犬ぞりの歴史や犬・役割などの基礎知識を知ろう|白銀の世界を駆け抜ける感動の犬ぞり
犬ぞりといえば、日本で初めての南極観測隊に同行した樺太犬タロとジロを題材とした南極物語を思い出す方も多いのではないでしょうか?極寒の地でモフモフの犬たちが活躍しているイメージの「犬ぞり」ですが、近年では犬ぞりレースや犬ぞり体験ツアーなどの人気も出てきているようです。
今回は、そんな冬ならではの感動体験!犬ぞりの歴史から、犬ぞりで活躍する犬種、犬ぞりでの犬の役割など、犬ぞりの基礎知識を全てご紹介します。
目次
犬ぞりの歴史は3万年以上
3万年以上も前に、モンゴルの地で発祥したと言われる犬ぞり。その後、カナダ北部の地球上で最も寒冷な地域と言われている地に住む先住民族イヌイットによって、犬たちは狩猟犬として活躍すると共に、「犬ぞり」という形で、身動きがとりにくい雪道での交通手段・荷物運搬等にも活躍の場を広げていきました。
馬や牛よりも小さい犬ぞりは、狭い道や長い距離を移動する手段として極寒の地では欠かせない存在とされていました。やがてスノーモービルが普及しはじめたことで、使役としての犬ぞりは減少し、現在ではレースや観光といったアクティビティとして人気となっています。
犬ぞりの世界は奥深い。犬ぞりは全部で2タイプ
たくさんの犬がロープ(ギャングライン)でつながり走っている犬ぞり。ロープが絡まないのか、不思議に思いませんか? 犬ぞりのつなぎ方は2種類で、それぞれに特徴があります。ここでは、犬ぞりのつなぎ方をご紹介します。
犬ぞりレースでも採用されるタンデムタイプ
タンデムタイプは、2頭を1セットにして縦につないでいくタイプです。細い道や険しい道を走るのに適したつなぎ方で、森の中や山道を走る時に採用されます。 タンデムタイプでは、犬たちそれぞれのポジションごとに役割が決められます。
イヌイット方式のファンタイプ
イヌイットが古くから使用しているつなぎ方が、1頭ずつをそりに直接つなぐファンタイプです。犬たちが扇のように横に広がって走ることから、ファン(扇)タイプと名付けられています。
犬ぞりで活躍してきた犬種は?代表的な5犬種を紹介
犬ぞりは、主に8頭の犬たちがチームを組んで走ります。犬たちには、寒さに強いことはもちろん、長い距離を走れるだけの体力と持久力、スピードなどが求められます。犬ぞりで活躍する犬は、そり犬(スレッドドッグ)と呼ばれ、さまざまな犬種が活躍していますが、以下に代表的な犬種をご紹介します。
世界最古の犬種のひとつグリーンランドドッグ
グリーンランド原産の古代犬種で、カナディアンエスキモードッグとよく似た性質を持っています。 イヌイットとともに、狩猟犬、そり犬として活躍していたグリーンランドドッグは、スピードは得意ではありませんが、持久力と体力に優れ、現在でもグリーンランドでそり犬として活躍しています。
日本でも人気の犬種シベリアン・ハスキー
シベリア原産のシベリアン・ハスキーは、シベリアの先住民チヌーク族のそり犬として活躍していた犬種です。
アラスカン・マラミュートと容姿が似ていることから間違えられやすいですが、アラスカン・マラミュートの尻尾が巻尾であるのに対し、シベリアン・ハスキーの尻尾はまっすぐ下に垂れている垂れ尾です。 そり犬として育種されてきたシベリアン・ハスキーは、重いものを牽引する力と長時間の移動に耐えられる体力が特徴です。
希少犬種カナディアン・エスキモードッグ
先住民族イヌイットに飼育されていた古代犬種で、そり犬、シロクマやアザラシなどの猟犬として活躍する犬種です。
極寒の気候と重労働に耐えられる貴重な犬種であると言われています。防寒性の高い密な被毛と引き締まった筋肉質なカラダが特徴で、長距離を走るための持久力を備えています。
オオカミのDNAを持つアラスカン・マラミュート
アラスカ西部が原産のアラスカン・マラミュートは、原住民マラミュート族の狩猟パートナーとして活躍してきた犬種です。 重い荷物を運搬することが得意で、長距離を移動できる体力と持久力を持っています。
犬ぞりの代表格アラスカン・ハスキー
優秀な犬ぞり犬として知られているアラスカン・ハスキーは、生まれながらにしてそり犬として素質を備え持っている犬のことで、アラスカン・ハスキーという純血種がいるわけではありません。
そり犬として高い作業能力と体力を備えたさまざまな犬種を選び、育種された犬をアラスカン・ハスキーと呼びます。
主に、ノーザン・イヌイット・ドッグ、ジャーマンシェパード、セッター、シベリアンハスキーなどが選ばれていますが、オオカミの血も入っているそうです。
チームワークが鍵となる犬ぞりには各犬に役割が
先頭を走るリードドッグ
最前列に配置される犬たちは、犬ぞりの進路を決める上で重要な役割を果たします。マッシャーに忠実かつ物怖じしない性格の犬が適任とされています。
チームのまとめ役ポイントドッグ
リードドッグの後ろを走る犬がポイントドッグです。別名スイングドッグとも呼ばれ、チームをまとめられる能力と足の速さが求められます。
牽引力が頼りになるチームドッグ
8頭引きの場合、真ん中を走るのがチームドッグです。2列目のポイントドッグと最後列のホイールドッグの間に入り、牽引力をサポートする役割があります。
最後尾を走るホイールドッグ
そりに最も近いホリールドッグは、マッシャーと前を走る犬たちのバランスを見ながら走る犬たちです。スタミナはもちろん、協調性の高い性格が求められます。
犬ぞりは人間と犬とのパートナーシップから成り立つ
スノーモービルや飛行機といった移動手段がなかった時代、犬ぞりは極寒の地に住む人間にとって大切な移動手段でした。 交通手段が発達した近年の犬ぞりは、レースやツアーといったアクティビティとしての要素が高まっています。国内では北海道や長野でも犬ぞりツアーが体験できます。
また、平均気温マイナス20度という極寒の地で繰り広げられる世界で最も過酷な犬ぞりレース「アイディタロッド」をはじめとした犬ぞりレースも多数開催されています。しかし、過酷な生活環境に置かれているそり犬たちに対して、レースの中止や犬の保護を求める声が出ていることも事実です。これからの時代は、人も犬も楽しめる犬ぞりであってほしいものですよね。
この記事のライター
nao
「愛犬の気持ちを理解したい」「寄り添ったコミュニケーションを取りたい」という思いからドッグライターとして犬に関する知識を学び、発信しています。愛犬の笑顔を守るために、そして同じ思いを抱く飼い主さんのために、有益な情報を発信していけたらと思っています。
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