【獣医師監修】犬のまぶたにできものができた場合に考えられる原因や病気と対処法
犬の目の周囲には涙管や瞬膜やマイボーム腺などさまざまな器官が備わっています。多くは目を保護するために役立つものなのですが、時として異常が見られることがあります。そのまま放置してしまうと視力障害や失明を招くリスクもあるため、早急に治療することが大切です。
まぶたにできものができる場合、上記の異常に起因することが多く、犬にとっては目を瞑りづらかったり違和感があるなど、とても辛いものです。
そこで今回は、まぶたや目の周りにできものができる原因や考えられる病気などを解説します。対処法も合わせてチェックしていきましょう。
目次
犬のまぶたにできものができた場合に考えられる原因
犬のまぶたにできものができる場合、いくつかの原因が考えられます。その原因をきちんと特定した上で、有効な治療法を見つけることが大切です。
1.黒色腫によるもの
まぶたにできる腫瘍のうち、黒色腫(メラノーマ)と呼ばれるできものがあります。黒色腫は良性と悪性があり、犬の皮膚腫瘍の中ではよく見られる症状です。 黒色腫を発症する原因はハッキリと分かっていませんが、大きな黒いドーム状のものへと腫瘍が急速に成長していきます。潰瘍や細胞の壊死に繋がることもあるため、早急に治療を始めることが望まれます。
2.細菌の増殖によるもの
人間と同じように犬の皮膚にも常在細菌が存在していますが、細菌が異常増殖することによって皮脂腺が炎症を起こし、できものの形成を誘発することがあります。この場合、その犬が元々保有している常在菌が原因であるため、人間や他の犬に感染するということはありません。
3.良性腫瘍によるもの
犬のまぶたは内側が粘膜、外側が皮膚という構造になっていて、特に粘膜側に腫瘍ができることがあります。そのうち80%くらいは良性腫瘍であるため、さほど心配することはありません。しかしまぶたは眼球に涙を行き渡らせるワイパーの役割がありますし、できものが角膜を傷つける恐れがあります。いずれにしても早急に治療した方が良いでしょう。
併発していたら要注意な症状
できものがまぶたの内側にある粘膜部分に形成されることによって、眼球の角膜に傷がつく恐れがあります。過剰な角膜刺激によって涙量が増え、目の周囲の皮膚がベタベタになるほど濡れてしまうといった場合、特に注意が必要です。
また、犬が明らかに違和感を感じている場合も要注意です。痛みやかゆみのために、目および目の周囲を掻きむしることにより、症状が悪化したり眼球が傷ついてしまう恐れもあります。
まぶたにできものが形成された場合に考えられる病気
ここからは具体的な症例を見ていきましょう。原因の特定に伴って具体的な病気がわかれば、有効な治療法も絞られていきます。
1.天疱瘡(てんぽうそう)
天疱瘡(てんぽうそう)は自己免疫介在性疾患の一種で、抗体が自分の細胞を攻撃してしまうというものです。まぶたに炎症やかさぶた、水疱などを発生させて、痛みやかゆみを伴います。治療法はステロイド剤や免疫抑制剤が有効ですが、根治は難しく生涯にわたって投薬による治療が必要となります。
2.マイボーム腺炎
まぶたの縁に沿って、涙の油分を調整するマイボーム腺が分布しています。何らかの原因で管が詰まって分泌物が貯留し、炎症が起きることをマイボーム腺炎と呼びます。細かく分けて2つの症状があります。
霰粒腫
霰粒腫(さんりゅうしゅ)は、まぶたの腫れなどの原因からマイボーム腺が詰まってしまい、慢性的な炎症を起こすものです。 排出されない油分が異物となって腫れや炎症を起こし、犬にとって不快感をもたらすものです。まぶたの内側に白い蝋状の塊が溜まることが大きな特徴となります。
麦粒腫
麦粒腫(ばくりゅうしゅ)は、マイボーム腺そのものが細菌感染により急性炎症を起こして腫れてしまうものです。 ものもらいと意味は同じですが、アレルギーやニキビダニなどの寄生虫によって引き起こされる場合もあります。
3.マイボーム腺腫
マイボーム腺にできた腫瘍で、多くは良性ですが、まれに黒色腫などのように悪性になることもあります。腫瘍が大きくなってくると角膜を傷つけたり、自壊して出血や周囲への感染を引き起こします。症状が進行してくると、まぶたを閉じても腫瘍が飛び出してくる状態となって非常に危険です。
まぶたのできものを見つけたときの対処法
犬のまぶたの内側にできものができてしまった場合、飼い主さんがそれを発見することは少々難しいかも知れません。初期症状の場合、できものは小さくて見づらいからです。
もし愛犬が違和感を感じて、しきりに目を気にしたり、目をこすったりしているのであれば、まずは獣医師に相談するようにしましょう。そしてなるべく患部の保護に努めましょう。もし自宅にエリザベスカラーがあるのなら装着してください。飼い主さんが愛犬の様子を見ていられない場合は、できるだけエリザベスカラーを付けっぱなしにしておくことが望ましいでしょう。
目の異常は早急に動物病院を受診することが重要
犬の身体の中でも、特に目に関しては専門知識がなければ症状の発見、治療方針の適切な判断は難しいと言えます。犬が明らかに目に違和感を感じていて目を開けづらそうにしていたり、涙量や目ヤニが過剰に多くなるといった症状が見られたら、早急に動物病院での診察を受けるようにしましょう。
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この記事のライター
choco
シェルティとの生活に憧れる社会人です。みなさんの愛犬との暮らしがより豊かになるような情報を発信できたら、と思っています!
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