【獣医師監修】犬の消化器トラブル「大腸炎」について|症状や原因と治療方法などを解説
皆さんの愛犬は下痢や軟便を起こして、大腸炎と診断されたことはありますか?大腸炎は犬の消化器トラブルとしてよくある病気です。
大腸炎になる原因はさまざまで、下痢や血便、排便の回数が増えるなどの症状が見られ、脱水症状を起こすと重篤になることもあります。この記事では、犬の大腸炎の原因や治療・予防方法についてご紹介します。
犬の大腸炎という病気について
大腸炎は、その名のとおり大腸(結腸、直腸)の粘膜に炎症が起こる病気です。
犬の大腸炎の症状
大腸炎の主な症状は軟便、下痢です。便の量や回数が増えたり、排便姿勢をとっても何も出なかったり、便が粘液に被われていたり粘膜や鮮血が付着することがあります。 一時的な下痢で済むこともありますが、激しい下痢で嘔吐を伴うような場合には脱水症状を引き起こし、重篤になることもあります。
他の犬や人間にうつる?
大腸炎自体が他の犬や人間にうつることは考えにくいですが、大腸炎の原因がウイルスや細菌、寄生虫などの感染症であった場合には原因が他の犬や人間に感染し、うつされた場合に大腸炎になる可能性はあります。
犬の大腸炎の原因は?
犬の大腸炎の原因はさまざまですが、次のようなものが挙げられます。ここでは代表的な原因を3つご紹介します。
大腸炎の原因1.ストレスによるもの
新しい犬との同居や近所の工事による騒音、長時間の留守番、気候の変化、慣れないペットホテルなど、犬はさまざまな理由でストレスを感じます。
大腸炎の原因2. 食餌によるもの
食べ過ぎによるものやドッグフードの急変、誤食、食中毒などがあります。
大腸炎の原因3. その他の原因
ウイルスや細菌、寄生虫などの感染症のほか、消化管にできた腫瘍、アレルギー、胃腸に慢性の炎症を起こす原因不明の病気(炎症性腸疾患:IBD)などがあります。
大腸炎にかかりやすい犬種や年齢はある?
どの年齢、どの犬種でも大腸炎を発症する可能性がありますが、5歳未満の若齢犬に起こりやすいとされています。
大腸炎の治療方法とかかる費用の目安
大腸炎の原因に合った治療が必要です。 寄生虫感染が原因の場合には駆虫薬の投与、細菌によるものであれば抗生物質や整腸剤などを投与します。食餌やストレスによるもので一時的なものであれば、胃腸を休ませるために半日ほど絶食し、その後は消化に良いフードを少量ずつ与えましょう。
大腸炎の症状に対しては、下痢止めや粘膜を保護する薬を使用し、大腸粘膜や蠕動運動を回復させます。脱水症状が見られるときは、輸液療法を行うことにより脱水が改善されます。
大腸炎の治療にかかる費用
原因や症状の程度などにより異なります。あくまで目安になりますが、糞便検査、レントゲン検査、血液検査、下痢止め、消化管保護剤、抗生剤の投与、点滴治療など、一回の治療に5,000〜20,000円くらいかかります。症状が重篤な場合は必要な検査や投薬も増えるので、その分の費用が多くかかる可能性があります。
大腸炎を予防する方法
食餌はその子に合ったものを与え、フードを急に変えないようにしましょう。食べ過ぎにも注意が必要です。消化不良を起こすものや食中毒を起こす危険性のあるものは絶対に与えないようにしましょう。
ストレスは、大腸炎に限らず犬の心身に悪影響を及ぼすことがあります。ストレスをかけない生活を心がけましょう。 お散歩によく出かける子やアウトドアが好きな子の場合は、定期的な糞便検査と駆虫薬の投与が必要です。お腹が弱い子の場合は、ビオフェルミン(整腸剤)の投与も大腸炎の予防に繋がります。
再発する可能性
下痢止めや整腸剤の投与で症状が一時的に治ったとしても、原因が排除されない場合や治療を途中でやめてしまった場合には、大腸炎を再発したり慢性化することもあります。
原因に合った治療を受け、獣医師の指示どおりに投薬や通院を続けることが大切です。
症状によっては早急に動物病院を受診しましょう
犬の大腸炎は、生活の見直しで改善される軽度のものもあれば、腫瘍など重大な病気により引き起こされている場合もあります。下痢が続く場合や出血を伴う場合などは要注意です。
特に子犬や高齢犬、免疫力の低下した犬が発症した場合には、下痢や嘔吐により脱水症状を起こし重篤な状態に陥る危険性もあるので、早めに動物病院を受診しましょう。
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この記事のライター
choco
シェルティとの生活に憧れる社会人です。みなさんの愛犬との暮らしがより豊かになるような情報を発信できたら、と思っています!