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安全なドッグフードとは?「油脂の種類」からみるフードの安全性

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みなさんは愛犬のドッグフードをどのような基準で選んでいますか?ドッグフードの品質は日々進化しています。日本では、犬及び猫のフードについての製造方法や成分規格を定めたペットフード安全法が2009年12月から施行され、犬や猫の健康を害すると考えられる粗悪なペットフードの輸入や製造販売が禁止されています。

とはいえ、添加物などの配合が全て禁止されているわけではありません。原材料で「動物性油脂」や「植物性油脂」といった表示を見かけることも多くあると思いますが、食材ではない「油脂」が配合されていることに不安を感じる方も多いのではないでしょうか?そこで、今回はドッグフードの安全性を「油脂の種類」から考えてみます。

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目次

  1. 「ヒューマングレード」とは?
  2. 日本のペットフード安全法って?
  3. 原料になる油脂の種類について
  4. 植物油で気をつけたいトランス脂肪酸
  5. 油脂を上手に摂り入れよう
  6. 原材料を確認して安全なドッグフードを選ぼう!

「ヒューマングレード」とは?

食べ物
RitaE

 近年「ヒューマングレード」と表示されているドッグフードが増えてきています。日本語に訳すと「人間の等級」となり、人も食べられるレベルの食材を使っているように感じますよね。メーカーのHPを見ると、謳い文句として「ヒューマングレードの原材料を使用し…」等と記載されていることも多くあります。

そこで疑問に思うのがこの「ヒューマングレード」の正確な意味。このフードは安全です!の代名詞のように使われている「ヒューマングレード」という言葉ですが、実はこの言葉を使うのに法的な規格や基準はありません。

日本では多くのドッグフードで表示されている「ヒューマングレード」

 日本で販売されているドッグフードには、海外ブランドも含めて「ヒューマングレード」の文字が躍っています。「ヒューマングレード」と英語で表記されると、とても良いドッグフードに感じてしまいませんか?

日本で人気のある海外ブランドは、本国では表記されていないにもかかわらず、ドッグフードの販売サイトなどで、「ヒューマングレード(人間が食べても問題のない)原材料を使用」と表示されています。日本には「ペットフード安全法」がありますが、ヒューマングレードに関しての記述はありません。

つまり「ヒューマングレード」について明確な基準が法律で定められているわけではないため、その根拠は明確ではないということになります。「ヒューマングレード」は、ドッグフードメーカーのイメージ戦略的要素が強いと考えた方が良さそうです。

アメリカでは使われない「ヒューマングレード」

 アメリカでは、AAFCO(飼料管理局に属する米国飼料検査官協会)によってペットフードの養分基準や成分規格などが定められています。その中で、ヒューマングレードについても言及しています。それによると「この用語(ヒューマングレード)は、いかなる動物飼料規制でも定義されていません。公式に人間の食用または人間の等級とみなすことができるペットフード製品はほとんどありません。」(※1)と書かれています。

また「ペット用に処方された製品は、人間にとって栄養的に十分である可能性は低く、逆もまた同様です。ヒューマングレードは、ペットの栄養の安全性と等しくはありません」(※1)としています。

原材料が人間用の農場で生産され工場で加工されたとしても、それをヒューマングレードと呼ぶにはふさわしくないという見方がアメリカではされているのです。

日本のペットフード安全法って?

ドッグフードと犬
kabofoods Unsplash

 ペットフード安全法(愛がん動物用資料の安全性の確保に関する法律)とは、農林水産省と環境省が共同で管理する作られた法律です。有害物質が混入したペットフードが原因で多くの犬や猫が死亡する事故がアメリカで起きたことをきっかけとして制定されました。 

愛がん動物の健康を守るペットフード安全法

 この法律では、ペットの健康に悪影響を及ぼすペットフードの製造、輸入、販売を禁止しており、消費者に適切かつ十分な情報を提供するために製造業者や賞味期限などの表示が義務付けられています。また、原材料や製造方法の基準も定められ、禁止材料を原料に使用していないかなどのチェックが行われています。しかし、残念ながらペットフード安全法では原材料に使用する油脂の種類までは規制されていません。 

原料になる油脂の種類について

油
stevepb

 ドッグフードの粒を水に浮かべると油が浮いてくることや手で触ると油がベタベタすると感じている方も多いと思います。油脂には、植物性油脂と動物性油脂の2種類があります。油脂には、健康に良い影響を与えるものと皮膚トラブルやアレルギーの原因物質となるものがあり、注意が必要です。 

油脂の主成分は脂肪酸

 脂肪酸は油脂を構成している成分で、科学的構造から大きく分けると飽和脂肪酸・不飽和脂肪酸・多価不飽和脂肪酸の3種類があります。

乳製品や肉に含まれている動物性脂肪が飽和脂肪酸、オメガ9系の脂肪酸で、イワシ油・オリーブオイル・タラ肝油などに多く含まれている不飽和脂肪酸、エゴマ油・青魚の魚油・亜麻仁油・植物油などオメガ3系脂肪酸が多価不飽和脂肪酸で、主に植物から採取した油脂全般を植物性油脂と呼びます。

動物性油脂とは?

 動物性油脂には、いくつかの種類があります。代表的なのは、鶏油(チキンオイル)、ラード(豚由来)、牛脂やココナッツオイル、パーム油なども動物性油脂です。この動物性油脂に含まれているのは飽和脂肪酸で、犬にとってのエネルギー源ともなる成分です。ただし、過剰摂取は健康面でリスクがあり、またドロドロとした油で酸化しやすいことが特徴です。 

犬は動物性油脂が大好き

 ドッグフードの多くは、肉や野菜、穀類などを原材料にし、高温で焼成されます。肉を油をひかないフライパンで焼くと、パサパサになるのと同じで、高温で焼成されることによって肉本来が持つ油分が抜けてしまいます。パサパサで味やにおいのないドッグフードは、犬に人気がありません。

そこで添加されるのが、肉に近い匂いがする動物性の油脂です。この動物性油脂が添加されることによって、ドッグフードの食いつきが左右されるといっても過言ではありません。

植物性油脂とは?

 動物性油脂に対してサラサラとした植物性油脂には2タイプの脂肪酸があります。最近では、犬の健康に役立つとされ、ドッグフードにも添加されています。特に、注目されているのがオメガ3系とオメガ6系の脂肪酸で、EPA、DHAが含まれる青魚の魚油や必須脂肪酸であるαリノレン酸が含まれる植物油が多価不飽和脂肪酸です。

また、オリーブオイルやアボカドオイル、グレープシードオイルなどはオメガ9系脂肪酸とも呼ばれている不飽和脂肪酸となります。

植物油で気をつけたいトランス脂肪酸

ドッグフードと犬
moob Unsplash

 油脂の構成成分である脂肪酸の中に、トランス脂肪酸というものがあります。一時、海外で大きな話題となったことが報じられ、ご存知の方もいらっしゃるはず。

トランス脂肪酸は、植物油に物質を加え高温で固形化・半固形化する過程で作られる脂肪酸です。その代表的な製品がマーガリンやショートニングです。

ドッグフードにマーガリンやショートニングはあまり使われませんが、おやつの製造過程では使用されることがあります。特に、犬用クッキーやケーキなどには注意が必要です。

人間には摂取に注意喚起がされている

 人間の場合は、海外ですでにその摂取量について規制が行われており、WHO(世界保健機構)が「トランス脂肪酸の摂取量を総摂取量の1%に相当する量より少なくすることを目標とする」としたことから、日本でも同じ動きが出ています。

厚生労働省の食事摂取基準に「トランス脂肪酸の摂取量を総摂取エネルギー量の1%相当より少なくすること、1%相当より少ない場合でも、さらに出来るだけ少なくすることが望ましい」(※2)としています。

油脂を上手に摂り入れよう

食べ物
cattalin

 食いつきをよくするためにも使われる油脂ですが、油脂は悪者ではありません。油脂に含まれている脂肪酸は犬の健康にとって必要不可欠な栄養素です。特に、オメガ3系とオメガ6系の脂肪酸は犬の体内で生成できないため、食べ物から摂取する必要がある必須脂肪酸です。 

選ぶなら必須脂肪酸が配合されているドッグフードを

 必須脂肪酸であるオメガ3系脂肪酸とオメガ6系脂肪酸はどんな油に含まれているのでしょうか?健康に良いと人気の亜麻仁油、シソ油などに含まれているαリノレン酸と青魚などに含まれているEPA、DHAがオメガ3系脂肪酸にあたります。

また、ごま油に含まれているリノール酸、レバーや肝油に含まれるアラキドン酸そして月見草オイルに含まれているのがオメガ6系脂肪酸です。

最近では、犬の健康に役立つとされているフィッシュオイルやリノール酸などが配合されているドッグフードが増えてきています。ぜひ、ドッグフードを選ぶ際には原材料表をよくチェックして、どんな油脂が含まれているか確認してみてください。

原材料を確認して安全なドッグフードを選ぼう!

ドッグフード
mattycoulton Unsplash

 油脂に含まれている脂肪酸は犬の健康を維持するのに欠かせない栄養素ですが、一部のドッグフードには、食いつきのために油脂が添加されていることも事実です。犬にとって「いい匂い」の油脂は、食べることのできない肉のさまざまな部位を使用して作られることも多いと言われています。

ドッグフードを食べると、下痢することが多い、口の周りが茶色くなる、皮膚疾患が出るなどの症状が出た場合は、そのドッグフードに含まれている油脂を確認してみてください。もし、はっきりとわからない油脂が含まれていたら、その成分によってアレルギー症状を発症している可能性もあります。

安全なドッグフードには、フィッシュオイル(サーモン由来)、亜麻仁油などとはっきりと油脂の種類が明記されているので、ドッグフードを選ぶ時にはぜひ原材料表をしっかりと確認してくださいね。

参考文献

(※1)AAFCO「ヒューマングレードの定義」
(※2)厚生労働省「トランス脂肪酸に関するQ&A」

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komugi

この記事のライター

komugi

都内で愛犬のビーグルと暮らしています。コロナ期間中に肥満体型になってしまった愛犬のために食事や運動について勉強をはじめました。面白い発見や愛犬家の皆様に役立つ情報があればどんどん発信していきます!

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