サバ(鯖)を犬に与えて大丈夫?栄養素や食べさせる際の注意点、手作りレシピ等も
日本の食卓に最もなじみの深い青魚の一つ「サバ」。サバは、古文書にも登場するほど古くから日本人に親しまれてきた魚で、全国各地にさまざまな料理が伝わっています。
栄養豊富で安価な大衆魚として人気のあるサバは、味噌煮や塩焼きなど様々な料理で食されていますが、与え方に気を付ければ犬にも食べさせることのできる魚です。サバの栄養は、犬にとっても嬉しい栄養がいっぱい。今回は、犬に取って有効なさばの栄養素や、食べさせる時の注意点、さばを使った犬が喜ぶレシピをご紹介します。
目次
犬はサバを食べても大丈夫!
青魚の代表格ともいえるサバは、回遊魚であるため旬が長く、また産地によっても旬が変わることから、年間を通じてスーパーなどで入手出来る魚です。1年を通じて入手できる嬉しい食材「サバ」は、与え方にさえ注意すれば、犬に与えても大丈夫な食材なんです!
犬にサバを食べさせる際の注意点
犬にとって嬉しい栄養成分が豊富なサバですが、食べさせる際には注意しなくてはいけない点があります。
注意点|1.リンが多いため腎機能が低下している場合は注意
サバには、100g中210?260mgのリンが含まれています。リンは、犬のエネルギー代謝に関わる栄養素で、またカルシウムとともに、犬の骨や歯を作る役割を持っています。しかし、このリンは、与えすぎに注意が必要な栄養素でもあるのです。特に腎臓機能が低下している犬の場合は、リンが上手く排出されず、血液中に蓄積されてしまうことによってリン過剰症となる可能性があります。慢性腎臓病やシニアで腎機能の低下を指摘されている犬などは与えすぎに注意が必要です。
注意点|2.アニサキスによる食中毒に注意
寄生虫の一種であるアニサキスは、白く太いタコ糸のような形をしています。長さは約2~3cmで、サバ、あじ、さんま、カツオ、イワシ、鮭、牡蠣、ハマグリなどの魚介類に寄生しています。このアニサキスが寄生している魚介類を生で食べることで食中毒を発症します。人間の場合は、非常に強いお腹の痛み、嘔吐などの症状が出る急性胃アニサキス症を発症します。犬の場合は、はっきりとした症例はありませんが、サバを食べて、激しい嘔吐や下痢を発症した時はアニサキスの可能性を考えましょう。
予防法・対策
アニサキスは、酢じめ、塩漬けなどでは死滅しません。サバを購入する時には、鮮度の良いものを選び、内臓はなるべく早く処理しましょう。サバは、しっかりと火を通してから与えることがおすすめです。
注意点|3.イエローファットに注意
イエローファットとは、日本名で黄色脂肪腫と呼び、ビタミンEの摂取不足から起こる病気のことです。サバなどの青魚を大量に食べることで、犬の体内のビタミンEが破壊されることから発症します。これは、不飽和脂肪酸の酸化によるもので、腹部や胸部の脂肪が酸化し炎症を起こし、発熱、食欲雨不振、毛艶が悪くなるなどの症状のほかに、お腹を触れるのを嫌がる、腹部にしこりができる、皮膚の下にしこりができることもあります。
予防法・対策
イエローファットは不飽和脂肪酸の過剰摂取によって引き起こされる病気ですが、大量に摂取しない限りは発症しません。ただし、オリーブオイルをはじめ、さまざま名食材にも不飽和脂肪酸は含まれているため、手作り食の場合は不飽和脂肪酸の取りすぎに注意が必要です。
注意点|4.ヒスタミン中毒に注意
さばには、生理活性物質のヒスタミンが含まれています。人間がさばを食べて蕁麻疹が出るのは、このヒスタミン中毒による可能性が高いのです。ヒスタミンは、魚の筋肉に含まれているアミノ酸が変換されたものです。ヒスタミン生成菌によって作られるヒスタミンは、血合いが濃い魚に多く含まれています。ヒスタミン食中毒を起こすと、嘔吐、下痢、かゆみなどの他に重篤な場合は、呼吸困難、血圧低下などのショック症状が現れることもあります。
予防法・対策
一度サバに蓄積してしまったヒスタミンは、加熱しても破壊されません。ヒスタミンは30~37度の室温で増殖するため、買ってきたサバはすぐに冷蔵庫に入れる、犬に与える場合はヒスタミンが蓄積しやすいエラや内臓は購入後すぐに取る、鮮度が悪いサバは与えないようにするなどの注意が必要です。
犬が食べられるサバの栄養素・成分とは?
青魚といえば、EPA、DHAが豊富なことで知られていますが、特にサバには、犬の体組織の発達に欠かせない必須脂肪酸のDHAが多く含まれています。さらにサバには、良質なたんぱく質やビタミン・ミネラルなど犬の健康に役立つ栄養素が豊富に含まれています。
さばは、他の魚に比べると群をぬいてEPA、DHAが多く含まれていることで知られています。また、犬の健康維持に欠かせないビタミンD、ビタミンB12などが含まれている栄養価の高い魚です。一般に市販されているさばには、まさば、ゴマさば、大西洋さば(ノルウエーさば)と3種類があり、それぞれを比べると栄養素の含有量が異なりますが、含まれている栄養素に変わりはありません。ここでは、さばに含まれている犬にも有効な栄養素をご紹介します。
サバの栄養素・成分|1.たんぱく質
魚と肉を比べた時に、たんぱく質量が多い食材は肉というイメージがありますが、さばは魚類の中でもたんぱく質量が豊富な魚です。肉類の中でもたんぱく質が多い鶏の胸肉と比べてみると、鶏胸肉のたんぱく質量が100g中19.5gであるのに対し、さばは100g中のたんぱく質量が20.7gと豊富なことがわかります。動物性たんぱく質は、犬の生命維持に欠かせない栄養素。特に、肉アレルギーを持つ犬にとっては有効な動物性たんぱく質源となります。
サバの栄養素・成分|2.必須脂肪酸
犬が自分の体で作ることができない脂肪酸が必須脂肪酸です。さばの油に多く含まれているDHAとEPAはこの必須脂肪酸にあたります。犬は、αリノレン酸からEPA、DHAに変換する酵素をわずかながら持っていますが、食事から摂取することが望ましいとされています。
DHA(ドコサヘキサエン酸):犬の脳や網膜などの神経系に多く含まれている栄養素で、多価不飽和脂肪酸に属しているオメガ3脂肪酸に分類されます。DHAは、母乳に含まれている栄養成分で、さばにはこのDHAガ青魚の中でも3番目に多く含まれています。
EPA(エイコサペンタエン酸):血液や血管の健康維持に役立つとされるEPAも、多価不飽和脂肪酸に属しているオメガ3脂肪酸です。EPAは、健全な体を維持するのに役立つ栄養成分だとされています。
サバの栄養素・成分|3.ビタミンB群
12種類のビタミンで構成されているビタミンB群は、犬の体内でアミノ酸の生成や神経活動に関与している大切な栄養素。さばには、このビタミンB群が多く含まれています。特に、ナイアシン(ビタミンB3)、コバラミン(ビタミン12)、葉酸が多く含まれていることが特徴です。
サバの栄養素・成分|4.ビタミンD
犬の健康な骨や歯を作るのに欠かせない栄養素がビタミンDです。ビタミンDは、カルシウムとリンを吸収するために不可欠で、このビタミンが不足すると骨の病気を発症する可能性があります。さばには、同じ青魚であるアジの約10倍にあたる100g中11μgのビタミンDが含まれています。
犬のためのサバを使った手作りごはんレシピ
たんぱく質、ビタミン、ミネラルが豊富で栄養価の高い青魚の代表ともいえるサバですが、中毒の危険性があるため、よく加熱して与えることがおすすめです。
1.サバのトマト煮
サバを柔らかく煮ることで、シニアでも食べやすいメニューです。多めに作って、冷凍しておくこともできます。サバ缶で代用することもできます。鯖缶を使用する場合は、無塩タイプを使用してください。
材料
・サバ 2切れ
・トマトの水煮缶 1/2缶
・水 大さじ1
・セロリ 少々
・しめじ 適量
・ブロッコリー 適量
・にんじん 適量
・パセリ 少々
・ローリエ 1/2枚(なくても可)
作り方
1.サバは食べやすい大きさに削ぎ切りにする。野菜は一口大に切っておく。
2.フライパンにオリーブオイルを入れ、オリーブオイルが温まったら皮目を下にしてサバを並べる。
3.皮に焼き色がついたら裏返し、両面をよく焼く。
4.フライパンを洗って水気を拭いたら、オリーブオイルを入れ一口大に切った野菜を入れ、さっと炒めてトマトの水煮缶、水、ローリエを加える。
5.野菜が柔らかくなったら、焼いたさばを加え、全体を混ぜて一煮立ちさせる。火を止め、パセリのみじん切りを上からかける。
ONE POINT
野菜は季節に合わせてお好みのものを選んでください。
2.サバのホイル焼き
サバと細かく切った野菜をホイルに包んで焼く時短レシピです。サバはホイル焼きすることで、ふっくらと仕上がります。
材料
・さば 1切れ
・しめじ 適量
・パプリカ 適量
・ミニトマト 1~2個
・オリーブオイル 小1
・ミニトマト 1~2個
・※野菜はお好みで
作り方
サバを下処理しておく。
1.野菜は食べやすい大きさに切る。
2.アルミホイルにサバ、野菜、ミニトマトを順番に乗せる。
3.オリーブオイルを全体にまわしかける・
4.アルミホイルを閉じ、オーブントースターで20分程度、サバに火が通るまで加熱する。
ONE POINT
オーブントースターによって焼き時間が変わるため、様子を見ながら加熱してください。与えるときは、よく冷ましてサバをほぐし野菜と混ぜ合わせてあげましょう。
栄養豊富なサバをぜひ愛犬の手作りメニューに加えてあげて
犬の健康に役立つ栄養が詰まっているさば。匂いの強いものが好きな犬は、サバが大好きになるはず。しかし、どんなに栄養価が高いからといっても、サバの大量摂取は犬の健康に悪影響を与える可能性があります。そのため、サバを使ったメニューは週に1~2回程度に抑えるのがおすすめです。また、サバを初めて与える場合は、少量から始めて、様子を見ながら量を増やしていきましょう。
この記事のライター
nao
「愛犬の気持ちを理解したい」「寄り添ったコミュニケーションを取りたい」という思いからドッグライターとして犬に関する知識を学び、発信しています。愛犬の笑顔を守るために、そして同じ思いを抱く飼い主さんのために、有益な情報を発信していけたらと思っています。
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