犬の毛色「サドル」ってどんな色?特徴とサドルの毛色を持つ代表犬種をご紹介
犬の被毛は、毛色や生え方、毛のタイプ、模様(パターン)などの違いによって千差万別です。そして、その豊富な被毛には特徴ごとにそれぞれ名称が付いています。さまざまな名称の中には、聞いただけではどんな毛色なのかイメージが浮かばないものも存在します。その代表的な名称の一つが「サドル」です。今回はサドルとはどのような被毛なのか、代表的な犬種と合わせてご紹介していきます。
犬の毛を表す言葉は大きく4つに分かれている
犬の毛を表現するときに専門用語として用いられる言葉は、毛の生え方、色、タイプ、パターンの4つに分かれています。生え方はシングルコート、ダブルコート、ヘアレスがこれに該当し、色はホワイト系からブルー系まで9系統に分かれ、さらに各系統のなかで多数の色の名称があります。毛のタイプにはショート、ミディアム、ロング、ワイヤー、カーリー、コーデッドと決められ、そして10種類以上の毛色のパターンの名称が存在しています。これらの言葉を組み合わせて、各犬種の被毛が説明されているわけです。
「サドル」は毛色パターン
今回ご紹介するサドルは、この中の毛色のパターンを表現する言葉に属します。毛色のパターンを表現する言葉には「タキシード」や「ハーレクイン」といったちょっとロマンティックな名称が多く見られることが特徴です。サドルもそんな毛色のパターンの一つなのです。
犬の毛色パターン「サドル」の特徴
サドルと聞いてまず思い浮かべるのは、自転車で座る部分のサドルかもしれませんね。サドルとは「鞍(くら)」の意味で、馬および二輪車の腰掛ける部分の名称です。この意味から派生して、犬の背にできた濃い色毛のパターンのことをサドルと呼ぶようになりました。
ベースの毛色よりも濃い色の被毛が、背中に被さっているように見えるパターンで、まさに鞍を背中に乗せたように見えます。これに関連して犬の背に着けられるバッグのことをサドルバッグと呼びます。なお、別名では毛布を掛けたように見えることから、「ブランケット」と呼ぶケースもあります。
サドルが純血種の条件とされている犬種とは
毛色のパターンであるサドルを持っているのはどんな犬種でしょうか?サドルはディテールまで厳密に定められているパターンではありません。また、表出する犬種の数も必ずしも多くありませんが、一部にサドルではないと純血種として認められない犬種が存在します。その代表犬種がエアデール・テリアです。この犬種はサドルの存在が前提となっています。
また、日本ではあまり馴染みのない犬種ですが、ブラッド・ハウンドやツリーイング・ウォーカー・クーンハウンドという犬種もサドルの存在が条件となっています。なお、ジャーマンシェパードはサドルの代表犬種として広く知られていますが、サドルは一部の被毛カラーでは純血種の条件となっていますが、その他の被毛カラーではサドルを条件としていません。このほかにニューファンドランドで白と黒の毛色を持つランドシーアと呼ばれる犬種は、サドルを純血種の条件とはしていません。
サドルの毛色パターンを持つ代表的な犬種
ここではサドルが純血種の条件となっている犬種を詳しくご紹介します。
- ジャーマンシェパード
- ブラッド・ハウンド
- ツリーイング・ウォーカー・クーンハウンド
- エアデールテリア
サドルの毛色を持つ犬種|1.ジャーマンシェパード
ジャーマンシェパードは、ドイツ原産の軍用犬、警察犬として有名ですが、もともとは農場の番犬として活躍していた牧畜犬です。大胆ながら落ち着きと性格の良さがあるバランスのとれた性格で、訓練性の高いことで知られています。がっしりとした体つきと慎重ながらも自信あふれる性格から、ガードドッグ、コンパニオンドッグとして世界中で活躍しています。
外観のイメージとしてブラック&ブラウンが一般に知られていますが、バイカラーではレディッシュ・ブラウン、ブラン、イエロー、明るいグレーなどが認められ、ダークなシェード、ブラックのサドルとマスクがあるものが好ましいとされています。この他にブラックまたはグレーの単色もあります。
サドルの毛色を持つ犬種|2.ブラッド・ハウンド
ブラッド・ハウンドはベルギー原産のセントハウンド(嗅覚猟犬)で、“魔法の嗅覚”と称されるほど、古くからその能力の高さが知られていました。現在は猟犬や足跡追求犬、捜索犬などで活躍し、またアメリカでは家庭犬としても親しまれています。外見の特徴はどっしりと大型で、体高は60cmを超えます。骨も筋肉も力強く、角張った頭や首には柔軟な皮膚がたっぷり垂れ下がっているのが際立ちます。
毛色のパターンは3種類あり、ブラック&タンではブラックのサドル、レバー&タンではタンのサドルとなります。
気質は穏やかで人には優しくフレンドリーで、攻撃性はありません。特に飼い主に対して愛情深く、仲間の犬やほかの動物に対しても寛容です。どちらかというと慎重で頑固で、ほめられたり叱られたりすることに敏感です。声はとても重々しいですが、無駄吠えをほとんどしないことも特徴の一つです。
サドルの毛色を持つ犬種|3.ツリーイング・ウォーカー・クーンハウンド
ツリーイング・ウォーカー・クーンハウンドは、アライグマ狩りで獲物の臭跡を辿って、木にまで追い上げるアメリカ生まれのハウンドドッグです。アライグマを英語でクーンと呼ぶことから、この名がつけられました。クーンハウンド種のなかでは、"The People's Choice"と呼ばれるほど、アメリカ人に好まれている犬種ですが、残念ながらJKCの登録はありません。
体つきは体高51~69cm、体重は23~32kg、手足が長く筋肉質で均整が取れた体を持ち、敏捷性とスタミナを兼ね備えています。忍耐力、警戒心、勇気、競争心、自立心などが高く、強い狩猟本能を持っているため、ひとたび外に出ると別犬の顔となりますが、性格は穏やかで寛容です。その目は表情豊かで、家族に対して攻撃性はまず示しません。
毛は光沢があるショートコートで、毛色は黒、黄褐色、白のトライカラーやタン&ホワイトなどがあり、サドルは黒となっています。
サドルの毛色を持つ犬種|4.エアデール・テリア
エアデール・テリアはイギリス原産。メスでも体高が60cm近くになるテリア種のなかでは最大の犬種で、キング・オブ・テリアと言われています。昔からカワウソ猟などに従事していた獣猟犬で、エアデール・テリアと命名されたのは1878年。1884年のショーで優勝したことにより人気犬種となりました。日本では昭和5年頃より軍用犬として飼育され始めました。現在は広く家庭犬として普及しています。
常に注意深くて頭がよく、好奇心旺盛で動きが敏捷なことが特徴です。性格は外向的で友好的、攻撃性はありませんが勇敢です。タン(褐色)の地色に、ブラックかグリズル(黒色に灰色や赤色の毛色が混ざった混合色 )のサドルとなっています。
サドルは大型の使役犬に見られる毛色のパターンのひとつ
馬の鞍のように見えるサドルは、エアデールテリアをはじめ、ジャーマンシェパードやニューファンドランドも含めて、大型の使役犬に見られる毛色のパターンで、サドルの色はブラックが主体となっています。大きな体に入る黒いサドルは、私たちにその犬の強さや威厳、勇敢さなどを感じさせる大きな要因となるのかもしれませんね。
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この記事のライター
komugi
都内で愛犬のビーグルと暮らしています。コロナ期間中に肥満体型になってしまった愛犬のために食事や運動について勉強をはじめました。面白い発見や愛犬家の皆様に役立つ情報があればどんどん発信していきます!
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