ホワイト・スイス・シェパード・ドッグとは?|特徴・性格・歴史・飼い方のコツ
真っ白なシェパードを見たことはありますか?この白いシェパードは、実は3種類の犬種に分かれています。ホワイトジャーマンシェパード、ホワイトシェパード、そしてホワイト・スイス・シェパード・ドッグの3種類です。ぱっと見は3種類とも同じに見えますが、それぞれ成り立ちの背景が異なります。この白いシェパードの中でも人気の高いのがホワイト・スイス・シェパード・ドッグ。今回はこのホワイト・スイス・シェパード・ドッグについてご紹介します。
目次
ホワイト・スイス・シェパード・ドッグとは?犬種と歴史
ホワイト・スイス・シェパード・ドッグは、その名の通り、スイス原産の犬種。ヨーロッパでは「ベルガー・ブラン・スイス(Berger Blanc Suisse)」とフランス語で呼ばれています。ホワイトジャーマンシェパード・ホワイトシェパードと見た目は似ていますが、異なる犬種として登録されています。なぜ、この3犬種は異なる犬種となったのでしょうか?
ジャーマンシェパードから真っ白な毛色の子が生まれた
ジャーマンシェパードの存在は、”ジャーマン”の名の通り、19世紀末のドイツが始まりです。賢く従順な、理想的な牧羊犬を作ろうとドイツ各地から集めた優秀な牧羊犬を交配し、作りだされたのがジャーマンシェパードです。このとき交配した牧羊犬の中に真っ白な毛の犬が含まれていたのです。この真っ白な毛の遺伝子によって、真っ白な毛色のジャーマンシェパードも生まれたのです。
ちなみに、このようにジャーマンシェパードを生み出したのはドイツの軍人です。今現在でも世界中でジャーマンシェパードが警察犬・軍用犬として活躍しているのには、そもそもの成り立ちから関係していたんですね。
人気の高まりからスイスでホワイト・スイス・シェパード・ドッグが誕生
白いジャーマンシェパードは、特に北米で、白い毛色の犬が好きな愛好家から人気を集めました。ジャーマンシェパードとは別の犬種、ホワイト・シェパード・ドッグとして繁殖・保護活動が行われ、1969年にホワイト・シェパード・ドッグ・クラブ・オブ・アメリカが設立されました。その後、1970年代には、ホワイト・シェパード・ドッグがアメリカからヨーロッパに逆輸入され始めました。そうした人気の高まりから、まずスイスでホワイト・シェパード・ドッグが犬種として認められました。続いてオランダ、デンマーク、チェコで犬種の認定を受けていきました。
特に人気の高かったスイスでは、ホワイト・シェパード・ドッグを基礎犬として、ホワイト・スイス・シェパード・ドッグが作りだされたのです。ホワイト・スイス・シェパード・ドッグは、元々のホワイト・シェパード・ドッグと比較して、より穏やかで股関節の角度が高く改良が加えられています。
FCIでは公認も、AKC・UKCでは非公認
その後、ホワイト・スイス・シェパード・ドッグは2002年にFCI(国際畜犬連盟)に公認され、2011年に正式に犬種登録されることとなりました。ただし、AKC(アメリカンケネルクラブ)、UKC(ユナイテッドケネルクラブ)では現在でもホワイト・スイス・シェパード・ドッグは犬種としての公認は受けていません。AKCでは、ジャーマンシェパードの白い毛色は認められていますが、ドッグショーへの出場は認められていません。
白い毛色のジャーマン・シェパード・ドッグはヨーロッパでは絶滅が危惧されていたのですが、それは当時のドイツで番犬には適さないと考えられたためにジャーマンシェパードの品種基準から白い毛色が除外されてしまったからです。
犬種グループ
ホワイト・スイス・シェパード・ドッグの祖先であるジャーマンシェパードは、現在では警察犬のイメージが強いですが、元々は牧羊犬として作られた犬種です。そのため、ホワイト・スイス・シェパード・ドッグも牧羊犬・牧畜犬グループに属しているシープドッグとなるのです。
ホワイト・スイス・シェパード・ドッグの体重や寿命は?
ホワイト・スイス・シェパード・ドッグは、ジャーマンシェパードに比べて大きく見えますが、実はほぼ同じサイズ。日本では大型犬に分類されていますが、欧米での分類では中型犬に属します。性格は穏やかで賢いホワイト・スイス・シェパード・ドッグですが、神経質な一面も。ストレスがかかると健康寿命にも影響するため、
ストレスのかからない生活環境を整えてあげることが重要です。
適正体重・サイズ
JKC(ジャパンケネルクラブ)の基準でスタンダードとされている体重・サイズは以下の通りです。
- 体重
オス:約30~40kg
メス:約25~35kg
- 体高
オス:58~66cm
メス:53~61cm
基準のサイズはジャーマンシェパードとほぼ同じです。
ジャーマンシェパードの立ち姿は腰を低く落としていますが、ホワイト・スイス・シェパード・ドッグは品種改良の過程で、股関節の角度により腰の位置を高く保てる体型になっています。ホワイト・スイス・シェパード・ドッグがジャーマンシェパードより大きく見えるのはそのためです。
平均寿命は大型犬の中では長めだが注意が必要な側面も
ホワイト・スイス・シェパード・ドッグの平均寿命は14歳。大型犬の中では寿命は比較的長めです。ただし注意が必要な側面もいくつかあります。下痢をしやすい体質とされており、食べ物やストレスが影響しやすいので、注意しましょう。孤独が苦手でやや神経質な犬種なので、長時間の留守番などはストレスがかかりやすいです。また、特定の薬物に対して神経的な毒性が現れることもあります。健康寿命を延ばすためには、薬の摂取に細心の注意を払いましょう。
運動量は多い
牧羊犬がルーツの犬種は共通して、エネルギーが大きく運動量が大きく求められます。牧羊犬として作りだされたホワイト・スイス・シェパード・ドッグも例外ではなく、運動量は大きいです。1時間程度の散歩を1日2回、それに加えてドッグランなどで発散させてあげることも定期的にする必要があります。
ドッグスポーツも向いている
ホワイト・スイス・シェパード・ドッグは、明るく活発な性格で飼い主と一緒に何かをすることを好みます。日常の中ではボールやフリスビー、ノーズワークなどを上手く取り入れてあげるとよいでしょう。アジリティやハイキング、ランニングなどにも向いています。ただし、遺伝的に関節や脊椎の病気を発症することもあるので、注意が必要です。
ホワイト・スイス・シェパード・ドッグの被毛の特徴
ホワイト・スイス・シェパード・ドッグの最大の特徴は、なんといっても真っ白な美しい毛並み。ストレートな中程度の長さの被毛は、寒さにも対応できるダブルコートです。
汚れはつきにくいが、こまめなブラッシングは必要
ホワイト・スイス・シェパード・ドッグはの白い被毛はお手入れが大変そう…と思われがちですが、汚れがつきにくい毛質なので頻繁にシャンプーをする必要はありません。トリミング犬種でもないため、定期的にトリミングに通う必要もありません。ただし日常のブラッシングはこまめにする必要があります。毎日愛情をかけてブラッシングしてあげれば、美しい被毛をキープすることができます。春と秋の換毛期には多くの抜け毛が出ます。換毛期は1日に数回ブラッシングをして、抜け毛を取り除いてあげましょう。
ホワイト・スイス・シェパード・ドッグの性格
ホワイト・スイス・シェパード・ドッグは、ジャーマンシェパードの血を受け継いで、飼い主に忠実でとても賢いです。好奇心が強く、落ち着きがあって優しい性格です。一方で見知らぬ人に対しては警戒心が強い一面も持っています。ジャーマンシェパードより穏やかな性格に改良されたのがホワイト・スイス・シェパード・ドッグなので、ジャーマンシェパードのような攻撃性はありませんが、多少神経質なところはあります。
しつけはしっかりとする必要がある
ホワイト・スイス・シェパード・ドッグは、ジャーマンシェパードと同様に訓練性が高く非常に賢い犬種です。賢いが故に、しっかりとしつけを行わないと、手が付けられなくなる恐れもあります。ホワイト・スイス・シェパード・ドッグは臆病な面もありながら、体が大きく機敏で身体能力は高い犬種です。成犬になってからパニックを起こして飼い主が制御できないような事態に陥れば、万が一の事故につながる可能性もあります。そのため、子犬の頃から飼い主がリーダーシップを発揮し、一貫したしつけを行うことがポイントです。
ホワイト・スイス・シェパード・ドッグは知性が高く一緒にスポーツを楽しめる活発な犬種
白い被毛が凛として素敵なホワイト・スイス・シェパード・ドッグ。ジャーマンシェパードから受け継いだ高い知性と身体能力で、最高のパートナーになってくれるでしょう。穏やかですが非常に賢い犬種なので、愛犬の性格を理解した上でしっかりとしつけをして最高のパートナーに育てましょう。
この記事のライター
komugi
都内で愛犬のビーグルと暮らしています。コロナ期間中に肥満体型になってしまった愛犬のために食事や運動について勉強をはじめました。面白い発見や愛犬家の皆様に役立つ情報があればどんどん発信していきます!
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