トイプードルはどこの国が原産?~歴史や名前の由来と人間との関わりについて~
トイプードルと聞けば、あまり犬に詳しくない人でもなんとなく姿を想像できたり、名前だけでは分からなくとも、写真を見れば「あ、見たことある!」となる犬種ではないでしょうか。それほどまでに私たちの認識が定着しているトイプードルですが、どこ出身の犬種なのか疑問に思ったことはありませんか?今回は、トイプードルの原産国や歴史、犬種名の由来と私たちとの関わりについてお話ししていきたいと思います。
トイプードルは長い歴史を持つ犬種
トイプードルは、はじめからあの大きさだった訳ではありませんでした。「プードル」という犬種の中の「トイ」というサイズであり、現在のスタンダードプードルが小型化されていったことで、今日よく知られている大きさのプードルが誕生したとされています。そのため、トイプードルの歴史をひも解くには、元になったスタンダードプードルの歴史を知る必要があります。
プードルにはJKC(ジャパンケネルクラブ)に公認されているだけで、「トイプードル」、「ミニチュアプードル」、「ミディアムプードル」、「スタンダードプードル」の4つのサイズがあり、犬種としては全て「プードル」という扱いになります。サイズは異なるものの、基本的な性格や毛色、毛質、体型などはほとんど変わらないためです。
プードルの出自については未だに分かっていないことも多く、諸説あるため、この国が原産国であると言い切ることが難しい犬種です。唱えられている主な説をご紹介します。
ローマ説 | ・紀元前30年ごろのローマ皇帝の記念碑にプードルのような犬の彫刻があることから |
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ロシア説 | ・ロシアに存在していたプードルに似ているバーベット(バルビー)という犬が、 様々な犬と交雑したことでプードルが誕生したと考えられることから ※ただしバーベットは、ヨーロッパやアジアなどにも分布していた |
ドイツ説 | ・プードルという犬種名がドイツ語を語源としている ・ドイツのワッセルフンドという犬が品種改良されたことで、 プードルが誕生したと考えられることから |
フランス説 | ・フランスの国犬になっており、フレンチプードルとの呼び名がある ・貴族の間でプードルの独特なカットスタイルが人気になり、 小型化されたことで大衆にも人気が高まっていったことから |
この他にも、南米で活躍していたウォータードッグが祖先という説もあります。たしかに、巻き毛で泳ぎが得意で理解力が高いウォータードッグは、プードルと似通っている部分が多いように思えます。バーベットもワッセルフンドもウォータードッグなので、これらの犬からプードルという犬種が誕生したのは間違いないかもしれません。
現在では、「ロシア、中央アジア北部などに広く分布していた犬が、ヨーロッパの土着犬と交雑していき、最終的にドイツからフランスへ入り広まったのではないか」という説が有力ではあるものの、依然としてフランスが原産国であると紹介しているサイトは多く、JKCのホームページでも、フランスが原産地と紹介しています。しかし、ドイツ産のバーベットが元になったとの説から、ドイツを原産国としているサイトもあります。「その地に分布していた」ということに重きを置くのか、「広く知れ渡った」ということに重きを置くのかでも変わってきそうですね。
このようにプードルの原産国においては、どこの国が発祥なのかはっきりと特定することが難しいのです。説としては薄いものの、もし、ローマ皇帝の記念碑に彫られている犬が本当にプードルであるとすれば、とても古い歴史を持つ犬種ですよね。
トイプードルはいつごろから存在した?
16世紀ごろにフランスの上流階級の間でプードルが人気になり、愛玩犬としての需要が高まったことから、スタンダードプードルの小型化が進んでいき、ルイ16世の時代にトイプードルが作出されたとされています。
しかし、トイプードルにおいては、15世紀にルネサンス期を代表するドイツの画家(また、版画家・数学者)であるアルブレヒト・デューラーの作品に、トイプードルと思しき犬が描かれていることが確認されており、このころから存在していたのではないかとも言われています。
18世紀にはスペインの宮廷画家であるゴヤの絵画にも登場しており、イギリスでも人気であったことが記されていることから、広く人気を博していたことをうかがい知ることができます。
プードルの活躍
プードルはかつて、大きな身体や得意な泳ぎを活かして荷物を運んだり、鴨狩りに従事していました。プードルと言えば、真っ白の被毛に、頭や胸元、足先がもこもこの見た目をイメージする方もいらっしゃるかもしれません。あのカットスタイルは「コンチネンタルクリップ」と呼ばれるスタイルで、水に入り獲物を回収するプードルの泳ぎやすさや心臓保護のために考えられたものでした。ポンポンのような尻尾のカットは、泳いでいるプードルの目印としての役割もあったのです。
このコンチネンタルクリップが、フランスでファッション性を重視したカットに変わっていき、階級問わず人気が広がっていったことから「フレンチプードル」とまで言われるようになりました。おしゃれに敏感なフランスの国民性を考えると、なんだか分かる気がします。
プードルは使役犬や猟犬の他にも、訓練性の高さや芸をよく覚える賢さが買われ、サーカスで活躍していたこともあります。現在でも、サーカスでその活躍を見ることができるのではないでしょうか。機会があれば、芸を披露するトイプードルに会いに行ってみてください。
また、優れた嗅覚を活かしてトリュフの探知犬としても従事していたこともありました。探知犬としては、身体の小さいミニチュアプードルやトイプードルが特に重宝されており、イギリスで運用が始まったのち、フランス、スペインなどへ広がっていったとされています。
これらの他にも軍用犬や警察犬として活躍している子もいました。近年では抜け毛の少なさから、アニマルセラピー犬や介助犬としても従事するなど、その活躍の幅は広く、目的に合った大きさに改良が重ねられ、私たちの暮らしに密接に関わってきた犬種であるということが分かります。
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絶滅しかけた過去も?
様々な国で愛されているプードルですが、全ての国で大人気だった訳ではありません。アメリカでは一時、絶滅の危機に瀕したこともあります。もともとアメリカではプードルの人気は低く、20世紀ごろには飼われなくなってしまったのです。1920年ごろには犬種として絶滅しかけるも、1930年代になり少しずつ人気を持ち直して、現在の地位を確立しました。
アメリカでは、ラブラドールレトリバーが何十年も連続で1位であったことや、フレンチブルドッグやジャーマンシェパード、ゴールデンレトリバー、ロットワイラーなどがトップ10にランクインしていることから、中・大型犬が好まれる傾向にあるのかもしれません。
プードルもランクインしていますが、ここでのプードルはスタンダードプードルを指しています。
ちなみに、AKC(アメリカンケネルクラブ)が発表した最新のランキング(2023年3月)では、1位はフレンチブルドッグとなり、31年ぶりに首位が交代しました。
トイプードルという名前の由来は?
トイプードルのトイはサイズを表すと先ほどご説明しました。そのため、「プードル」という犬種名の由来についてご紹介します。
ドイツとフランスで呼び方が違う?
プードルという犬種は泳ぎが得意で、鴨を回収し狩りのパートナーとして活躍していました。そのため、フランスでは鴨犬を意味する「カニシェ」と呼ばれています。しかし、私たちに馴染みのある名前とは少し違いますよね。
「プードル」という名前は、ドイツ語の「プーデルン(プデル)」が語源と言われています。「水の中でバチャバチャと音を立てる」という意味がありますが、鴨猟での活躍が反映されている名前ですよね。
トイプードルと人間の関わり
プードルは数世紀にわたって私たちと関わりがあることが分かりました。当初は使役犬や猟犬としての側面が大きかったものの、現在では愛玩犬として人々と暮らしています。その賢さから、しっかりしつければとてもよいパートナーになってくれることでしょう。
たとえ小柄であっても、猟犬としてのルーツを持つため活発です。室内だけでなく毎日のお散歩と定期的にドッグランで思いっきり走らせてあげることで、運動欲を解消してあげましょう。泳ぎも得意なので夏場は水遊びも楽しめますね。愛玩犬としてのイメージが強いですが、アジリティなどのドッグスポーツも得意です。愛犬と一緒にアクティブに過ごしたいのであれば、怪我には気をつけつつ、ドッグスポーツにも挑戦してみてはいかがでしょうか?絆が深まり、かけがえのない時間を過ごすことができるでしょう。
この記事のライター
choco
シェルティとの生活に憧れる社会人です。みなさんの愛犬との暮らしがより豊かになるような情報を発信できたら、と思っています!
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