「トイ・マンチェスター・テリア」と「ミニチュア・ピンシャー」の違いって?似ている2つの犬種の見分け方や共通点をご紹介!
トイマンと呼ばれることもあるトイ・マンチェスター・テリアとミニピンの愛称で親しまれているミニチュア・ピンシャー。一見すると、同じ犬種に見えてしまうほどそっくりですが、それぞれマンチェスター・テリア種とピンシャー種という原産国が異なる全く違う犬種です。
今回は、見間違えてしまうことも多いこの2犬種の特徴や共通点、見分け方などについて解説します。
目次
トイ・マンチェスター・テリアとミニチュア・ピンシャーの見分け方
顔つきや体つきなど、一見すると見分けがつきにくいトイ・マンチェスター・テリアとミニチュア・ピンシャーですが、いくつか見分けるポイントがあります。
トイ・マンチェスター・テリアには独特のマーキングがある
トイ・マンチェスター・テリアとミニチュア・ピンシャーどちらもブラック・アンド・タンの被毛カラーだった場合の見分け方として、マーキングの位置があります。
トイ・マンチェスター・テリアには、ミニチュア・ピンシャーにはないマーキングがあります。まずは顔周りで見てみます。両ほほ、下顎と喉にタンのマーキング、唇の線はブラックのトイ・マンチェスター・テリアに対し、ミニチュア・ピンシャーのマーキングは喉の下側のみです。顔を見て見分ける場合は、ほほのマーキングが目印となります。
さらにトイ・マンチェスター・テリアには、足回りに独特のマーキングがあることが特徴です。前後の足指それぞれにエペンシリングと呼ばれる黒いラインとサムマークと呼ばれる鮮明な黒のマーキングが入っています。
ミニチュア・ピンシャーの被毛カラーは3タイプある
ミニチュア・ピンシャーは、ブラック・アンド・タン以外にも、「ディア・レッド」「レディッシュ・ブラウン」「ダーク・レッド・ブラウン」の3タイプがあるのに対し、トイ・マンチェスター・テリアの被毛カラーはブラックアンドタンのみです。そのため、ブラックアンドタン以外の被毛カラーの場合はミニチュア・ピンシャーとなります。
トイ・マン・チェスターテリアとミニチュア・ピンシャーの共通点
ドイツ、イギリスと全く別の国で誕生したトイ・マンチェスター・テリアとミニチュア・ピンシャーですが、なぜかそっくりな容姿をしています。
トイ・マンチェスター・テリアの基礎犬はマンチェスターテリアで、ミニチュア・ピンシャーの基礎犬はジャーマンピンシャー。どちらも、ネズミ狩りを使役として作出された犬種です。そのためネズミを素早く捕まえるために、小柄で細い体つきのスムースコートをまとった容姿が特徴です。
トイ・マンチェスター・テリアの特徴
トイ・マンチェスター・テリアはイギリスのマンチェスター原産の小型犬で、イギリスではイングリッシュ・トイ・テリアと呼ばれています。
19世紀のイギリスでは、うさぎ狩りやネズミ捕りどちらにも適している犬種の育種が行われていました。そこで生み出されたのが、ブラック・アンド・タン・テリアとウイペットを組み合わせたスタンダード・マンチェスター・テリアです。このスタンダード・マンチェスター・テリアをさらに小型化し機敏で頑丈な体を持つ犬として誕生したのがトイ・マンチェスター・テリアです。以前は、スタンダードタイプとトイタイプは別々の犬種として登録されていましたが、現在は同じマンチェスター・テリアのサイズ違いとして登録されています。
トイ・マンチェスター・テリアは、怖いもの知らずのテリアとしての本能と敏しょう性を持ち、小型犬とは思えないほどの運動能力を備えた犬種です。スタンダード・マンチェスター・テリアと同じ、筋肉質で均整のとれた美しい流線型の体つきが特徴です。被毛カラーはブラック・アンド・タンのみで、サムマーク、ペンシリングといったトイ・マンチェスター・テリアならではのマーキングが入っています。体高は25~30cm、体重は2.7~3.6kgが理想とされています。
ミニチュア・ピンシャーの特徴
ミニピンの愛称を持ち、世界中で絶大な人気を誇るミニチュア・ピンシャーは、南ドイツ原産の犬種です。1885年にドイツの犬種クラブに登録されたピンシャーから誕生したジャーマン・ピンシャーやイタリアン・グレイ・ハウンド、ダックスフントを基礎犬に持ちます。
ジャーマン・ピンシャーの頑丈な体、ブラック・アンド・タンの被毛カラー、ダックスフントの大胆不敵な性格とレッドの被毛カラー、そしてイタリアン・グレイ・ハウンドの優雅で遊び心のある声質としなやかな動きを併せ持つ犬種として、ミニチュア・ピンシャーが誕生したのです。
原産国ドイツでは、レイと呼ばれる赤い小型の鹿に似ていることから、「レイ・ピンシェル」、また超小型という意味から「ツベルク・ピンシェル」と呼ばれることもあります。
なお、同じピンシャーがつくことから、ドーベルマンピンシャーを小型化した犬であると思われがちですが、ミニチュア・ピンシャーの方が歴史が古く、基礎犬が異なる全く別の犬種です。
ミニチュア・ピンシャーは、小型犬ながら大胆で活発、機敏で警戒心が強い番犬として有能な犬種です。サテンのようになめらかな被毛と筋肉質でコンパクトな体つきが特徴です。被毛カラーは、レッド、ブラック・アンド・タン、チョコレート・アンド・タンの3タイプで、体高は25~30cm、体重は4~6kgがスタンダードとされています。
トイ・マンチェスター・テリアとミニチュア・ピンシャーの共通点
トイ・マンチェスター・テリアとミニチュア・ピンシャーは、どちらも「ネズミを素早く捕まえること」を目的として作出された犬種のため、外観やサイズがそっくりです。特に、判別がつきにくい理由として、体高がほぼ同じであること、ブラック・アンド・タンの被毛カラー、目の上にマーキングがあることも共通点です。また、胸に2つに分かれた三角形のマーキングがあることも共通点と言えます。
トイ・マンチェスター・テリアとミニチュア・ピンシャーの性格の違い
どちらも同じようにネズミ捕りの使役を持っていたトイ・マンチェスター・テリアとミニチュア・ピンシャー。見た目は良く似ていますが、性格には違いがあります。
忠実で遊び心のあるトイ・マンチェスター・テリアの性格
陽気で好奇心旺盛、勇敢なテリア気質を持ち合わせているトイ・マンチェスター・テリアですが、飼い主と一緒に遊ぶことが大好きで寂しがり屋の面もある性格が特徴です。
ただし、小動物を狩ることを使役としていた性質が強く残っているため、子犬期からの社会化は必須です。
大胆不敵なミニチュア・ピンシャーの性格
「キングオブトイ」とも呼ばれるミニチュア・ピンシャーは、小型犬の中で最もエネルギッシュな犬種と言われています。
好奇心旺盛で、大胆、頑固とテリア気質にも似た性質と遊び好きで運動欲求の高い性格です。小型犬ながら大型犬にも匹敵するほどの活発さと頑丈な体が特徴です。
プライドが高いため、飼い主は子犬の頃からしっかりとしたリーダーシップを発揮することが求められます。
トイ・マンチェスター・テリアもミニチュア・ピンシャーも飼い主に忠実
トイ・マンチェスター・テリアとミニチュア・ピンシャーは、同じような歴史を持つ犬種です。
ドイツ語でピンシャーはテリアとほぼ同じ意味を持つとされているため、ドイツ版テリアと考えた方が良いのかもしれません。見た目が似ているだけではなく性格的にも似ている面があるため、一見したところではどちらの犬種なのか見分けがつきませんが、2犬種とも愛玩犬とは全く異なる性質であるため一緒に暮らす場合は、しっかりとしたしつけが必要となります。
この記事のライター
nao
「愛犬の気持ちを理解したい」「寄り添ったコミュニケーションを取りたい」という思いからドッグライターとして犬に関する知識を学び、発信しています。愛犬の笑顔を守るために、そして同じ思いを抱く飼い主さんのために、有益な情報を発信していけたらと思っています。
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