【獣医師監修】愛犬が腸閉塞になってしまったら|原因や治療・予防法を解説
皆さんは、愛犬が何かを拾い食いしてしまったり、お腹をすごく痛がったりしたりといった場面で、「もしかしたら腸閉塞かも?」と心配になった経験はありますか?
犬の腸閉塞(ちょうへいそく)は、何らかの理由によって腸が塞がり、腸の内容物が通過障害を起こしている状態です。重症の場合は命に関わることもあるため、早急な対処が必要になります。本記事では、腸閉塞になる原因や治療法、予防法について解説します。
犬の腸閉塞という病気について
まずは犬の腸閉塞がどのような病気なのかをご紹介します。
初期症状とチェック項目
閉塞の状態にもよりますが、一般的に腸閉塞になると頻繁な嘔吐や食欲不振、腹痛といった症状が見られます。激しい腹痛が見られたりショック状態に陥るような場合には、腸の血管の血液が循環障害を起こしていたり、腸に穴が開いている可能性があるため、とても危険な状態です。
他の犬や人間にうつる?
犬が腸閉塞を起こす原因の多くは誤食した異物や腫瘍、腸捻転などであるため、基本的には他の犬や人間にうつる心配はありません。
ただし、まれに回虫症などの消化管の寄生虫が原因で腸閉塞を起こすこともあり、腸閉塞の原因となった寄生虫が他の犬にうつり、うつされた犬が腸閉塞になるという可能性はあるかもしれません。
犬が腸閉塞になる原因は?
犬が腸閉塞になる原因には、大きく分けて「異物の誤食」と「病気によるもの」があります。
原因1.異物の誤食
腸閉塞で最も多い原因が、異物の誤食です。犬の場合、ボールなどのおもちゃやタオル、ひもなどの日用品を飲み込んでしまうケースが多いようです。また、とうもろこしの芯や桃などの種、食品が入っていたビニール袋、ラップなど、犬の興味を引くにおいがするものも要注意です。
散歩中に落ちていた物を拾い食いすることもあるので、飼い主さんは常に愛犬から目を離さないようにし、犬の動きをコントロールできるようリードは短く保持しましょう。
原因2.病気によるもの
腸閉塞は腫瘍や胃拡張胃捻転症候群、寄生虫感染などの病気が原因で起こることもあります。
腫瘍
腸管に発生した腫瘍により腸が閉塞したり、腸管の近くにある臓器に発生した腫瘍が腸管を圧迫し、通過障害を起こすこともあります。腸に腫瘍が発生すると、食欲低下や嘔吐、下痢、血便、腹痛などの症状を呈することがあります。
胃拡張胃捻転症候群
胃の中にたまったガスや液体によって胃が膨れ(胃拡張)、それに伴い胃が捻じれを起こす(胃捻転)病気です。はっきりとした原因はわかっていませんが、フードの早食いや水のがぶ飲み、食後の激しい運動などが要因になると考えられています。
緊急度の高い病気であるため、お腹が膨れる、頻繁にげっぷをする、嘔吐物を伴わない吐き気、呼吸困難などの症状が見られたら、すぐに動物病院を受診しましょう。
消化管内寄生虫の大量寄生
消化管内寄生虫が大量に寄生すると、虫体が詰まって腸閉塞を起こすことがあります。犬で最も多く見られる回虫症は特に子犬によく見られるので、子犬を迎えたら症状が見られなくても検査を受けておくことをおすすめします。たとえ子犬が他の犬と接触していなくても、母犬から感染していることがあるためです。
かかりやすい犬種や年齢は?
腸閉塞は全ての犬種・年齢で起こり得ますが、中でも子犬は異物の誤食に注意が必要です。
子犬は活発で好奇心にあふれているため、突発的な行動に出たり、飼い主さんが予測できないものに興味を示すことがあります。また、歯の生え変わりの時期は口がムズムズして、いろんなものをかじりたがる子が多いです。食べてはいけないものを口にして、腸閉塞や中毒などを起こす可能性があるので、十分注意しましょう。
犬の腸閉塞の治療法とは
異物の誤食が原因の場合、一般的には腸に詰まった異物を取り除くための外科手術が適用されます。閉塞によって血管が血行障害を起こして壊死している場合は、その部分を切除し、腸管と腸管を繋ぐ手術をすることもあります。
異物が小さく、まだ胃の中に存在する場合には、内視鏡を使って取り除くことも可能です。ただし、十二指腸から先に流れてしまったり、内視鏡の鉗子でつかめない形状の異物は、切開を行わないと摘出は困難と言えるでしょう。
腫瘍が原因であれば腫瘍の切除や放射線治療、消化管内寄生虫が原因の場合は駆虫薬の投与など、原因に合った治療が施されます。
治療にかかる費用
異物の誤飲で手術をする場合、血液検査やレントゲン検査、超音波検査、全身麻酔、内視鏡、開腹手術などで高額になってしまう可能性が考えられます。病院によって費用に差があるため、治療が必要になった時点で費用に関してもどのくらいなのか、聞いておくと安心でしょう。
腸閉塞を予防する方法はある?
腸閉塞の一番の予防法は、犬が異物を誤食しないよう、犬の口が届く範囲に飲み込みそうなものを置かないようにすることです。
ボールやロープなどのおもちゃは、遊んだ後には必ず回収しましょう。骨付き肉の骨やとうもろこしの芯など、犬の興味を引く匂いがするものは特に注意が必要です。人間の食べ物を与えないなど、ドッグフード以外のものに興味を示さないようしつけておくことも大切です。
再発する可能性
腸閉塞の原因を完全に取り除くことができれば、根治は十分に可能です。原因が悪性腫瘍などの場合、治療した後に再発する可能性は考えられます。
愛犬の様子に異変がみられたらすぐに動物病院へ
犬の腸閉塞は自然治癒するものではなく、治療までに時間がかかると命に関わることもある緊急性の高い病気です。遊んでいたおもちゃが無くなったり、頻繁な嘔吐などの症状が現れた場合は、様子を見ずに動物病院を受診しましょう。
異物の誤食による腸閉塞の多くは、飼い主さんが注意することで予防できます。日頃から犬に口にして欲しくないものは届かない場所に保管し、もし口にしても号令ですぐに離すようしつけておくことも大切です。
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この記事のライター
choco
シェルティとの生活に憧れる社会人です。みなさんの愛犬との暮らしがより豊かになるような情報を発信できたら、と思っています!
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