【獣医師監修】犬の前立腺肥大はどんな病気?放っておくと命に関わることも。
人間の男性もかかるリスクのある前立腺肥大という病気は、犬でも未去勢のオスによく見られる病気です。発現する症状を見極めた上で適切な治療を施すことにより、改善を見込むことができます。この記事では犬の前立腺肥大について原因や症状、治療法・予防法も解説します。
犬の「前立腺肥大」の症状とは
「前立腺肥大」とは、未去勢のオスが罹患しやすい病気ですが、前立腺が大きく膨らんでしまうことによって、さまざまな症状が出てきます。
まず前立腺の位置は膀胱に近いところにあり、尿道は前立腺の中を通っています。何らかの原因で前立腺が肥大して尿道を圧迫してしまうと排尿困難となります。また前立腺の真上には直腸がありますから、前立腺肥大によって直腸までが圧迫され排便困難を引き起こします。
前立腺肥大の初期症状
前立腺は腹腔内に存在しているため、肥大したとしても外からは見えません。そのため異常が分かった時には病状が進行していることも多くあります。 初期には無症状のことが多く、前立腺の肥大が進むにつれて排尿困難、排便の姿勢はするものの便をしないしぶり、血尿や血便などの症状が現れてきます。
また前立腺が腸や膀胱を圧迫して、会陰部から飛び出す会陰ヘルニアを併発することもあります。
会陰ヘルニアについて詳しくはこちらで解説しています
他の犬や人間にうつる?
犬の前立腺肥大は、体の内部要因によって起こる病気のため、他の犬や人間にうつることはありません。
前立腺肥大を引き起こす原因は?
原因はいくつかのことが考えられますが、主な要因としては雄性ホルモン異常が挙げられるでしょう。また腫瘍による前立腺肥大も考えられるところです。
原因|1.ホルモン異常による原因
ほとんどの原因とされているのが、精巣から分泌される雄性ホルモンであるアンドロゲンの作用によるものです。また前立腺は加齢と共に大きくなる傾向にあります。疾患が疑われる場合は、獣医師による触診や直腸検査、レントゲン検査、腹部超音波検査などによって正しい診断が下されます。
原因|2.腫瘍によるもの
前立腺に腫瘍ができてしまい、結果的に尿道や直腸などを圧迫するものです。悪性腫瘍の場合は前立腺癌と診断されます。症状としてはホルモン異常の場合と変わりませんが、転移性が高いために周辺の骨盤や腰椎への転移が見られます。重篤となった場合は歩行困難となってしまいます。
前立腺肥大にかかりやすい犬種や年齢
犬種による発生差はほとんどなく、どの犬種にも共通してリスクのある病気です。かかりやすい年齢については、前立腺が肥大傾向にある未去勢のオスで、中年期~シニア期にかけて多く見られます。
犬の前立腺肥大の治療方法
根本的な治療方法としては外科手術が一般的です。前立腺肥大を促進させるアンドロゲンの作用を止めるために、アンドロゲンを分泌している精巣を除去する去勢手術が行われます。去勢後はアンドロゲンの影響がなくなるため、前立腺はやがて小さくなっていきます。
しかし他に心臓病など重篤な疾患を抱えていたり、かなりの高齢犬である場合は麻酔のリスクが高すぎるため、外科手術は避けることになります。
犬の前立腺肥大の治療にかかる費用は?
内科的な治療と、去勢手術とのセットが一般的です。 犬の身体の大きさによって費用は上下しますが、おおむね3〜5万円程度となるでしょう。
犬の前立腺肥大の効果的な予防方法
最も効果的な予防法は若い適切な時期に去勢手術をすることです。若齢の時に去勢手術をすることで、さまざまな生殖器疾患のリスクも防げます。ただし前立腺肥大の原因が腫瘍だった場合は、去勢による予防はできません。
再発の可能性は?
ホルモン異常による前立腺肥大の場合、まず再発することはないでしょう。しかし前立腺に腫瘍ができる可能性はゼロではないため、定期的な検診は欠かせないと言えます。
日頃からの健康チェックで早期発見につなげよう
一般的には、リスクをなくすために若いうちに去勢手術をしておけばあまり恐れることはない病気です。また比較的犬の負担も少ないため、適切な治療によって改善する可能性は高いと言えるでしょう。日頃から愛犬の排便、排尿の様子などを観察しておけば、必ず早期発見に繋がりますので日頃からよく見ておきましょう。
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この記事のライター
choco
シェルティとの生活に憧れる社会人です。みなさんの愛犬との暮らしがより豊かになるような情報を発信できたら、と思っています!
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