犬が前足をふみふみと足踏みする仕草は、犬を飼っている方なら一度は見たことがあるのではないでしょうか。犬は仕草や行動で自分の気持ちを表現し、飼い主さんに伝えようとしています。今回は、犬がふみふみする心理や足踏みする仕草に隠された気持ちを紹介していきます。

犬が前足を足踏みする心理
犬が前足を足踏みするのは主に以下の理由が考えられます。
【1】嬉しいという気持ちの表れ
犬が前足をふみふみと足踏みする仕草には、嬉しいという気持ちが表れている場合があります。ごはんの時間やお散歩に行く前などに見られることが多いようです。犬がキラキラした目で見つめながら前足を足踏みしている様子は、こちらまで嬉しくなりますよね。足踏みの仕草と一緒に目を細めて舌を出したり、しっぽを大きく振ったりと、犬は身体全体で感情を表現してくれます。
【2】ストレスを感じている
嬉しい気持ちとは反対に、ストレスを感じている場合もあります。何らかの不満を抱えているほか、唸り声を伴っていたり歯をむき出しにしているのであれば、怒っているのかもしれません。
足踏みしやすいのはどんな子?
犬が足踏みをするのは上記のような理由があり、感情表現が豊かな子や甘えん坊な性格をしている子は足踏みをしやすいようです。しかし、この仕草はすべての子がするわけではありません。嬉しさや興奮、また反対にストレスを感じていたとしても足踏みをしない子ももちろんいます。ひっくり返ってお腹を見せる「へそ天」も、その子の性格によっては全くやらないので、足踏みも感情表現の方法や性格などが関わっているかもしれませんね、
心の病が隠れている可能性も?
足踏みするという行動があまりにも高頻度で行われる場合には、「ブランケットサッキング(ウールサッキング)」と呼ばれる常同障害の症状の1つである可能性があります。常同障害は不安やストレスから同じ行動を異常に繰り返す不安障害の1つです。
常同障害では、特定の箇所を執拗に舐める・噛む、自分のしっぽを追いかける、同じ場所をぐるぐる回り続ける・行ったり来たりする、何もないのに空中の虫を追うような行動をするなどの様子が見られます。
ブランケットサッキングは、タオルや毛布などの柔らかいものを足でふみふみしたりちゅぱちゅぱ吸ったりする状態で、母犬のお乳を吸うような行動をすることで安心感を得ているとされており、幼い時期に母犬と離されたことやストレスが原因で起こると考えられているようです。
一見可愛らしい仕草ではありますが、中には不安を抱えているケースもあるので、愛犬の様子をよく観察するようにし、異変を感じたらかかりつけ医に相談するようにしましょう。
犬の感情表現の方法はほかにも
感情表現で、ほかにも犬が見せる仕草や行動を紹介していきます。
【1】犬が自分から体を寄せてくる
犬が身体をスリスリと寄せてきて、飼い主さんのそばでゆったりと寝そべっていたら、それは飼い主さんのことが好きという気持ちの表れです。犬の身体が柔らかく脱力した状態であったら、安心で安全な場所であると犬が感じている証拠です。
【2】なでていた手を離してもまた寄ってくる
犬の感情をくみ取るためにも、犬を3秒なでたあと一旦手を止めて様子を見てみましょう。もっとなでてほしい場合は犬が前足でツンツンと催促してきたり、身体をスリスリ寄せてきたりする場合もあります。もうなでないでほしいときは、緊張して硬直したり、ほかの場所に移動したりします。
【3】犬が前足を乗せてくる
テレビを観ているときや、会話しているときに、犬が飼い主さんの体に前足を乗せてくるのは、飼い主さんの気を引きたい、甘えたい、といった心理からの行動です。そのほかにも、ご飯や散歩の催促や、おもちゃで遊びたいといったおねだりの目的が考えられます。
【4】犬が前足を噛んだり舐めたりする
犬が前足を噛んだり舐めたりするのは、グルーミング(毛づくろい)が目的の場合が多いでしょう。グルーミングは、毛についた汚れをとり、毛並みを整える作用があるほか、犬が安心感やリラックスしたいときに行う仕草でもあります。
【5】犬があくびしたり目をそらしたりする
カーミングシグナルと呼ばれる犬同士のボディランゲージでも、自分の気持ちを表示しているサインとなるものがあります。あくび、目をそらす、暑がっておらず激しい運動もしていない状態で舌を出して息をする、体を震わせる、といった仕草は、犬が退屈さや恐怖心、緊張などを示している状態です。
【6】しっぽが上がったり下がったりする
犬のしっぽが上がっているときは、興奮している場合があります。「攻撃したい」や「遊びたい」といった両方の気持ちが表れているので、その場の状況から感情の判断が必要です。しっぽが下がっている場合は集中している、しっぽが足の間に入っている場合は警戒や緊張している気持ちが考えられます。
愛犬が前足を足踏みするときの接し方とは
愛犬が前足を足踏みしているとき、できることならその気持ちに応えてあげたいですよね。そんなときは以下を試してみましょう。
【1】犬の不安やストレスとなるものを取り除く
犬は不安やストレスを感じると、飼い主さんに気持ちを伝えようと前足でタッチしたり、ブランケットやタオルの上で足踏みしたりすることがあります。その場合は、なでたり、遊んであげたりして、可能な限りストレスの原因となるものを取り除きましょう。
【2】犬が満足するまで甘えさせる
犬が飼い主さんにかまってほしくて前足を足踏みする場合は、名前を読んだり、なでたりすることで、犬の欲求を満たしてあげられる場合もあります。手が離せないときは、アイコンタクトだけでも満足する場合もあります。
愛犬の行動を普段からよく観察しましょう
犬の仕草には嬉しいというポジティブなものから、ストレスによるネガティブなものまで、さまざまな感情が隠されています。普段から愛犬の仕草や行動をよく観察することで、愛犬のことを理解してあげることができます。ぜひ、愛犬の気持ちに寄り添って、今以上にステキなパートナーになりましょう。
あわせて読みたい
【獣医師監修】犬が飼い主さんの足の間に入る3つの心理について解説します
あわせて読みたい
【獣医師監修】甘やかしすぎは分離不安の原因にも。愛犬の甘えん坊度をチェックしてみましょう
カテゴリーの人気記事