希少犬種のチベタンマスティフをご存じですか?特徴や性格、育て方など
顔周りにライオンのようなモフモフとした毛が生え、迫力のある大きい体のチベタンマスティフ。日本のみならず、世界的にも個体数が少ない希少な犬種です。今回は、そんなチベタンマスティフの性格や特徴をはじめとした基本事項についてご紹介します。
チベタンマスティフってどんな犬種?
チベタンマスティフは個体数が少なく、特に純血統の個体ともなると入手するのが困難なため、なかなか見る機会がないですが、どんな歴史や特徴を持っているのか詳しく見ていきましょう。
チベタンマスティフの歴史
チベタンマスティフは犬種名にもある通り、チベット高原を原産とする犬です。マスティフ系の犬種のルーツは、チベタンマスティフだと考えられています。
チベタンマスティフは古くからチベットで家畜を守る牧羊犬として飼育されていました。
また、体が大きくたくましい体格であることから、アレキサンダー大王の軍隊に同行し、軍用犬として活躍した歴史もあります。20世紀半ばになると原産国であるチベットでは、個体数が大幅に減少しましたが、すでにヨーロッパなどに渡っていたチベタンマスティフの繁殖が成功したことで、絶滅の危機を乗り越えられました。
日本だけでなく世界的にも希少な犬種なため、実際に見ることができたらかなり貴重な機会といえるでしょう。
チベタンマスティフの特徴
堂々とした佇まいで力強い印象のチベタンマスティフには、どのような特徴があるのか具体的に見ていきましょう。
被毛や抜け毛について
チベタンマスティフの被毛は、首回りの毛の生え方によって「獅子型(ししがた)」と「虎型(とらがた)」とに分類されています。
獅子型はライオンのたてがみのように、首回りの毛が長いタイプです。そして、獅子型の中でも毛が長いタイプは「大獅子頭型」、短いタイプは「小獅子頭型」と呼ばれて分けられています。虎型は、このたてがみのような毛が生えていないタイプのチベタンマスティフを指します。
被毛は、外部の刺激から皮膚を守る役割をする剛毛のオーバーコート(上毛)と、体温調節の機能を持つ柔らかい毛質のアンダーコート(下毛)が生えているダブルコート(2重構造)です。 保温と保湿の役割をするアンダーコートが、春と秋に生え変わることで体温調節をしているため、換毛期には多くの抜け毛が出ます。チベタンマスティフの毛色は、以下のようなさまざまな種類があります。
・ブラウン
- ・リッチブラック
- ・ブラック&タン(黄褐)
- ・グレー&ブルー&タン
- ・グレー&ブルー(黒みを帯びたグレー)
タンは濃淡の幅が広いのが特徴です。また、足にホワイトのマーキングが入った個体も存在します。
チベタンマスティフの寿命とかかりやすい病気
チベタンマスティフの平均寿命は10年前後で、平均的な大型犬の寿命です。かかりやすい病気は、股関節形成不全(こかんせつけいせいふぜん)や皮膚炎(ひふえん)などが挙げられます。
股関節形成不全について
股関節形成不全は、成長期に股関節の形成に異常が生じ、股関節の脱臼や炎症、痛みなどの症状が現れる病気です。大型犬がかかりやすい病気のひとつで、生後4ヶ月~1歳頃に発症することが多いといわれています。
原因は遺伝的な要因であることが多いですが、明確には分かっていません。後天性の場合は、発育段階における急激な体重の増加や、過度な運動などの発育環境などが股関節に悪影響を及ぼしているのではないかと考えられています。
チベタンマスティフが歩いているときに座り込んだり、足を引きずるようにして歩いたりなど、足をかばうような様子が見られた際は、早めに獣医師に診てもらうようにしましょう。 また、もともとチベタンマスティフは乾燥地域原産の犬なので、高温多湿の日本の気候では分厚い被毛に湿気がこもりやすく、皮膚トラブルを起こすことがあります。定期的にブラッシングやシャンプーをして、チベタンマスティフの被毛を清潔に保つことが肝心です。
チベタンマスティフの育て方
勇敢で番犬としての優れた素質を持っているチベタンマスティフですが、成人男性並みにとにかく体が大きいうえ、力も非常に強いため初心者には向いていない犬種です。
プロのトレーナーでも扱うのが難しいといわれているため、大型犬の飼育経験がある人でも、大型犬の特質や適切なトレーニング方法を熟知していないと、扱いきれない可能性が高いでしょう。つまり、チベタンマスティフを育てるには、それなりの覚悟や責任、飼育能力が問われるということです。 それを自覚したうえで、チベタンマスティフと暮らす際は、以下の点などに注意して育てるようにしましょう。
1.しつけ
チベタンマスティフと安全に暮らすには主従関係を明確にし、服従訓練の徹底が必要不可欠です。過去には海外で、しつけが十分にできていないチベタンマスティフが女性に襲いかかり、大けがを負わせてしまった事故なども起きています。
チベタンマスティフは飼い主に忠実ですが、あくまでもしつけが徹底されていることが前提です。中途半端なしつけでは、上記のような惨事を招く恐れがあるので、プロのトレーナーにチベタンマスティフのしつけを行ってもらうことをおすすめします。
2.環境
チベタンマスティフは超大型犬であることから、広いスペースのある住居環境が求められます。加えて、動き回れる広い庭もあるとなおよいです。
また、床材がフローリングの場合は、カーペットなどを敷いて滑りにくいようにしましょう。チベタンマスティフは体重が重いため、足元が滑ると安定した体勢が取りづらく、足腰に負担がかかってしまいます。
3.ケア
チベタンマスティフは分厚い被毛をしているため、抜け毛を放置していると被毛の通気性が悪くなります。そのため、こまめにブラッシングをしてあげましょう。ピンブラシでチベタンマスティフのもつれた毛をほぐしてから、スリッカーブラシで抜け毛を取り除きます。 抜け毛を取り除くと被毛の通気性がよくなるため、皮膚トラブルの予防にもなります。
4.運動
チベタンマスティフは肥満になると関節にかかる負担が大きくなり、それが原因で病気を招くこともあるため、1日2回それぞれ1時間以上は散歩をさせるようにしましょう。チベタンマスティフは激しい運動が苦手なので、走り回ることやジャンプを取り入れた遊びなどは、積極的に取り入れる必要はありません。
チベタンマスティフの性格
普段は物静かに寝そべって過ごしていることが多いチベタンマスティフですが、以下のような性格を持っています。
縄張り意識が強く優秀な番犬
かつてはチベタンマスティフは家畜を守るために活躍していたため、縄張り意識が強く侵入者がいると立ち向かっていきます。そのため、優秀な番犬となってくれるでしょう。
勇敢で物怖じしない
チベタンマスティフは軍用犬として活躍していただけのことはあり、物怖じしない勇敢な性格です。飼い主への忠誠心が強く、外敵から飼い主を守ろうとしてくれる頼もしさを持っています。
チベタンマスティフと過ごす幸せな時間
チベタンマスティフは、物怖じしない勇敢な性格で番犬にもなる頼もしい犬ですが、超大型犬であることから、しつけを徹底していないと事故やけがを招く可能性があります。
大型犬の飼育歴やトレーニング経験があっても、チベタンマスティフと安全に暮らしていくには、プロのトレーナーにしつけを行ってもらったほうが無難といえるでしょう。
この記事のライター
ずーこ
動物全般が大好きで現在は猫を飼ってます!犬もだいすきなのでpetanでは犬に関する様々な情報を発信していきたいと思います!!
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