【獣医師監修】犬も更年期障害になる?症状や原因と治療法、予防法について
犬も高齢になると、人間で言う「更年期障害」のような症状を発症する場合があります。イライラしたり不眠が続いたり、今までと違って見える愛犬の行動にどうすればいいのか分からず戸惑うことがあるかもしれません。
この記事では、犬の中年期に現れやすい更年期障害のような症状の原因と治療法・予防法を解説していきます。
犬の「更年期障害」の症状とは
犬も中年期(6〜8歳ごろ)になると、人間で言う更年期障害のようにイライラしたり気分が落ち込んだりしてしまうなどの症状を発症します。また、夜は不眠が続き、真夜中までソワソワしてしまう犬もいます。このような精神的な症状だけではなく、便秘や下痢、体の痛み、微熱などといった身体症状も併発する場合もあります。
人間の場合、更年期障害の症状を引き起こすのは閉経によるホルモンバランスの変化とされていますが、犬の場合は閉経することはなく発情周期は更年期障害後も続きます。実際には、人間のようにホルモンバランスの影響がどの程度なのかははっきりしておらず、更年期障害のような症状は去勢/避妊の有無や性別に関係なく発生するとされています。ただ、中年期になるメスの犬に特によく見られると言われています。
犬の更年期障害の初期症状
犬の更年期障害の初期症状のひとつとして、避妊手術を受けていないメスの発情周期が長くなるということが挙げられます。発情周期の変化はその他の健康問題も潜んでいる場合があるので、しっかりと観察し、見逃さないようにしましょう。
犬の更年期障害は他の犬や人間にうつる?
犬の更年期障害が他の犬や人間にうつることはありません。そのため、感染しないように犬同士を隔離する必要はありません。しかし、更年期障害の犬はイライラして他の犬に攻撃的になってしまう場合があるので、喧嘩が起こりやすくなります。更年期障害の犬と他の犬を同じ環境で飼育する場合は、犬の行動や表情をよく観察するようにしましょう。また、犬がイライラしているようであれば、他の犬から引き離し、しばらくはそっとしておくようにしましょう。
犬の更年期障害の原因は?
実は犬の場合、原因は現在でもはっきりしていません。症状が見られる犬の傾向として、以下のような原因が考えられるとされています。
ホルモンバランスの変化
犬の「更年期障害」とホルモンバランスの直接的な関係は、現在のところ解明されてはいません。しかし、中年期を迎える犬はホルモンバランスに変化が生じることがあり、また人間の場合はホルモンバランスによる様々な不調が引き起こされるという事実から、犬の場合もホルモンの分泌の変化によって不調が引き起る可能性が高いと言えます。
更年期障害になりやすい犬種や年齢
更年期障害は中年期を迎えたメスの犬がなりやすいとされています。人間の場合は40歳以降に更年期を迎えますが、犬は6〜8歳ごろが当該の時期です。
更年期障害は、オスとメスに発症しますが、オスよりはメスの方が発症が多い傾向があります。
犬の更年期障害の治療法
人は更年期障害を発症するとホルモンのバランスを整える薬を飲みながら治療するケースがほとんどですが、犬の場合は原因がはっきりとは解明されていないため、ホルモン薬で治療することはありません。
現在のところ、犬の更年期障害の治療法は確立されておらず、体調の変化の様子を見ながら心地よい環境を整えるのが主な対処法になります。しかし、最近では去勢手術や避妊手術をすることで、ホルモンの分泌を止めて症状が緩和されることが確認されているので、去勢手術や避妊手術を受けることを選択する飼い主さんが増えています。
こちらの記事もチェック
犬の更年期障害の治療にかかる費用
犬の更年期障害の治療というよりも、避妊/去勢手術に必要な費用をご紹介します。病院によって幅はありますが、去勢手術の場合は2〜6万円、避妊手術の場合は3〜8万円程度の費用が必要になります。
犬の更年期障害を予防する方法はある?
残念ながら予防法は見つかっていません。しかし、適切な時期に去勢手術や避妊手術をすることでホルモンの分泌を止めるので、更年期障害の症状を防げるのではないかと考えられています。
また、犬が中年期を迎えたときのために身体の調子を普段からよく観察し、小さな変化にも気づけるようにしましょう。更年期障害だと思っていたことがさらに深刻な別の病気の症状ということもあるので、気になる不調を発見した場合は必ず動物病院を受診するようにしてくださいね。
愛犬が更年期障害を発症した場合に飼い主ができること
愛犬が更年期障害を発症したら、なるべく心地よい環境づくりを心がけるようにしましょう。ストレスになるようなものは生活環境から排除し、適度な運動をさせてしっかりとストレス発散をすることが大切です。また、あまりにも症状が酷い場合は、ほかの病気の可能性も考えられるので、早めにかかりつけの獣医師に相談しておくことがおすすめです。
こちらの記事もチェック
この記事のライター
choco
シェルティとの生活に憧れる社会人です。みなさんの愛犬との暮らしがより豊かになるような情報を発信できたら、と思っています!
関連記事
健康管理/病気
【獣医師監修】犬の糖尿病とは?発症のリスクを下げるために知っておきたいこと
糖尿病は人間の生活習慣病としてよく知られている病気ですが、犬も糖尿病になることがあります。愛犬...
2023年12月21日
健康管理/病気
【獣医師監修】犬の慢性腎不全について|初期症状や発症の原因、治療法まで解説します
犬の慢性腎不全は高齢犬が発症のリスクが高いとされており、ひとたび発症すると完治することはないの...
2023年12月20日
健康管理/病気
【獣医師監修】犬が骨折してしまった場合の症状は?原因や骨折しやすい犬種、かかる費用も
もし愛犬が骨折してしまっていても、痛がらない場合もあり、気がつける自信がないという飼い主さんは...
2023年12月19日
健康管理/病気
【獣医師監修】犬のメラノーマ(悪性黒色腫)は予防できる?腫瘍の特性や治療法などもあわせて解説します
メラノーマ(悪性黒色腫)とは、身体の色素をつくるメラニン細胞の「メラノサイト」ががん化した腫瘍...
2023年12月18日
健康管理/病気
【獣医師監修】犬の逆くしゃみとは|逆くしゃみ症候群が起こる原因や対処法などを知っておこう
愛犬が突然、フガフガと苦しそうな呼吸をして驚いたことのある飼い主さんは少なくないのではないでし...
2023年12月14日