パグは皮膚病に気を付けて|飼い主として知っておきたい発症の原因と予防策
もちもちコロンとした体型にくりっとした大きな瞳、そして1番の魅力といっても過言ではない短いお鼻としわくちゃのお顔。他の犬種では見られない愛嬌たっぷりのパグは、世界中で高い人気を誇っています。そんなパグですが、実は皮膚が弱いということをご存じでしょうか。犬の皮膚病は種類が多く、罹患率も低くないと言われています。そのため、自分の愛犬がかかりやすい皮膚病について知っておき、できるだけ予防に努めることは健康管理をするうえでとても大切です。本記事ではパグが注意したい皮膚病とその予防法についてご紹介します。
パグがかかりやすい皮膚病にはどんなものがある?
冒頭でも述べた通り、犬の皮膚病にはさまざまな種類があります。パグは遺伝的に皮膚が弱いことに加え、皮脂の分泌が多く乾燥しやすいことから皮膚トラブルを起こしやすいと言われているため、どんな皮膚病に注意したらよいのか知っておくことが大切です。ここではパグはかかりやすいと言われている皮膚病の一部をご紹介します。
アレルギー性皮膚炎|①アトピー性皮膚炎
アトピー性皮膚炎は、花粉・ハウスダストマイト、カビといった環境アレルゲンが原因となって引き起こされる皮膚炎です。遺伝や体質が関係しているため完治は難しいと言われています。
主な症状は皮膚の強いかゆみです。ひどくなると脱毛や色素沈着なども見られます。耳や顔、脇、足の付け根、お腹などの部位に症状が出やすく、原因となっているアレルゲンによっては特定の状況下で症状が悪化するケースも多いです。
生後半年~3歳頃までの比較的若い年齢で発症しやすいと言われています。パグのほかにも、柴犬やシーズー、フレンチブルドッグ、ミニチュアダックスフンド、ゴールデンレトリバー、ウエスト・ハイランド・ホワイト・テリアなどが好発犬種です。
アレルギー性皮膚炎|②食物アレルギー
食物アレルギーは食べ物が原因となって生じる皮膚炎で、皮膚のかゆみだけでなく、下痢や嘔吐といった消化器症状も見られるという特徴があります。タンパク質を含む食べ物がアレルゲンとなりますが、中でも肉類や卵・乳製品、大豆、小麦などが原因となりやすいようです。
どんな犬でも発症する可能性があるものの、特に1歳未満での発症が多い傾向にあります。
犬の三大アレルギー(※)の中で、アトピー性皮膚炎に次いで発症しやすく、また、アトピー性皮膚炎と併発することも少なくないと言われています。
※犬のアレルギーには「環境アレルギー(アトピー性皮膚炎)」、「食物アレルギー」、「接触性アレルギー」、「ノミアレルギー」などがありますが、中でも環境アレルギーと食物アレルギー、そしてノミアレルギーは特によく見られるとされ、「犬の三大アレルギー」と呼ばれています。
膿皮症
膿皮症は皮膚への細菌感染が原因で引き起こされます。主な原因となる細菌は、ブドウ球菌です。ブドウ球菌は常在菌ではあるものの、免疫力の低下やホルモンの異常、アレルギー疾患などがきっかけとなり異常に増殖することで炎症が生じると考えられています。
かゆみのほかに、湿疹や脱毛、かさぶた、皮膚の赤み、皮むけ、などの症状が見られます。
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マラセチア皮膚炎
常在菌であるマラセチア酵母菌が異常に増殖することで発症する皮膚病です。マラセチア菌は皮脂をエサとしているカビの仲間で、普段は問題を引き起こしませんが、皮脂の過剰な分泌やアレルギー性皮膚炎、免疫力の低下による皮膚コンディションの悪化などが原因となり、炎症を引き起こします。
マラセチア皮膚炎の症状として大きな特徴は皮膚のべたつきです。その他にもかゆみ、脱毛、赤み、フケ、独特な臭いといった症状が見られます。そして慢性化すると色素沈着や皮膚が分厚くて硬いゴワゴワした質感になります。
マラセチア菌が増殖しやすい高温多湿の時期は症状が悪化しやすいです。
皮膚病を予防するためにできること
犬の皮膚病は、遺伝や体質といった避けられない要因が関係していることも多いです。そのため、どんなに注意していてもトラブルが完全に防げるわけではありません。しかし、日頃のケアや環境づくりによって皮膚病のリスクを大きく減らせる可能性はあります。何も気を付けずに過ごすのと、適切な対策を行うのとでは、愛犬の健康に大きな違いが生まれるでしょう。ここでは、飼い主さんが実践できる皮膚病予防のポイントについてご紹介します。
適切な頻度でシャンプーをしよう
パグは皮脂の分泌量が多いので、皮膚がべたつきやすいです。皮膚トラブルを予防するには定期的にシャンプーをして皮膚を清潔に保ちましょう。シャンプーはニオイ対策にもなるので、ニオイが気になるという場合にも効果的です。
ただし、べたつき予防やニオイが気になるからといって数日おきにシャンプーするのは逆効果になるので避けてください。適度な皮脂には皮膚から水分が蒸発するのを防いだり、皮膚を保護する役割があるので、適切な頻度でシャンプーをしてあげるのがポイントです。目安は1ヶ月に1回程度と言われていますが、その子の皮膚の状態や多湿な時期では回数を増やすこともあるので、かかりつけ医に相談してみるとよいでしょう。
また、シャンプーしたあとはしっかり乾かすようにしてください。短毛なのでタオルドライで済ませてしまいがちですが、パグはダブルコートの犬種なので、アンダーコートまで乾かす必要があります。湿ったままになってしまうとかえって雑菌が増えて皮膚トラブルを招いてしまう恐れがあるので、タオルとドライヤーで完全に乾かしましょう。
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生活環境は清潔に
アトピー性皮膚炎はハウスダストマイト(ダニ)やカビなどが原因となるケースもあります。そのため、部屋の中を清潔に保つように意識しましょう。犬の抜け毛は放っておくとダニのすみかとなりますが、パグの抜け毛は短く取り除きにくいので、掃除したつもりでも意外と残ってしまいがちです。掃除機や粘着シート、ゴム手袋などを活用してできるだけ抜け毛を取り除きましょう。空気清浄機もアレルゲンやニオイ対策としておすすめです。
また、クッションや毛布、ベッドなど愛犬がよく使用するものは皮脂や抜け毛などが付着しているので、可能であれば洗濯してください。水洗いできないものは陰干しするとよいでしょう。アレルゲンとなるものを完全に除去することは難しいですが、できるだけ接触しないようにすることが予防や症状の悪化防止に繋がるため、日頃から清潔な環境を維持することが大切です。
しわのお手入れも忘れずに
パグの魅力の1つでもあるしわですが、食べかすやほこりなどが溜まりやすい部分でもあります。また、皮膚が重なっているため蒸れやすく、マラセチア菌や細菌などが繁殖しやすいとも言われています。ごはんを食べた後や水を飲んだ後、お散歩から帰ってきた後にはしわをチェックするようにし、汚れているようであれば優しく拭き取ってあげるようにしましょう。その際は目を傷つけないよう注意が必要です。
シャンプーのあとはしわに洗剤が残っていないかを確認し、生乾きにならないようしっかり水気を取り除くようにしてください。
パグは皮膚トラブルに気を付けて
短毛のパグは皮膚トラブルとは無縁のイメージがあるかもしれませんが、実は皮膚病にかかりやすい犬種です。遺伝や体質が原因のものは予防することは難しいものの、日頃の生活の中で飼い主さんが意識することで発症のリスクを下げたり、症状の悪化を防ぐことができるかもしれません。
皮膚病は慢性化したり難治性のものもあるため、できれば予防したい病気です。とはいえ、薬や薬浴、サプリメント、食事の変更など以外にも最近では再生医療といった新しい治療の選択肢もあり、皮膚専門の動物病院もあります。普段から愛犬の様子をよく観察し、異常を感じたらなるべく早い段階で診てもらいましょう。
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この記事のライター
choco
シェルティとの生活に憧れる社会人です。みなさんの愛犬との暮らしがより豊かになるような情報を発信できたら、と思っています!
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