犬が吐いたときに病院へ行く基準は?吐いたもの別の対処法と予防策
犬は四足歩行で口の高さと食道や胃が平行になっているので、食べ物を吐きやすい身体の構造になっています。しかし、いくら嘔吐しやすいといっても、苦しそうに吐く姿を見ると心配になってしまいますよね。
また嘔吐の原因はひとつではないため、様子を見ておいて大丈夫なのか、すぐに病院に連れて行った方がよいのか判断が難しいです。
そこで今回は犬が吐いたときに病院へ行く基準を紹介します。
吐いたもの別の対処法や予防策についても解説しているのでぜひご覧ください。
犬の嘔吐ですぐに病院へ行った方がよい症状
犬の嘔吐ですぐに病院に連れて行った方がよい症状としては以下のものがあります。
- 吐いた後に食欲がない
- 繰り返し吐く
- 嘔吐物に血や異物が混じっている
- 便のにおいが混ざっている
- 嘔吐以外の症状がある
- 吐こうとしても吐けない
順番に見ていきましょう。
吐いた後に食欲がない
嘔吐したあと、半日程度経っても食欲がない場合、病気の可能性があります。
特に子犬やシニア犬は体力も少ないため、食欲が回復しなければすぐに病院に連れて行きましょう。
ただ嘔吐と食欲不振だけでは漠然としすぎていて、特定の病気までは絞り込めません。
病院では問診で原因を探り、レントゲンや血液検査、場合によっては超音波検査など全体的な検査を行い、病気を絞り込んでいきます。
嘔吐で病院にかかる際はこの記事の最後に「受信時のためにメモした方がいいこと」をお伝えしていますので、ぜひ読んでみてください。
繰り返し吐く
繰り返し吐く場合、消化器疾患だけでなく内臓疾患や異物の誤飲、誤食の可能性も考えられます。
嘔吐を繰り返すと脱水症状になってしまうこともあります。
なるべく早く動物病院に連れて行き、処置や原因の特定をしてもらいましょう。
嘔吐物に血や異物が混じっている
嘔吐物に血や異物が混ざっている場合も、すぐに病院で診察を受けましょう。
血は鮮血でなくても少量混ざっていればピンク色、酸化すれば茶色、黒色になる場合もあります。
血が混ざっている場合、考えられるのは胃や食道からの出血です。
具体的には胃炎や胃潰瘍、胃や食道にできた腫瘍の場合もあるため、診察に連れて行きましょう。
嘔吐物に便のにおいが混ざっている
嘔吐物に便のにおいが混ざっている場合、考えられることは便を食べてしまう食糞や、身体の中で異物が詰まってしまう腸狭窄・閉塞です。
食糞であればそこまで心配する必要はないので、排泄物をなるべく早く片付けるといった対策を行いましょう。
しかし食糞をしていないのに便のにおいがする場合、異物や腫瘍による腸の狭窄や閉塞が疑われます。
元気であっても体調が急変してしまう可能性があるので、すぐに病院へ連れて行ってください。
嘔吐以外の症状が伴う
嘔吐以外に以下の症状が見られた場合、すぐに獣医師の診察を受けましょう。
- 食欲不振
- 震え
- 立てない
- 身体のどこかから出血が見られる
もちろん上記以外にも嘔吐と併せて出る疾患も多くあります。
病院で検査を行い、早い段階での診断が大切です。
吐こうとしても吐けない
吐こうとして吐けない場合も、すぐに病院に連れて行きましょう。
吐こうとして吐けない場合に考えられるのが、胃拡張・胃捻転や食道に異物が引っかかっている状態です。
胃拡張・胃捻転は胃の中にガスが膨満し胃がねじれてしまっている状態を指します。
嘔吐のほかにお腹が膨らんでいる、苦しそうにしていることが特徴です。
グレート・デンやゴールデン・レトリバーなどの胸の深い大型犬がかかりやすいといわれています。
またもうひとつ考えられる症状としては、食道に異物が引っかかっている場合です。
異物が食道に引っかかったままだと呼吸困難や閉塞に繋がる恐れもあるため、迷わず受診しましょう。
犬の嘔吐で様子を見てもいい症状
すぐに病院に連れて行く項目を紹介しましたが、一旦様子を見てもよい症状としては以下のものがあります。
- 食後に吐いたが元気で食欲もある
- 白い泡や黄色の液体を吐いたが元気で食欲もある
- 草を食べて吐いたが元気で食欲もある
それぞれ詳しく紹介します。
食後に吐いて元気で食欲もある
食後に吐いてしまってもその後元気で食欲もある場合、心配のない嘔吐といえるでしょう。
嘔吐が続くようであれば病院に行く必要がありますが、ほかに症状がなければ様子を見ても大丈夫です。
勢いよくフードを食べた直後に吐いてしまう場合は、嘔吐ではなく吐出の可能性も考えられます。
嘔吐と吐出の違いについてはこの記事でも後ほど解説していますので、確認してみてくださいね。
白い泡や黄色の液体を吐いたが元気で食欲もある
白い泡や黄色の液体は胆汁である可能性が高く、元気で食欲もあるのであれば心配ありません。
嘔吐が続くのであれば、やはり動物病院へ連れて行って原因を探る必要がありますが、少し様子見しても大丈夫でしょう。
草を食べて吐いたが元気で食欲もある
犬が草を食べて吐き、その後元気で食欲のある場合は様子見してみましょう。
犬は雑食性の動物なので草も食べますが、食べた草によっては硬かったり先が尖っていたりして、喉に刺激が加わり嘔吐してしまう場合があります。
心配ないといえますが、草に農薬がついている可能性もあるためあまり食べさせないよう注意しましょう。
犬が吐いたもの別の対処法と予防策
すぐに病院に行った方がいい嘔吐と様子見できる嘔吐について紹介しましたが、吐いたものによっても緊急性が高いかどうかの判断が行えます。
- 毛玉
- 黄色い液体
- 透明の液体や白い泡
- 茶色いもの
- 赤いもの
- 異物
順番に解説します。
毛玉を吐いたとき
嘔吐物に毛玉が混ざっている場合、心配はありません。
毛玉が混ざった嘔吐は、毛が抜けやすい換毛期に起こりやすいです。
犬が飲み込んだ被毛は消化されないため、便に混ざったり嘔吐したりして体内から排出されるのです。
毛玉の混ざった嘔吐を防ぐには、被毛を飲み込まないよう対処しましょう。
具体的には定期的なブラッシングやこまめな掃除が挙げられます。
柔らかく軽い被毛は少しの風で舞い上がりやすく、高い場所に留まっている場合があるため、カーテンや棚、テレビの裏など徹底的な掃除が必要です。
黄色い液体を吐いたとき
先ほど黄色い液体を吐いた場合は様子見で大丈夫とお伝えしましたが、黄色い液体の正体は胆汁です。
胆汁を出す際の原因としては空腹時間が長いことが挙げられます。
胃が空っぽになると胆汁が胃に逆流し、嘔吐してしまうのです。
1日の食事回数をわけ、こまめにフードを与えて空腹時間が短くなる対策を行いましょう。
透明の液体や白い泡を吐いたとき
透明の液体や白い泡の正体は水や唾液、または胃液が考えられます。
- 勢いよく水を飲んだ
- 興奮した
- 吐き気を感じた
- ストレスがかかった
上記の場面で透明の液体や白い泡を出すことがあります。
喉の渇きやすい夏場やドッグランなどで走り回り興奮している状態で水を与えると出てしまうことがあるため、水は犬を落ち着かせてから与えましょう。
また、ストレスのかかる状況で嘔吐する場合はストレスの原因を知り、可能であれば避ける工夫を行うことが大切です。
茶色いものを吐いたとき
茶色の嘔吐物はフードなのか酸化した血液であるのかの判断が必要です。
多くの場合、フードであればドロドロした見た目に加え、フードそのもののにおいがします。
消化不良のフードを吐き戻した場合が考えられるため、続かなければ心配ありません。
しかし、嘔吐物がさらさらとしていて茶色い場合は、出血の可能性があります。
飼い主さんがフードか血液か迷う場合は嘔吐物を持っていき、獣医師に判断してもらいましょう。
赤いものを吐いたとき
赤いものを吐いた場合、出血が考えられます。
血液は口から近い箇所で出血していたり、出血してからすぐに嘔吐が起こったりした場合赤くなります。
赤いものが見られる嘔吐物を出した場合は動物病院に連れて行き、診察を受けましょう。
嘔吐物に異物が混入しているとき
嘔吐物に異物が混入している場合、異物を飲み込んでしまった可能性があります。
飲み込んでしまった異物に心当たりがなければ、なにをどれだけ飲み込んだのか、食べたものが全部出たのかの判断ができません。
念のため動物病院で診察を受け、消化器の動きが正常か、異物が詰まっている様子はないか確認してもらいましょう。
苦しそうにしていないか、呼吸状態は正常かの観察も大切です。
嘔吐と吐出の違い
食後に吐いてしまった場合でも元気であれば心配ないと前述しましたが、食後に嘔吐する場合、吐出の可能性があります。
吐出であれば勢いよく食べてしまったことが原因と考えられるため、ほとんどの場合心配はありません。
嘔吐と吐出の違いについて知っておきましょう。
嘔吐
嘔吐は胃の中にある食べ物や液体を吐き出してしまうことです。
脳にある嘔吐中枢が刺激を受け、吐く信号が神経系を通じて胃や十二指腸に伝わると、内容物が逆流し吐き出されます。
嘔吐は消化が始まっているドロドロした状態のものが多いので、吐いた物の状態によっても判断できるでしょう。
吐出
吐出は食道や胃に届いて間もない食べ物を吐き出してしまう現象です。
勢いよく食べることが原因で、まだ胃に届いていない未消化のフードをそのまま吐き出します。
フードの形が原型のまま残っていた場合、吐出と考えられるでしょう。
犬によっては何事もなかったかのように、吐いた物をもう一度食べる場合もあります。
繰り返す場合は食道に疾患がある可能性も考えられますが、まずは落ち着いた状態でフードを与えるよう対策してみましょう。
受診時のためにメモしておいた方がよいこと
最後に嘔吐で病院を受診する際に、メモしておいた方がよいことを紹介します。
- 嘔吐は何時頃、何回起こったか
- どういった状況で起こったか(散歩後、食事中など)
- なにを吐いたのか(液体、ドロドロ、泡状など)
- なに色の液体だったか(赤、黄色、白など)
- 吐いた後の様子(ぐったりしている、普段どおりなど)
- 血や異物は混ざっていなかったか
- 下痢やほかの症状はあるか
- 異物を食べてしまった可能性はあるか
嘔吐物は実際に見せることができれば診察の判断材料として役立ちます。
異物が混ざっている場合は必ず持参し、異物がなくても色や状態を知らせるため、念のためにスマートフォンで写真を撮っておきましょう。
まとめ
今回は犬の嘔吐について、すぐに病院に行った方がよい症状、様子を見られる症状、吐いた物別の対処法などを解説しました。
嘔吐は緊急性の高いものからそうでないものまで幅広く、飼い主さんの嘔吐に関する知識が必要です。
もちろん様子を見ても大丈夫な嘔吐で紹介した症状が出た場合でも、心配な場合は病院へ行きましょう。
その際は受診時にメモした方がいいことを参考に、的確に嘔吐した際の状況を伝えられるようにしてみてください。
この記事のライター
nana
泳ぎも走りも得意な運動神経抜群のゴールデンレトリバーと暮らしています!今は愛犬とタンデムサーフィンの練習中。いつまでもアクティブに楽しく過ごせるような情報を発信していきます。
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