愛犬との海水浴を楽しむために|海辺の危険生物に注意しよう
最近では、夏に限らず海で遊ぶ犬たちが増えてきました。海は、犬たちが大好きなフィールドの一つです。泳ぐことはもちろん、磯で遊んだり、砂浜を思いっきり走ったりと、海に行けば犬たちは笑顔いっぱい。そんな愛犬の姿は、飼い主にとっても最高に楽しいものですよね。ただし、気温が高くなると海辺には犬にも人にも危険な生物が出没するため、注意が必要です。今回は、命を奪う危険のある海辺の生物について解説します。
海辺には犬にとって危険な生き物がたくさん住んでいる
海辺には、魚だけではなく数多くの生物が生息しています。砂浜、波打ち際、磯は、海洋生物にとって居心地のいい住処となっています。住み心地のいいところに侵入してくる敵に対して、攻撃をすることは自然界では当たり前のことです。特に、海辺に生息している生物には、人間の大人でさえも致死させる猛毒を持つものが多いため注意が必要です。
注意が必要な亜熱帯の海洋生物が北上してきている
近年の海水温の上昇によって、亜熱帯地方に生息していた生物が北上してきていることが確認されています。ニモに代表される熱帯系の魚が東京湾で確認されていることも、海水温の上昇によることからだと言われています。また、珊瑚礁も生息の北限が年々北上しています。そのため、以前にはいなかった危険生物が関東以北で出没する可能性もあるのです。
浜辺で出会う可能性が高い危険生物
海洋生物は、海中はもちろん波打ち際、磯、砂浜とあらゆるところに出没します。特に、猛毒を持っている生物は、砂浜に打ち上がっている状態でも、毒だけは有効であることが多いので、見かけても絶対に触らないようにしましょう。また、猛毒を持つ海洋生物は、見た目が美しいものが多いことも特徴です。綺麗な色だからといってむやみに触らないようにしてください。ここでは、猛毒を持つことで知られる代表的な危険海洋生物をご紹介します。
亜熱帯から北上してきたヒョウモンダコ
近年、関東地方や日本海側でも生息が確認された猛毒を持つ体長10cmほどの小さなタコがヒョウモンダコです。主に浅い海の岩場や砂底に生息していますが、海藻に付着して移動します。通常は、黄色っぽい透明がかった体色をしていますが、刺激を受けると綺麗なエメラルドブルーのヒョウ柄に似たリング模様が浮き出ます。
犬にも危険なヒョウモンダコの毒とは?
ヒョウモンダコは、唾液にフグと同じテトロドトキシンという強力な神経毒を持っています。身の危険を感じると、毒入りの唾液を吐いたり、外敵に噛み付いて毒を注入します。そのため、うっかり触って噛まれると、神経がマヒし呼吸困難に陥り、死に至ることもあるのです。恐ろしいことに、この毒の解毒剤はありません。
以前、海で泳いでいたゴールデンレトリバーがヒョウモンダコに噛まれ、酸素室での集中治療を受けることにより、一命を取り留めた事例があります。海辺の動物病院では、ヒョウモンダコの知識を持っている獣医師が増えてきていますが、手遅れになる可能性があるので注意が必要です。元気に泳いでいたはずの犬が急に海から上がってきて様子がおかしい、突然ぐったりする、と感じたらヒョウモンダコに噛まれた可能性があるため、すぐに動物病院へ連れて行きましょう。
青いビニール袋のようなクラゲ:カツオノエボシ
別名「デンキクラゲ」「浮くテロリスト」と呼ばれている猛毒を持つクラゲです。透き通った青い浮き袋に10m程度の長い触手が多数ついているのが特徴です。触手は長いもので30~50m近くもあります。通常は波間に漂っていますが、強い風が吹いたあとや台風のあとなどは、波打ち際に吹き寄せられていたり、砂浜に打ち上がります。
犬にも危険なカツオノエボシの毒とは?
カツオノエボシは、長い触手で外敵を巻きつけ、触手の表面にある小さな毒針を外敵に向け発します。カツオノエボシの毒はヒプノトキシンと呼ばれる神経毒で、人間が刺された場合、激痛が走り赤く腫れ上がります。
場合によっては、長時間にわたってやけどのような痛みやマヒが続き、高熱が出ることもあります。また、一度刺されただけでもアナフィラキシーショックを起こすことがありますが、通常は2度目に刺された時にアナフィラキシーショックを起こすことが多く、呼吸困難などの重篤な症状から最悪の場合は死に至ります。
乾燥していても猛毒に要注意
カツオノエボシで気をつけなければいけないのは、打ち上がってひからびていても毒は生きていることです。綺麗な青いビニール袋に見えることから、つい手に取ってみたくなりますが絶対に触らないようにしましょう。犬の場合は、泳いでいる最中にお腹などの被毛が少ない部分を刺されることが多いようです。特に、短毛や被毛が少ない犬種は注意が必要です。
小型ながら猛毒を持つクサフグ
クサフグは手のひらサイズの見た目には可愛らしいフグです。日本各地の沿岸に生息し、川で遡上することもあります。太平洋と瀬戸内海では、5〜8月の新月の数日前から、波打ち際に群れをなして産卵に来るためこの時期は注意が必要です。クサフグは体長15cm以下の小型のフグですが、釣り業界では有名なフグで仕掛けた餌を横取りされる、仕掛けを噛み切ることから釣り人泣かせと言われています。
大型犬でも死に至るクサフグの毒とは?
フグ毒は、神経毒であるテトロドトキシンです。食用にされるフグの場合は、この毒を取り除くための資格が必要であるほどの猛毒であることは有名です。小さな体ながら殺傷能力の高い猛毒を皮、筋肉、内臓に持つクサフグ。砂浜に落ちていたクサフグを食べた大型犬をわずか3分で致死させるほどの毒性を持っています。もし砂浜で見かけても、絶対に拾い食いをさせないように注意することが大切です。
海水浴場や河口の砂地に多いアカエイ
日本の沿岸地域の浅瀬や砂地、泥地に多く生息するアカエイは、海水浴場や河口付近でよく見かけるエイの仲間です。体色は赤茶色で体長80cm~1m以上、体重100kgと大型のエイです。浅瀬や砂の下などに浅く潜って目や尾だけを砂の上に出しています。尻尾には、ノコギリ状の返しがついた大きな毒のあるトゲがあります。
犬も刺される可能性があるアカエイの毒とは?
砂地に生息するアカエイは、砂の色と似ているため気がつかずに踏みつけてしまうとノコギリ状の毒トゲに刺されます。返しがついているため一度刺されると、抜けにくく、また長靴やビーチサンダルをも貫通する鋭さを持っています。
アカエイの毒はタンパク質毒で、刺されると傷の中の細胞を壊し炎症を起こし、紫色に腫れ上がります。最悪の場合は、刺された部分が壊死してしまいます。また、血圧低下、呼吸障害、発熱、下痢などの全身症状が出る場合があります。重症化するとアナフィラキシーショックを起こし、死に至る場合もあります。細胞の一部が壊死してしまうため長期の治療が必要となる恐ろしい毒を持っているのです。
楽しい思い出にするために危険生物には気をつけよう
今回は、誤って触れた場合、食べてしまった場合に命に関わる毒を持つ海洋生物をご紹介しました。この他にも、ハブクラゲ、ウンバチイソギンチャク、オニヒトデ、ガンガゼ、オコゼ、カサゴ、大型のイモガイ、ウミヘビ、サメなど危険な生物が海には生息しています。
犬が自ら危険生物を触ることはないと思いますが、泳いでいるうちに手や足が触れるなど、相手から見て攻撃だと思われる行動によって毒を注入される可能性があります。少しでも、様子がおかしいと感じたら、すぐになるべく近くの動物病院へ連れて行くことが愛犬の命を守ることにつながります。海へ遊びに行く時には、事前に近くの動物病院を必ず調べてから行くようにしましょう。
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この記事のライター
komugi
都内で愛犬のビーグルと暮らしています。コロナ期間中に肥満体型になってしまった愛犬のために食事や運動について勉強をはじめました。面白い発見や愛犬家の皆様に役立つ情報があればどんどん発信していきます!
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