【獣医師監修】犬が乾燥剤を食べてしまった…吐き出させるのはNG?知っておきたい対処法について
お菓子や海苔などの袋の中に入っている乾燥剤を愛犬が誤って食べそうになったという経験はありませんか?犬は気になったものを口に入れて確かめようとする習性があるので、異物を誤飲してしまうケースは多々見られますが、その際にどう対処するのが正解なのか迷ってしまいますよね。乾燥剤の場合、すぐに吐き出させた方がよさそうですが、種類によっては間違った対処法となることもあります。今回は、乾燥剤の種類別に、誤飲してしまった際の対処法を紹介します。対処法を理解して、いざという時に慌てないようにしましょう。
犬が乾燥剤を食べてしまった…どうしたらいい?
愛犬が乾燥剤を食べてしまったら焦ってしまいますが、誤飲した乾燥剤の種類によって対処法が変わります。種類別に詳しく見ていきましょう。
【生石灰】
生石灰は、酸化カルシウムを原料とした乾燥剤です。湿気を吸収する力が強く、主に海苔や煎餅に使用されています。
ただし水に触れると発熱するため、生石灰でできた乾燥剤を食べてしまうと口や食道、胃の中などが火傷する恐れがあるほか、粘膜がダメージを受けて出血などを引き起こすリスクがあります。
生石灰を飲み込んでしまったら、応急処置として水を大量に飲ませるという方法もありますが、家で色々と対処を試みて時間をロスするよりは、まずはかかりつけ医に連絡して早急に動物病院を受診しましょう。
ちなみに、粘膜を保護するために牛乳を飲ませる方法も紹介されていますが、犬に牛乳を飲ませると下痢を引き起こす可能性があるため、与えるのは避けるのがベターです。
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【塩化カルシウム】
塩化カルシウムとは、白い粉末状や塊状になっている乾燥剤で、タンスや下駄箱の除湿剤として用いられることが多いです。
生石灰ほどではないものの、水と反応することで熱を持つこともあり、嘔吐や下痢、腹痛、出血などの症状が見られます。
毒性は低いものの、生石灰のときと同様、すぐに動物病院へ連絡し、指示を受けるようにしましょう。
【エージレスドライ】
エージレスドライは、材料に生石灰が使用されているものの、急激な発熱を抑えるように作られている安全性の高い乾燥剤です。ただし50℃以下の熱は持つため、愛犬が食べてしまった場合には無理に吐かせず、すぐにかかりつけ医に相談しましょう。
乾燥剤に似ている【エージレス】について
エージレスとは、小袋状になっている脱酸素剤(※)で、主にお菓子やしっとりしたスイーツなどに入っています。鉄粉やビタミンCなどから作られており、公的機関による急性毒性試験で安全性が確認されているため、誤って食べてしまった場合でも身体に異常が見られなければ問題ないとされているものの、袋の角で食道や胃の中が傷ついてしまうこともあるので、念のためかかりつけ医に相談してください。
※脱酸素剤とは…酸素を吸収して容器内の酸素濃度を低下させるためのアイテムです。食品の酸化による風味の劣化や油分の酸化、カビの発生を防ぐ効果があります。
犬が乾燥剤を食べた場合、吐き出させるのはNG
犬が乾燥剤を誤飲してしまったら、すぐにでも吐き出させなければと思ってしまいますが、無理に吐き出させることで状態が悪化してしまうケースも珍しくありません。
もちろん吐き出させる必要がある場合もありますが、そのような処置は動物病院で行ってもらうのが安心です。どの種類の乾燥剤なのか、何時ころ食べてしまったのか、どのような様子が見られるのかなどをメモしておき、電話時や診察時に伝えるようにしましょう。
犬にとってシリカゲルは安全なの?
シリカゲルとは、青や透明の粒が入っている乾燥剤で、袋タイプ、錠剤タイプ、シートタイプなどがあります。お菓子や食品の袋に入っているので、見たことのある人は多いでしょう。
シリカゲルは少量であれば、誤飲しても中毒症状が起きにくいと考えられており、胃や腸で吸収されることもないので、ほとんどの場合は無害です。そのため、愛犬がシリカゲルを食べてしまったという場合は、便として自然に排出されるのを待つことになります。
ただし、乾燥剤の袋によって胃や腸の粘膜が傷ついたり詰まって腸閉塞を起こしてしまうこともあるので、誤飲に気づいたらなるべく早く動物病院を受診しましょう。
乾燥剤の誤飲を防ぐためにできること
犬は乾燥剤と食べ物の違いを判断できないため、飼い主さんが十分に気をつける必要があります。ここでは、愛犬に乾燥剤を誤飲させないための予防策を3つ紹介します。
1.小分けタイプの餌を使用する
ドッグフードなどを大きな袋からお皿へ取り分ける際に、気づかず乾燥剤を混入させてしまう場合があります。予防策として、1食分が小分けになっているドッグフードを使うことも検討してみてください。。
小分けタイプの場合、少量で袋内の内容物が確認しやすいため、混入してしまうことを防げるかもしれません。
2.乾燥剤を入れ替える
ドッグフードなどにすでに入っている乾燥剤を取り出し、飲み込む危険性の無いものに取り替えるのも効果的です。比較的サイズの大きい珪藻土などを使用すれば、万が一混入させてもすぐに気づくことができます。
また、取り分けるスプーンを珪藻土のものに変えることで、乾燥剤としての代用もできて一石二鳥です。 ただし、一度開封してしまうと、空気が入って脂が酸化して劣化してしまう可能性があります。しっかり空気を抜いて封をしてくださいね。
- 商品名:Karari 珪藻土スプーン(ホワイト)
3.ゴミ箱を床に置かない
イタズラしてゴミ箱をひっくり返したり漁ったりした際に、捨ててあった乾燥剤を食べてしまうことがあります。簡単にできる対策として、ゴミ箱を床に置かないようにしましょう。
愛犬の手足や口が届かない場所にゴミ箱を置くことで、乾燥剤以外の異物を食べてしまうトラブルも防ぐことができます。
犬が乾燥剤を食べてしまったら
犬が乾燥剤を食べてしまった場合、乾燥剤の種類に合わせた処置が必要になります。少量であれば様子を見てもいいものもありますが、身体の中が傷ついていたり腸閉塞を起こしてしまう可能性も0ではありません。食べてしまった乾燥剤がシリカゲルであっても、何かを誤飲したときには念のため獣医師に相談しましょう。
特に生石灰や塩化カルシウムは食べていなくても、皮膚に触れたり目に入ると強い痛みを伴ったり角膜が炎症を起こす可能性があり危険です。
犬は乾燥剤に限らず、異物を飲み込んでしまうことが多いので、日頃から床や犬の手の届く場所に物や食べ物を置かないといった対策が必要になります。
安心した生活を送らせてあげるためにも、異物を食べてしまわないよう十分な対策をとり、万が一異物を食べてしまった場合には動物病院に連れて行くようにしてくださいね。
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この記事のライター
choco
シェルティとの生活に憧れる社会人です。みなさんの愛犬との暮らしがより豊かになるような情報を発信できたら、と思っています!
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