盲導犬は、視覚に障がいのある方をサポートすることで活躍している犬です。盲導犬オーナーに寄り添い、その歩行を補助します。

歩く時にサポートをするだけでなく、盲導犬として仕事をしている間は生活も共にするため「人生も共に歩く」かけがえのないパートナーと言ってもいいでしょう。盲導犬になるためには、多くの人たちのサポートを受け、訓練をし、厳しい審査に合格して初めて盲導犬として働くことができるのですが、盲導犬の訓練を受けた10頭のうち多くても3頭しか盲導犬になれないというほどの狭き門です。

 現在、日本で活躍している盲導犬のほとんどがラブラドール・レトリバーだと言われています。そのほかには、ゴールデン・レトリバーや、ラブラドールとゴールデンを交配したミックスブリードの犬種も盲導犬の仕事をしていますが、その数は遠くラブラドールには及びません。

では、なぜこんなに盲導犬にはラブラドールが多いのでしょうか？

 ラブラドール・レトリバーは、上記に挙げた盲導犬に必要な能力をすべて持ち合わせている上に、ほかの犬種より盲導犬に向いている要素が多くあります。 

 盲導犬に必要な能力を持っていたとしても、ダックスやチワワのような小型犬では、盲導犬オーナーさんの横で安全に目的地まで誘導するのは難しいですよね。体格の意味でも、ラブラドールは人を誘導しやすい体の大きさと言えます。 

 垂れ耳と優しくてつぶらな瞳が特徴的なラブラドール・レトリバーは、人に威圧感を与えない外見の持ち主です。もともと盲導犬として活躍していたジャーマン・シェパードと比べても、犬と接したことのない周りの人たちにも受け入れてもらいやすい犬種と言えるでしょう。 

 お手入れのしやすさも、ラブラドールが盲導犬として選ばれる大きな要因です。盲導犬のお世話は、当然ながら盲導犬オーナーさんが行います。ラブラドールの短い被毛は、毛の長いゴールデンに比べてシャンプーや日常のグルーミングも楽に行うことができるという点も、ラブラドールが選ばれている要因の1つです。 

 訓練を受けても全員がなれるわけではない盲導犬。

では、盲導犬に必要な能力とは何でしょうか？

 盲導犬としての仕事を始めたら、人生のほとんどの時間を盲導犬オーナーさんと一緒に過ごすことになります。

そのあいだは、ほぼ毎日、盲導犬としての仕事をするので、人と一緒に仕事をすることにストレスを感じることなく喜びを感じられる子が向いています。

 盲導犬として仕事をしていると、今までの訓練では経験したことのない状況も起こり得ます。そんな時にも、慌てずに対処できる順応性も盲導犬に必要な資質です。 

 もともとの性格に攻撃性のある子は、盲導犬として働くことができません。

盲導犬は、公共交通機関やお店などにも盲導犬オーナーさんと一緒に入ることができるため、周りに危害を加える恐れのない子が選ばれます。

 盲導犬の訓練は、日常生活で起こり得るさまざまなシチュエーションを想定して行われます。

その際に、新しいことを素直に受け入れることも盲導犬として活躍する上で大切な要素になります。

 日本だけでなく世界各地で活躍する盲導犬ですが、ほかの国ではラブラドール・レトリバー以外の犬種も活躍しています。

主な犬種としては、スタンダード・プードルやダルメシアン、ドーベルマンなどです。スタンダード・プードルは抜け毛が少なく、動物アレルギーの方には適した犬種だと言われています。

 日々、私たち人間のために働いてくれている盲導犬たち。特にラブラドール・レトリバーは、盲導犬の仕事に大きく貢献してくれています。 お仕事中の彼らに声をかけたり触ったりするのはNGなので、街で見かけたら心の中で感謝を伝えましょう。