【獣医師監修】うなぎは愛犬に与えても良い?期待できる効果や適切な量、食べさせる際の注意点まで
うなぎといえば、土用の丑の日に食べる食材というイメージが強いですよね。ビタミンAやビタミンB群が豊富で、疲労回復や食欲増進に効果があるとされています。そんな栄養豊富なうなぎは食欲が落ちた愛犬に食べさせても良いのでしょうか?また、人間と同様の効果は期待できるのでしょうか?
今回は、うなぎの有効な栄養素や与える量の目安、与える際の注意点などを紹介していきます。
うなぎは犬に食べさせても大丈夫
結論から先に言えば、犬にうなぎを与えても問題はありません。ただし、味がついていない調理法に限ります。
まずはうなぎに含まれる、犬にとってメリットをもたらす栄養素について見ていきましょう。
ビタミンがたっぷり
うなぎには、ビタミンA、ビタミンD、ビタミンE、ビタミンB1、ビタミンB2などが豊富に含まれています。
それぞれのビタミンの役割をチェックしてみましょう。
【ビタミンA】視力維持に欠かせない
うなぎに最も多く含まれているのがビタミンAです。別名レチノイドといい、目の機能維持に効果を発揮する栄養素なのです。
視力の維持や免疫システムに欠かせないと言われ、がんの予防やリスク低減にも役立つとされています。
【ビタミンD】骨格維持に役立つ
ビタミンDは主に骨や骨格の維持に役立つ栄養素で、カルシウムの吸収を促進します。
また、全身の細胞にビタミンDを多く取り込むことで免疫機能を調節し、細菌やウイルスなどに負けない身体作りをサポートしてくれると言われています。
【ビタミンE】細胞老化の進行を抑える
ビタミンEは抗酸化作用の強い栄養素なので、活性酸素の働きを鈍くして細胞の老化を抑える効果があります。
また、血管を健康に保つほか、赤血球の破壊を防ぐなどの効果も期待できます。
オメガ3脂肪酸も豊富!
オメガ3脂肪酸といえば、DHAやEPAに代表されるようなサプリメントにも使われる不飽和脂肪酸です。サバやサケだけでなく、うなぎにも多く含まれていて、主に加齢による様々な疾患に効果があると言われています。
DHA(ドコサヘキサエン酸)は脳や目に効果を発揮し、記憶力の回復や視力の維持、内臓疾患などにも良いとされています。
EPA(エイコサペンタエン酸)は中性脂肪を減らしたり、血管や血液の正常化に効果をもたらします。
健康維持に役立つミネラル
うなぎにはミネラルも豊富に含まれていて、特にカリウムとカルシウムの含有量が高いと言われています。
カリウムは細胞の機能を正常化させ、エネルギー代謝にも重要な役割を果たし、カルシウムは骨や歯の健康維持に不可欠です。カルシウムの吸収を助けるビタミンDの働きとの相乗効果も期待できます。
与える際の工夫と適量
愛犬にうなぎを与える場合は、以下のような与え方や量を参考にして与えましょう。
小骨を柔らかくする加熱調理を
小骨は、取り除かずにそのまま食べても問題はないのですが、喉や口の中に刺さって嫌な思いをしたという方も多いかと思います。
しかし、うなぎの小骨取りは熟練の職人でも難しく、完全に取り除くのは困難と言われています。そのため、うなぎを与える際は圧力鍋などでじっくりと火を通すことをおすすめします。加熱することでうなぎの小骨が柔らかくなり、取り除かなくても安心して与えることができますよ。
愛犬に与えるうなぎの適量
1日に与えるうなぎの適量の目安は以下の通りです。初めて愛犬にうなぎを与える際は、下記の量よりもさらに減らして、食後の排便の状態などを確認し、異常がなければ少しずつ量を増やすようにしましょう。
- 体重3~5kg:15~22g
- 体重6~15kg:22~58g
- 体重20~30kg:63~98g
- 体重30~50kg:86~144g
愛犬にうなぎを食べさせる際に気をつけること
犬にとってメリットをもたらしてくれる栄養素が豊富なうなぎですが、与え方に関しては、いくつか注意するべき点があります。
細かく刻んで与えること
大ぶりなうなぎの身をそのまま与えるよりも、「ひつまぶし」のように小さめに刻んだうなぎを与えた方が、犬にとっても食べやすいでしょう。
また、うなぎだけを与えるよりも、手作りごはん風にして他の食材と合わせて与えた方が栄養のバランスも良くなりますし、見た目も良くなりますよね。
アレルギーに注意
うなぎを初めて与える際は、アレルギーのリスクを考慮して、少量から与えるようにしましょう。
アレルギー反応を起こすと下痢や嘔吐、強い痒みなどを引き起こすので、症状が見られないかよく観察することが大切です。また、上記のような症状が見られたら速やかに動物病院を受診してください。
加工品は与えない
うなぎは、うなぎのエキスやうなぎの骨などを使用した美味しい加工品が多く販売されています。うなぎの中骨から取った出し汁を練り込んで作られたうなぎパイは有名ですが、このような加工品は人間向けの味付けになっているため、塩分や糖分をたっぷりと含んでいます。
うなぎの他に中毒性のある食材が含まれていない限り問題はありませんが、愛犬に積極的に与えるべきではありません。
うなぎの蒲焼きは与えないこと
一般的に市販されていて人間が食べるのは、すでに焼いた状態の蒲焼きが多いですよね。蒲焼きの場合、どうしてもタレの塩分が多くて味も濃く、犬にとっては塩分過多になってしまいます。
なるべく調味料やタレ、油をつけない白焼きの状態で与えることが望ましいでしょう。 もし白焼きのうなぎが手に入りづらい場合は、蒲焼きを湯がいてタレを落とすか、含まれている栄養素が似ている焼きあなごなどで代用しても良いでしょう。
生では絶対に食べさせないこと
「うなぎの刺身」というのはありそうでないですよね。有名な産地の浜名湖あたりでは食べられることもあるそうですが、一般的ではありません。
うなぎの血液にはイクシオトキシンという毒があるため、摂取量によっては下痢や嘔吐、呼吸困難が引き起こされることもあります。生で食べさせるのは絶対に避けましょう。
ちなみにイクシオトキシンは熱を加えると分解されるため、必ず火を通したものを与えるようにして下さい。
愛犬と一緒にうなぎを食べて夏を乗り越えましょう
うなぎは頻繁に与えることができる食材ではありませんが、とても栄養豊富で、少量であれば害になる可能性も低いようです。
お誕生日や記念日、そして食欲が落ちてしまう夏の時期に、ご褒美のつもりでうなぎを買ってきて、愛犬といっしょに食べてみてはいかがでしょうか?
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この記事のライター
choco
シェルティとの生活に憧れる社会人です。みなさんの愛犬との暮らしがより豊かになるような情報を発信できたら、と思っています!
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