オオカミは、犬と違い獲物を狩るための能力を存分に発揮できるような骨格をもっています。持久力に長けた足は、肩から肘までの上腕骨が長く胴体に密着するようにして生えているので、前足が犬よりも後ろの方にあります。肩幅が広く胸の真下に足があることで、速く走ることができ、獲物であるイノシシやシカを追跡し仕留めることができるのです。

一方、犬はオオカミよりも体が小さく、肩幅が広いため前から見るとがっちりとした体型をしていますが、オオカミは肩幅が狭くシュッとしています。

また、オオカミは、獲物に食らいつき離さない強い顎を持ち、硬い皮を割い骨を噛み砕くほどの力があります。そのためオオカミの歯は、犬のものよりも大きく頑丈なことも大きく違う点です。

凛々しく美しいオオカミに、見た目が似ている犬種を5種類集めました。日本でも人気の高い犬種から、あまり知られていない犬種までをご紹介します。

シベリアンハスキーにも外見がよく似ており、間違われることが多いアラスカンマラミュートですが、ハスキーよりも一回りほど大きい体型をしています。アメリカ原産のアラスカンマラミュートも、ハスキー同様オオカミとのDNAが極めて近いことが分かっています。

その名の通り、シベリア地方を原産とするシベリアンハスキーは、日本でもバブル景気の頃大流行し知名度が高い犬種です。シベリアンハスキーとオオカミは、外見もとても良く似ていますが、近年のDNA分析を元にした研究により、オオカミに近いことが分かっています。

名前の通りグリーンランド原産のグリーンランドドッグは、世界最古の犬種のひとつで古くからエスキモーと共に犬ぞりとして暮らしていました。厳しい環境でも、少ない食料だけで耐え抜く忍耐強さや耐久力などにとても長けています。

アラスカンクリーカイは、別名「ミニハスキー」とも呼ばれる、ハスキーのような見た目をした小型犬サイズの犬種です。シベリアンハスキーの理想体高は50～60cm程度あるのに対し、アラスカンクリーカイはわずか23～30cmほどで、トイプードルや豆柴サイズほどととても小さいことがわかります。

ノーザン・イヌイット・ドッグは、イングランド原産の犬種で作出されたのは1980年代とかなり新しい犬種です。ジャーマンシェパードやシベリアンハスキー、アラスカンマラミュートなどが交配に使用され、限りなくオオカミに似ている外見をもつ犬種を誕生させました。

ウルフドッグとは狼犬とも呼ばれ、その名の通り犬とオオカミとの交配によって誕生した犬種です。日本国内では、500頭程度しか飼育されていないため、あまり馴染みの無い犬種ですが、JKC（ジャパンケネルクラブ）には、2種類のウルフドッグが認定されています。

チェコスロバキアン・ウルフドッグは、1955年に旧チェコスロバキアで、ジャーマン・シェパード・ドッグとオオカミのカルパチアン・ウルフを交配させ、シェパードよりも優れた軍用犬として誕生しました。チェコの特殊な軍事作戦において、軍事攻撃犬として使用されており、機敏で持久力がありとても勇敢です。

大きさは、オスが最低体高65cm・最低体重26kg、メスが最低体高60cm、最低体重20kgとがっしりとした体つきをしています。

オランダ原産のサールロース・ウルフドッグは、犬本来の自然な素質を取り戻すためにジャーマン・シェパード・ドッグとオオカミを交配して、誕生した犬種です。そのため、オオカミの血を4分の1受け継いでいます。

大きさは、オスが体高65～75cm、メスが60～70cmと長い四肢を持ちます。

オオカミと外見が似ている犬種は、遺伝子においてもオオカミに近いことが近年分かってきています。しかし、様々な犬種の中で最もオオカミに近い犬種は柴犬と言われており、外見だけでは分からないものです。外見が似ても似つかないシーズーやペキニーズもオオカミに近いと言われており、もしかしたらあなたの愛犬もオオカミの遺伝子に近い犬種かもしれません。