犬の薬の飲ませ方を形状別に解説!注意点や飲まないときのコツも紹介
愛犬の病気を早く治してあげたくても、「薬を全然飲んでくれない」と心配になってしまいますよね。
薬は種類もさまざまなうえに、風味やにおいも違います。そのため、犬はいつも食べているおやつと異なることをすぐに察知します。
そこで今回は、犬に薬を飲ませる方法とその際の注意点やコツを薬の形状別に解説します。
「薬の飲ませ方がわからない」と悩んでいる飼い主さんはぜひ参考にしてみてください。
犬の薬の飲ませ方
犬の薬の飲ませ方について薬の形状別に解説します。
錠剤の飲ませ方
錠剤とは、一定量の薬剤を服用・持ち運びしやすいように圧縮し固めたものです。
薬剤の苦味を抑える工夫として、糖で全体をコーティングしているものもあります。
錠剤を飲ませる際の手順
- 両手で上下の顎を掴み、上顎を持ち上げて口を開けさせる
- 錠剤を喉の奥に置き口を閉じる
- 犬が口を開かないよう抑え、顔を上にあげさせて飲み込ませる
犬に錠剤を飲み込ませる際は、顔を上にあげさせたあと喉元をゆっくりなでます。そうすることで薬の飲み込みを誘導できます。
犬が錠剤を飲んでくれない際の対処法
上記の飲ませ方で飲んでくれなかった場合は、錠剤を飲み込みやすいサイズにしたうえで、愛犬の好物やおやつに混ぜてあたえるのがおすすめです。
薬をカットまたは破砕する際は、事前に獣医師へ相談するようにしましょう。
錠剤を飲ませる際のコツ
錠剤を飲ませる際は、犬に薬の味を覚えさせないようにするのがコツです。
一度でも薬の苦味を知ってしまうと、次回から薬を飲ませる際にすぐに気付かれてしまいます。
粉薬の飲ませ方
粉薬は散剤とも呼ばれ、薬剤を粉末状にすることで体への吸収を促進し、錠剤より早い効能をもたらします。
また、量の調整が簡単にできるため、犬の年齢や体重にあわせた柔軟な処方が可能です。
粉薬を飲ませる際の手順
- 犬の口を閉じ、口の端にある緩み部分に指を入れ頬を外側に引っ張る
- 指に粉薬をつけ、口の横側(歯と頬の間)にある粘膜に塗る
- 頬を揉みこむようにして飲み込ませる
一度に多くの薬を飲ませると誤嚥(ごえん)につながる恐れがあり危険なため、ゆっくり少しずつ飲ませるようにしましょう。
また、粉薬を飲ませたあとは給水させ、体内に薬の成分がきちんと行き届くようにすることも忘れてはいけません。
犬が粉薬を飲んでくれない際の対処法
粉薬は苦味の強いものが多いため、直接服用させようとしても嫌がる犬が多いです。
上記の方法で上手くいかない場合は、粉薬を水に溶いて液体状にしたものを、スポイトを用いて飲ませる方法がおすすめです。
口の正面から飲ませようとすると、横からこぼれ出てしまう恐れがあるため、粉薬を粘膜に塗りつけるときと同じように、口の横側から少しずつ飲ませるようにするのがコツです。
シロップの飲ませ方
シロップは薬剤に甘味料を加えて甘みをつけ、飲みやすいよう粘度を高くしたものです。粉薬のような苦さがないため犬も好んで飲んでくれます。
シロップを飲ませる際の手順
- 犬の口を押さえ、上向きに開けるよう誘導する
- 口の端からスポイトやシリンジなどを用いてゆっくり飲ませる
シロップの飲ませ方は、粉薬を水に溶いて飲ませる場合と類似しています。
シロップは粘度がありとろみが強いため、飲ませる量が多いと誤嚥につながる恐れがあります。少量をゆっくり飲ませるよう意識しましょう。
シロップを飲ませる際のコツ
犬にシロップを飲ませたあとは、少し口を上に向けさせた状態にしておきます。そうすることでシロップの飲み込みがスムーズになります。
※この際、口を上に向けすぎると、気管に入る、むせるなどの原因となるため、口は少しだけ上に向けさせる程度に留めましょう。
犬が薬を飲まない原因
犬が薬を飲まない理由はいくつか考えられます。今回はそのなかでも代表的なものを5つ紹介します。
味が嫌い
犬もそれぞれ味の好き嫌いがあります。
特に苦味の強い粉薬は、一度口にしてその味を知ってしまうと次回の投薬時に拒否反応を示すことも珍しくありません。
においが嫌い
嗅覚は犬がもつ感覚器官で最も優れており、犬種によって違いはあるものの、においに対する感度は人間の約100万倍ともいわれています。
薬には独特なにおいがあるため、犬の効きすぎる嗅覚のまえではすぐに気付かれてしまいます。
満腹
食後で満腹の状態になっていると薬を与えても飲み込んでくれません。ですから、薬の服用が必要な場合には食事量の調整もあわせて行います。
※薬によって、食前・食後などあたえるタイミングに違いがあるため、獣医師の指示通りに服用させましょう。
薬の量が多い
愛犬が薬の服用をごねるようであれば、与える量が適切であるか確認します。
薬の量が多すぎると誤嚥の原因となり危険ですので、少しずつゆっくりと服用させましょう。
飼い主の雰囲気がいつもと違う
犬は飼い主の表情や仕草からその心情を読み取ることができるといわれています。ですので、犬はあなたがいつもと違う行動をとっていれば不信感を抱きます。
表情や仕草をできるだけ変えず、いつもどおりを心がけて犬と接するようにしましょう。愛犬に違和感をあたえないことが大切です。
犬が薬を飲まないときに試して欲しいこと
犬が薬を飲まないときはこれらの方法を試してみましょう。
食べ物に混ぜる
犬にストレスをあたえることなく薬を飲ませる方法として定番なのが、食べ物に混ぜることです。
嗜好性の高い食べ物に混ぜるのがおすすめなので、愛犬に大好物があればそれに混ぜて食べさせましょう。
最初から薬を混ぜると警戒される恐れがあるため、最初は普通に食べさせて、あとから薬を混ぜるのがおすすめです。
おやつに混ぜる
愛犬の好きなおやつに混ぜて薬を飲ませるのも有効な手段です。
日頃から食べているおやつであれば警戒心も少なくて済み、かつスムーズに食べてくれることが多いです。
しかし、病気の症状によっては、おやつの成分が病気の悪化につながるケースもあるため、事前に獣医さんに確認しておきましょう。
ピルポケットを使う
ピルポケットとは、薬を入れる穴が中央に開いた投薬用おやつのことです。柔らかくできているので、薬を入れたあとに全体を覆い隠すこともできます。
通常のおやつ類より薬を包み込みやすいというメリットがあるため、普段のおやつを用いた投薬が難しい場合に最適です。
服薬ゼリーやオブラートを使う
服薬ゼリーやオブラートに包むことで、薬特有のにおいを軽減できます。
また、服薬ゼリーやオブラート自体に味がついている商品もあるため、愛犬の好む風味のものを探して活用することもできます。
犬に薬を飲ませるときの注意点
犬に薬を飲ませるときの注意点を5つ紹介します。
薬と食べ物との飲み合わせを考える
薬を服用させるため、フードやおやつなどの食べものに混ぜるのはとても有効な方法です。
しかし、食べ物に薬を混ぜてしまうと、ごくまれに効果が薄れてしまう場合があります。
そのため、食べ物に混ぜて薬を服用させる際は、担当の獣医師に相談してから行いましょう。
誤嚥に気をつける
食べ物を摂取すると、口から喉を通過し食道を経て胃へ到達します。
しかし、何らかの原因によって誤嚥が発生すると、食べ物や唾液を飲み込んだ際、食道や胃ではなく気管に入り込んでしまいます。
誤嚥を起こすと、激しい咳き込みやくしゃみ、むせなどの症状がみられ、場合によっては誤嚥性肺炎に発展する恐れもあり大変危険です。
そのため、薬を服用させる際は犬の状態を確認しながら、ゆっくり少量ずつ飲ませることを意識しましょう。
体の未発達な子犬や、吐き出す力が低下している老犬に薬を飲ませる際は、特に注意深く観察しましょう。
薬の服用後に水を飲ませる
薬の服用後は水を飲ませるようにし、食道に薬が残らないようにしなければなりません。
理由は二つあり、一つ目は薬の成分を体内へしっかり行き届くようにするため、二つ目は食道に薬が残留するのを防止するためです。
錠剤の場合、段階的に体内で溶けるように作られています。そのため、水を飲ませてしっかりと体内に薬を取り込ませるようにしなければいけません。
また、食道に薬が残留すると、食欲不振や脱水などの症状を引き起こす食道炎を発症するリスクも高まります。
薬の形状を変えない
薬は病気の症状にあわせ適切な効能が発揮されるよう、形状も計算されて作られています。ですから、極力薬の形状を変えるのは避けるべきです。
ですが、愛犬がどうしても薬を飲んでくれない場合は、獣医師に相談のうえで破砕し形状変化による服用を促すか、使用する薬の変更を検討しましょう。
嫌がるときは無理にあげない
犬が嫌がるときは無理に薬を飲ませないようにします。
無理やり薬を飲ませてしまうと犬は薬に対して嫌悪感を抱いてしまいます。そのため、犬が嫌がる素振りをみせたら、少し時間を空けるようにしましょう。
犬が薬を上手に飲めたときは目一杯褒め、ご褒美のおやつをあげて、薬を飲むことによって犬にも嬉しいことがあると認識させると効果的です。
薬を飲み忘れたときは
愛犬に薬を飲ませるのを忘れてしまったときは、処方された動物病院に相談するのが最適です。というのも、犬が患っている疾患によっては、1回の飲み忘れが体調に大きく影響する恐れがあるためです。
また、動物病院で処方された薬には有効期限が記載されていないことが多いのですが、その場合は獣医師の指示通りに使い切るようにし、長期間保存されている薬の使用は避けましょう。
まとめ
「愛犬の病気を一刻も早く治してあげたい」という飼い主さんの気持ちとは裏腹に、薬を飲みたがらない犬も多いのが実情です。
愛犬の健康を守れるのは飼い主さんだけです。愛犬が薬を飲んでくれないことでいらだつ気持ちもわかりますが、時間をかけてゆっくり慣れさせていきましょう。
この記事のライター
toto
子どものころからダックスと暮らしてきました。犬と生活していた経験を活かし、しつけ方のポイントやこんなときどうすればいいの?という疑問について分かりやすくお伝えします。
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