと悪影響が出る懸念があります。
こちらの記事もチェック!
マッサージのやり方について
さまざまなメリットがあるマッサージですが、いまいちやり方が分からないという飼い主さんは多いのではないでしょうか。ドッグマッサージにはスウェーデン式や東洋医学式などいくつかの種類があり、細かい方法はそれぞれ異なる部分もありますが、飼い主さんが自宅で行う場合にはツボや手法などはあまり意識せず、優しく撫でる・揉むを念頭に置くとよいでしょう。ここでは、飼い主さんが自宅でできる簡単なマッサージのやり方を部位ごとに解説していきます。マッサージをはじめる際には、「マッサージするよ」など声をかけてから行うようにし、いきなり揉んだりしないよう注意してくださいね。
背中
マッサージをする際には、抵抗感を示しにくい背中からはじめるのがおすすめです。頭・首のあたりからおしりに向かってゆっくり優しく背中を撫でてあげましょう。
お腹
お腹は円を描くように優しく撫でてあげるのがポイントです。お腹のマッサージは便秘解消の効果もあると言われています。
ただし、犬にとってお腹は急所なので触られるのを嫌がる子も少なくありません。普段から仰向けになってお腹を出している、触られることに抵抗感がないという場合は撫でてあげてもよいですが、嫌がるようであれば無理強いはしないようにしましょう。
後ろ足
後ろ足は疲れが溜まりやすい部位だと言われているので、くるくるとマッサージしてあげるのがおすすめです。手のひらで優しく撫でるのを繰り返すだけでも血流が促進されます。ただし、後ろ足もお腹と同じく急所と言われている部位の1つなので、嫌がる場合は無理に行う必要はありません。
筋力の低下は急に起こるものではなく少しずつ進んでいきますが、皮膚や筋肉に対するマッサージは血行の促進だけでなく、筋力維持にも繋がると言われています。犬は後ろ足から衰えが始まる傾向にあるとされているので、足腰が弱くなってきたシニア期の子にも取り入れてあげるといいでしょう。
また、尻もちをついたりふらつく様子が見られると、「歳だからかな?」と思ってしまいがちですが、中には関節疾患や椎間板ヘルニアなどが隠れているケースもあります。その場合、マッサージでは治すことはできません。かえって状態が悪化してしまうこともあるので、愛犬の足の様子がおかしいな、と思ったら1度かかりつけ医に相談してください。
こちらの記事もチェック!
顔
眉間の部分をぐりぐりとマッサージされてうっとりしている犬の動画を見たことはありませんか?犬にとって眉間はマッサージされると気持ちの良い部位の1つのようです。あまり力を入れずに指の腹で撫でてあげましょう。目の近くなので、目を傷つけないように注意してくださいね。
首
犬は飼い主さんを見上げるような姿勢となることが多く、首回りは凝りやすいと言われています。筋肉をほぐすイメージで優しくつまんだり指圧してあげるとよいでしょう。
こちらの記事もチェック!
マッサージする際の注意点は?
愛犬をマッサージする際にはいくつか注意点があります。マッサージを気持ちいいものと思ってもらうために、気をつけるべき点を把握しておきましょう。
嫌がる場所は触らない
大前提として、愛犬が嫌がる場所は触らないようにしましょう。マッサージにはさまざまな効果が期待できますが、自宅で飼い主さんが行うマッサージはコミュニケーションの時間や愛犬にリラックスしてもらうといった側面が強いので、無理強いしてまで行うものではありません。
嫌がっているのに無理やり続けることでマッサージが嫌いになるだけでなく、飼い主さんとの関係にもヒビがはいってしまう可能性も考えられます。マッサージは愛犬の様子を見ながら行うようにしてください。
手のひらは温めて
冷たい手でいきなり身体を触ってしまうとびっくりさせてしまうことがあります。あらかじめお湯やホットタオルで手のひらを温めておくとよいでしょう。
また、爪が長いと皮膚を傷つけてしまう恐れがあるので、短く切っておくのがベターです。同じ理由で指輪などのアクセサリーも外してください。
力加減に注意
肩こりがひどいと強めにマッサージしてほしいと思うかもしれませんが、人間と同じ感覚で犬をマッサージしてしまわないよう注意してください。
犬の皮膚は私たちよりも薄く、一説には厚さが1/3程度しかないとも言われています。軽く撫でるだけでも効果があるとされているので、弱すぎるかも、くらいの力加減ではじめてみましょう。
タイミングや状況も大事
食後は胃や腸に血液が集中しますが、そのタイミングでマッサージをしてしまうと血流が分散してしまい消化不良の原因となる可能性があるので避けるのが無難です。皮膚が弱い犬もマッサージによる摩擦で皮膚を傷めてしまう可能性があるため注意してください。
また、当たり前ではありますが、発熱や怪我をしている場合、皮下出血(内出血)、悪性腫瘍、体温調整機能不全、皮膚が炎症を起こしている場合などは患部を触ったり血行が促進されることで悪化してしまうためマッサージするのは避けましょう。
食後や心臓疾患、衰弱状態、感染時、運動後など過度に興奮している場合にマッサージをするのであれば注意しながら行ってください。
素人がマッサージしてもいいの?
私たち人間は軽い肩こりなどを感じたときに家族に叩いてもらったり揉んでもらったりすることがありますが、身体の構造や骨格が人間とは全く異なる犬の身体を素人がマッサージしてもよいものなのか気になりますよね。
日々のふれあいや身体のチェックとして軽く撫でたり揉んだりすることはスキンシップや健康管理の一環とはなりますが、愛犬の身体のこわばりの解消や症状の緩和のためとなると、素人がマッサージすることで状態が悪化してしまう可能性もあります。
症状の緩和のために、ということであればかかりつけ医に相談の上、ドッグマッサージを専門としている人に任せるのが安心です。
マッサージにはメリットがたくさん!
今回はマッサージすることによるメリットと簡単なやり方をご紹介しました。マッサージと聞くと本格的なものを想像してしまうかもしれませんが、飼い主さんが自宅で行うマッサージは症状の緩和が目的ではなくスキンシップの延長線上にあるものです。身体を触ることで些細な変化や異変にも気づきやすく、病気の早期発見に繋がることもあるので、健康チェックもかねて無理のない範囲で取り入れてみるのもいいかもしれません。
一方で、病気や怪我をしている場合には症状を悪化させてしまう可能性もあるので、自己判断で行うのは避けましょう。少しでも楽になってほしいという気持ちでマッサージをしたいのであれば、事前にかかりつけ医の指示を仰ぐのが安心です。
注意点やポイントをしっかり押さえればさまざまなメリットがあるマッサージ。毎日短時間でも続けることが推奨されているので、さっそく今日からはじめてみてはいかがでしょうか。飼い主さんの愛情が伝わってきっと信頼関係が深まりますよ。
こちらの記事もチェック!
この記事のライター
choco
シェルティとの生活に憧れる社会人です。みなさんの愛犬との暮らしがより豊かになるような情報を発信できたら、と思っています!
関連記事
健康管理/病気
老犬の寝ているときの呼吸が早い・・異常か判断するポイントと考えられる原因を解説
犬はシニア期に入ると、筋力・代謝の低下や視覚・聴覚、消化機能、認知機能などの身体機能の衰えが認...
2024年9月26日
健康管理/病気
柴犬は認知症になりやすい犬種。症状の進行を遅らせるためにできることとは
ドッグフードの品質向上や獣医療の発展、飼育環境の変化などの理由から犬の寿命は一昔前と比べて飛躍...
2024年9月26日
健康管理/病気
柴犬が下痢をしている・・考えられる原因と病院に連れていくべき基準
愛犬が下痢をしてしまった、という経験のある飼い主さんは多いと思います。というのも、犬は些細な理...
2024年9月20日
健康管理/病気
柴犬はアレルギー反応が出やすい犬種|アレルギーの種類や症状、予防法をまとめて解説
わたしたち人間には、花粉をはじめ、食べ物、ダニ、金属、塗料、動物などさまざまなアレルギーがあり...
2024年9月19日
健康管理/病気
柴犬は長生きするって本当?ギネス記録や老化のサインとは
美しい毛並みに飼い主に忠実な性格、ドーナツのようにくるりと巻かれた尻尾などあらゆる魅力がある柴...
2024年9月13日