【獣医師監修】犬の血糖値の正常範囲を知っておこう|高い・低い場合に考えられる代表的な病気も
皆さんは、犬の血糖値について気にされたことはありますか?子犬の低血糖は危険といった話はよく知られていますが、他にも血糖値が変動する場面はさまざまなパターンがあります。
愛犬の血糖値が正常な範囲よりも高い、または極端に低い場合は、何かしらの病気であることが考えられます。血糖値は、健康のバロメーターとなる重要な数値なので、正常な犬の血糖値を知っておきましょう。本記事では、血糖値が高い・低い場合に疑われる病気についても併せて解説します。
正常な犬の血糖値について
血糖値とは、血液中のブドウ糖(グルコース)の濃度のことを言います。フードに含まれる炭水化物は、体内で消化吸収されてブドウ糖に変わり血液の中に入ります。そのため、どんな犬でも食後は血糖値が上がり、お腹が空いている食前は血糖値が下がります。
犬の血糖値の正常範囲
正常な犬の血糖値は60~120mg/dl(ミリグラムパーデシリットル)くらいと言われています。動物病院で採血をして測定してもらえますが、簡易血糖測定器により自宅で測ることもできます。
血糖値が高い場合に考えられる病気
血糖濃度は、上昇しても下降しても膵臓から分泌されるホルモン「インスリン」や「グルカゴン」の働きにより、正常な範囲に保たれます。
そのため、もし血糖値が150~200mg/dl以上の異常な高血糖値になっているような場合は、糖尿病や他の病気(ホルモン性疾患など)であることが考えられます。
ただし、犬が興奮しすぎていたり、ストレスがかかっている時に一過性の高血糖が見られることもあります。血液検査と合わせて尿検査を行って、正確に診断をつけてもらいましょう。
糖尿病
犬の血糖値が異常に高い場合に疑われる代表的な病気には、糖尿病が挙げられます。糖尿病は、上昇した血糖値を下げるように調節するインスリンの分泌が足りない、もしくは正常に作用しないことにより、血液中の糖分が増えすぎてさまざまな症状を引き起こす病気です。
中~高齢になって発症することが多く、ミニチュアダックスフンド、トイプードル、ミニチュアシュナウザー、ゴールデンレトリバー、ジャーマンシェパードなどがかかりやすいと言われています。加えて、避妊をしていないメスも発症リスクが高いので注意が必要です。
主な症状
糖尿病になると、以下のような症状が見られます。また、症状が進行すると下痢や嘔吐、元気消失、食欲低下、脱水などの症状も見られます。
犬の糖尿病の代表的な症状
- 多飲多尿
- 異常な食欲
- よく食べるのに体重が減る、痩せていく
予防法
栄養バランスのよい食餌や適度な運動によって肥満を防ぐことが、予防につながります。また、メスの場合は、避妊手術をすることで発症リスクを下げられます。
血糖値が低い場合に考えられる病気
犬の血糖値が低い場合に考えられる代表的な病気には、低血糖症が挙げられます。
低血糖症
低血糖症は、血糖値が極端に低くなることで引き起こる病気です。血糖値が60mg/dl未満に下がっている状態が低血糖ですが、血糖値が45mg/dl未満になってから症状が見られることも多いです。
主な症状
血液中のブドウ糖は、脳の働きに欠かせないエネルギー源なので、血液中のブドウ糖が不足すると脳が影響を受け、以下のような症状が見られます。
犬の低血糖症の代表的な症状
- 元気消失
- ふるえ、けいれん
- 昏睡
- 運動失調
- 低体温
原因
子犬の場合の原因は、長時間の空腹、身体の冷え、寄生虫やウイルス性の腸疾患、先天性疾患などです。
成犬の場合は、副腎皮質機能低下症やインスリンの過剰分泌(膵臓の腫瘍)、肝臓腫瘍、重度の感染症、糖尿病により血糖値のコントロールのために用いられるインスリンの過剰投与、キシリトールの誤食による中毒などが挙げられます。
予防法
子犬の場合は、1回あたりのフードの量を減らして食餌の回数を増やし、次の時間までの間隔を短くすることが予防になります。 痩せている場合は、しっかりと栄養のある総合栄養食を体重に見合った量で与えて、標準的な体型を目指しましょう。
成犬の低血糖症においては、まず原因となる基礎疾患を特定して治療する必要があります。
定期的に愛犬の血糖値を測定するようにしましょう
愛犬の血糖値が正常な範囲より高い・低い場合は、何らかの病気が疑われるので、早めに動物病院を受診しましょう。特に低血糖症は、重症化すると神経症状や意識障害などを引き起こすことがあるので注意が必要です。
また、健康診断の時などに定期的に愛犬の血液検査(血糖値を測定)をして、おおよその正常値を把握しておきましょう。
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この記事のライター
choco
シェルティとの生活に憧れる社会人です。みなさんの愛犬との暮らしがより豊かになるような情報を発信できたら、と思っています!
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