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【獣医師監修】大型犬は特に注意。犬の胃捻転(いねんてん)について解説します

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「胃捻転(いねんてん)」という病気をご存知でしょうか?人間にも同じような症状の病気がありますが、犬の胃捻転は罹患すると非常に怖い病気で、明確な原因は不明であるものの、特に大型犬で起こりやすく、致死率も高いため注意が必要です。

本記事では犬の胃捻転について解説していきます。

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目次

  1. 犬の胃捻転について
  2. 犬の胃捻転の具体的な症状とは?
  3. 犬の胃捻転の原因・かかりやすい犬種は?
  4. 愛犬が胃捻転になってしまった場合の対処法
  5. 胃捻転の疑いがある場合は早急に動物病院へ

犬の胃捻転について

アイリッシュセッター

胃捻転は、正確には「胃拡張捻転症候群」という病気です。「胃拡張捻転症候群」とは胃が膨らみすぎて位置が変わってしまう(変位と言います)ことによって起こる病気の総称のことです。

胃の変位が長時間にわたると、胃内ガスや泡による過度の拡張や、それによって血液の流れが遮断されて心臓への血流が低下したり、また胃から感染が起こることによる敗血症でショック状態が誘発されることがあります。

「胃拡張捻転症候群」は大型犬に多く発症し、十分な治療を施しても致死率が15~28%と高い病気で、積極的な治療が必要な救急疾患となります。

犬の胃捻転の具体的な症状とは?

セントバーナード

胃捻転に罹ると、胃の捻れが起こると同時に食道も捻れるため、胃内からガスや内容物の流出が困難になります。そして、過度な胃の拡張のために血液の流れが遮断されて、心臓に上手く血液が流れなくなり、血圧が低下しショック状態になります。

また捻転によって胃が虚血し、組織が壊死してしまいます。胃の壊死が見られる場合には血液中の乳酸濃度が上昇し、予後が悪いという報告があります。

さらに壊死部分に孔が空くと胃内容物が腹腔に流出して腹膜炎を発症し、腹膜炎から敗血症性ショックへと移行します。このとき心筋に対する毒素が生じるため、不整脈が起こることがあります。

胃捻転になると犬に起こる症状とは?

この病気が生じると、動物は嘔吐しようとしても嘔吐できず、多量の流涎(りゅうぜん。よだれを流すこと)の症状が出ます。また急激なお腹の膨らみ(腹部膨満)を伴い、背中を丸め、落ち着きのない様子を見せることもあります。重篤な場合には血圧低下、心拍数の増加が見られ、呼吸が荒くなり、沈鬱な状態になります。

犬の胃捻転の原因・かかりやすい犬種は?

グレートデン

胃拡張捻転症候群の明らかな原因は不明ですが、大型犬で胸が深い大型犬(例としてはジャーマンシェパードやボルゾイ)で、一度に多量の食餌を与えるなどの胃に負担をかける給餌方法、食後の運動やストレスが危険因子として挙げられています。

発症が多い犬種はグレート・デン、ワイマラナー、セント・バーナード、ジャーマン・シェパード、アイリッシュ・セッターなどが挙げられます。

犬の胃捻転の診断方法は?

診断方法は、まずはすぐにレントゲン検査を実施することです。明らかに胃が拡張しているだけなのか、捻転しているのかがすぐに分かります。また胃以外にもガスが認められた場合には孔が空いている可能性が高く、全身麻酔をかけての緊急手術が必要になります。

愛犬が胃捻転になってしまった場合の対処法

グレートデン

致死率が高く、怖い病気である犬の胃捻転。そんな胃捻転になってしまった場合の対処法はあるのでしょうか?ここからは治療法と予防法についてご紹介します。 

犬の胃捻転の治療法は?

胃捻転になってしまったら、胃の過度な拡張は血流を邪魔し、呼吸に影響するため、迅速に減圧しなければなりません。口からチューブを胃内に入れてガスを抜くか、太い針をお腹に刺してガスを排出します。チューブの方が望ましいですが、捻れていると食道を通過できないこともあります。

血流低下によってショック状態になっている場合には、急速輸液療法を行います。また不整脈が起きている場合には抗不整脈薬などを投与します。

胃拡張捻転症候群では時間が経過すると、胃の虚血壊死が進行して孔が空いてしまう危険性が生じてきます。犬の状態が安定した後は出来るだけ早く外科的治療を実施すべきです。

外科的治療の目的は胃を元の位置に戻し、どの程度消化管や内臓が傷害されているか確認し、壊死している部分は除去し、そして再発防止のために胃をお腹の壁に固定することです。

犬の胃捻転を予防する方法は?食餌は?

非常に怖い胃捻転の発生を予防する目的で、発症の危険性が高い犬種では次のような予防策をとった方が良いでしょう。

■予防策の例

  • 食餌は小分けにして与え、1度に多量を給餌しないようにしましょう。
  • 食餌中は興奮させないようにし、多頭飼育では犬を分けて給餌する方が良いでしょう。
  • 食餌を与えたばかりの時間に運動させることは控えましょう。
  • 空気を飲み込んでしまうかもしれないので、食器は台などを用いて高い位置に配置してゆっくりと食べさせましょう。

胃捻転の疑いがある場合は早急に動物病院へ

ボルゾイ

もし愛犬が大量によだれをたらしていたり、異常な腹部膨満など、普段とは違う症状が認められた場合には、出来るだけ早く動物病院を受診するようにしましょう。そのためにも日頃から愛犬の正常な状態をチェックするようにしてくださいね。

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choco

この記事のライター

choco

シェルティとの生活に憧れる社会人です。みなさんの愛犬との暮らしがより豊かになるような情報を発信できたら、と思っています!

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