【獣医師監修】放置は厳禁。犬が起こしやすい3つの脱臼とは|それぞれの症状の特徴や手術の必要性も解説
散歩中や運動での犬のケガでも特に多いのが「脱臼」です。症状が軽度であることも多いためつい放置してしまいがちですが、実は重症化のリスクもあるのです。
今回は、犬が起こしやすい脱臼の症状や、気をつけるべき犬種を紹介していきます。脱臼の治療法や費用についてもあわせて解説しているので、ぜひ参考にしてみてください。
犬の脱臼とは?
脱臼とは、骨の関節部分がズレてしまう状態のことを言います。発生原因は先天的な身体の構造や、外部からの強い衝撃によるものがほとんどです。
症状は外見に現れないものの、痛みが伴うため、発生すると犬の行動に異常が起こります。軽度のものだと自然と元に位置に戻りますが、重度のものだと手術が必要になる場合もあります。
犬の脱臼は予防できない?
犬の脱臼は先天的な要因と外部的な要因で発生するということもあり、予防がし辛いといわれています。対策としては、脱臼しやすい部位に負担をかけないようにすることが大切です。
転倒や落下による衝撃を防ぐためにも、部屋の床にカーペットを敷いたり、障害物を取り除くと良いでしょう。また、肥満の犬の場合は、減量によって適正体重に戻し、関節への負担を減らすことも大切です。
犬が起こしやすい脱臼と主な症状
犬の脱臼は主に3つの種類があります。それぞれ詳しく解説していきます。
犬の膝蓋骨脱臼
犬の脱臼で一番発生しやすいのが膝蓋骨脱臼(しつがいこつだっきゅう、パテラとも呼ばれる)です。膝蓋骨とは、膝のくぼみに収まっている皿のような骨のことを指しています。膝蓋骨がくぼみからズレてしまうことで、違和感や痛みを引き起こします。
発生原因は、膝に強い衝撃が加わる外傷性と、生まれつき膝周りに異常を持つ先天性の2つです。先天性の場合、成長と共に症状が現れるようになってきます。
犬の膝蓋骨脱臼の症状
膝蓋骨脱臼は、症状の重さによって4つのグレードに分かれています。いずれも脱臼している間は、足を引きずる素振りが見られるようになります。
- グレード1:脱臼しても自然に元の位置に戻る
- グレード2:膝を曲げると脱臼する、進展させるとすぐ元の位置に戻る
- グレード3:普段から脱臼した状態、指で押すと一時的に元の位置に戻る
- グレート4:普段から脱臼した状態、指で押しても元の位置に戻らない
膝蓋骨脱臼が発生しやすい犬種
主に小型犬に膝蓋骨脱臼が発生しやすいと言われています。例としては、トイ・プードル、チワワ、ヨークシャー・テリアなどです。
性格が活発な場合は、激しく動き回りますし、ジャンプしたりダッシュしたり急にストップしたりといった行動をとるので、さらに膝蓋骨脱臼のリスクが高まるでしょう。
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犬の環軸亜脱臼
環軸亜脱臼(かんじくあだっきゅう)とは、犬の首部分にある第一頸椎と第二頸椎の関節が不安定になってしまう疾患です。
首の骨の脱臼ということもあり、痛みだけでなく、脊髄が圧迫されることによる四肢の麻痺が起こる場合もあります。
発生原因は、先天的な構造の異常があることによる場合もありますが、外部からの強い衝撃が加わったことによる後天性の可能性も考えられます。
犬の環軸亜脱臼の症状
痛みがあるため、首をまっすぐに伸ばせなくなります。麻痺がある場合は、足元がふらついたり、立ち上がることができない状態になるでしょう。
重度のものになると、脊髄が激しく傷つくことによって呼吸困難になり、最悪死亡してしまうケースもあります。
環軸亜脱臼が発生しやすい犬種
ヨークシャー・テリア、チワワ、トイ・プードル、ポメラニアン、ペキニーズ、ドーベルマン、ジャーマン・シェパードなど
犬の股関節脱臼
股関節脱臼(こかんせつだっきゅう)とは、犬の股部分にある骨盤と大腿骨をつなぐ関節が不安定になってしまう疾患です。
股関節は身体をの動きの中で最も負担がかかる部分であるため、脱臼してしまうとわずかに動くだけでも痛みが伴います。
発生原因としては、外部からの強い衝撃が加わることや、他の病気によって股部分の筋力が低下していることが挙げられます。
犬の股関節脱臼の症状
足を浮かせていたり、引きずっていたりと、歩き方に異常が見られることがほとんどです。激しく痛む場合は、立ち上がることもできなくなります。
股関節脱臼が発生しやすい犬種
トイ・プードル、チワワ、ポメラニアン、ヨークシャー・テリア、ミニチュア・ピンシャー、シェットランド・シープドッグなど
犬が脱臼した際の治療方法
犬が脱臼を起こしてしまった場合に必要な治療法と、かかる費用について解説していきます。
犬の脱臼の治療法
脱臼の状態が軽度である場合は、運動制限や内服薬、レーザー照射などによる内科治療が行われます。
重度の場合は、全身麻酔をかけての外科手術によって、脱臼を起こしている関節の固定などの処置を行います。手術をする際は、もちろん入院も必要となるでしょう。
また、症状が軽度でも、何度も繰り返し脱臼を起こすようであれば、手術を行う場合があります。重症化する前に治療を行うことで、より安定した経過が望めることもあります。
犬の脱臼の治療にかかる費用
脱臼している関節の部位や脱臼の症状の程度によって、治療にかかる費用は大きく変わりますが、整形外科の手術であるため高額になることが多いです。 また病院によっても費用は異なるため、診断された場合、今後の治療方針とともに費用を聞いてみると安心です。
脱臼は放置せず動物病院へ
犬の脱臼は軽度なものだと気づきにくかったり、骨が自然と元の位置に戻ることも多いです。だからといって放置しておくと、成長とともに症状が重症化していったり、慢性化してしまいます。
脱臼の治療は早期に行うことで、より良い経過を望めます。もし、犬の行動に不自然さを感じたら、一度獣医師に相談するようにしましょう。
また、脱臼部位に負担がかからないように、ケージレストを行うための治療用のサークルを用意したり、床に滑り止めマットを敷くなど、部屋の環境の見直しを行ってみてください。
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この記事のライター
choco
シェルティとの生活に憧れる社会人です。みなさんの愛犬との暮らしがより豊かになるような情報を発信できたら、と思っています!
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