クーバースはハンガリー原産の犬で、古くは家畜の群れが肉食獣や泥棒に襲われないように護衛の役割をしていた犬種です。純血犬種の登録や犬籍管理を行なっているJKC(ジャパンケネルクラブ)へのクーバースの登録頭数は2006年に1頭あって以来、2018年まで全くなく、日本ではレア犬種として扱われています。そんなクーバースはどのような犬なのでしょうか。まずは外見的な特徴からご紹介します。 

 被毛や分厚く密集して生えており、ややウェーブがかっています。首元や四肢の後ろ側、尻尾にはフサフサとした毛が生えています。

被毛の構造は、オーバーコートとアンダーコートが生えたダブルコートです。ダブルコートの犬種は春と秋に、体温調節の機能を果たすアンダーコートが生え変わるので、換毛期はたくさんの毛が抜け落ちます。

毛色はホワイトがスタンダードですが、アイボリーも存在します。

 クーバースは大型犬に属する犬で、オスのほうが体が大きい傾向にあります。

 かつて護畜犬、およびクマやイノシシの狩りをする猟犬として用いられていたため、骨格ががっしりとしており、厳しい気候条件にも耐えられるほど丈夫な体をしています。筋肉が引き締まった均整のとれた体格で、たくましい印象が特徴的です。

体は力強さが感じられますが、とても優しい顔立ちで、かわいらしいアーモンド型のつぶらな黒い瞳や垂れ耳がチャームポイントです。

 クーバースは警戒心が強く、テリトリーに見知らぬ相手が入ると命がけで飼い主や家族を守ろうとします。そのため、頼もしい番犬として最適です。飼い主や家族には献身的で愛情深く接しますが、知らない人には仲良くなるまでに時間がかかります。

また、繊細で傷つきやすい一面も持っています。ないがしろに扱ったりすると攻撃的な態度を取ることがあるので、愛情を注ぎ信頼していることを示して接することが大切です。

 大型犬であるクーバースは、誰でも気軽に飼える犬種ではありません。特にしつけに関しては、子犬のうちからしつけを徹底しておかないと、猛犬になってしまう恐れがあります。クーバースを育てる際の注意点を確認しておきましょう。 

 クーバースは警戒心が強いことから、無駄吠えに注意が必要です。警戒や威嚇により吠えるのは犬の本能なので完全に抑えることは無理ですが、社会化期に家族以外の人に会う機会を多く持ち、いろいろな環境に慣れさせることで、必要以上に警戒心を抱きにくくなります。

体の大きい大型犬にいきなり吠えられると、怖がってしまう人や不快な気持ちになってしまう人もいます。そのため、「ストップ！」とコマンドを出せば吠えるのを止めることができるように、しつけをしておきましょう。

 クーバースは多くの運動量を必要とする犬なので、1時間程度の散歩を1日2回するようにしましょう。なお、関節疾患にかかりやすい傾向にあるため、思いっきり走るなどの激しい運動は不要です。運動不足になると問題行動を起こしやすくなるので、毎日の散歩は必須です。 

 換毛期は毛がたくさん抜け落ちるので、ほぼ毎日ブラッシングをして被毛を清潔に保ってあげるようにしましょう。換毛期以外は、週1～2飼い程度のブラッシングで問題ありません。

抜け毛を取り除いてあげると被毛の通気性がよくなり、熱や湿気がこもりにくくなります。クーバースは暑さに弱いため、こまめなブラッシングは暑さ対策に有効です。

 クーバースは、飼い主や家族に献身的で尽くしてくれる性格です。そのため、信頼関係が築ければ、頼もしいパートナーになってくれることでしょう。

ただし、飼い主からの気遣いを敏感に察知できてしまうので、ないがしろに扱うと攻撃的な態度を取ることがあります。そのため、大型犬の扱いやしつけに慣れており、犬に信頼の証を示して接することができる人に向いている犬といえるでしょう。