大型犬の寿命は短い?大型犬が長生きするために飼い主ができることとは
気は優しくて力持ち、そんなイメージがある大型犬。古くから大型犬は、狩猟犬や使役犬などの人間の仕事を手伝うパートナーとして活躍してきました。現在でも、盲導犬などのパートナードッグをはじめ災害救助犬、警察犬など使役犬として働いている大型犬。また、家庭犬としても人気があります。そんな大型犬は小型犬と比べ、寿命が短いことをご存知でしたか?今回は、大型犬の寿命についてのお話です。
大型犬の種類と定義
大型犬と聞くとどんな犬種を思い浮かべますか?一般的には、ラブラドールレトリバー、ゴールデンレトリバーやシベリアンハスキー、ジャーマンシェパードなどがメジャーかもしれません。実は大型犬の定義は国や施設によってさまざまです。また日本では、犬の大きさによってドッグランのエリア分けがされたり、ペットホテルの宿泊料金が異なったりしますが、海外では犬の大きさによって区別されるより、愛玩犬、牧羊犬、使役犬、猟犬などの犬種特性によって分けられることが多いようです。ここでは、気になる大型犬の大きさについて、ご紹介します。
大型犬の基準とは
犬の大きさは、世界標準のような明確な基準が決まっているわけではなく、国や施設など独自の基準で決められています。また、犬種で区別している施設もあるようです。ただ多くの施設では、体重を目安にして犬のサイズ分けをしています。欧米では、大型犬は成犬の体重が26~44kg(59〜99ポンド)としていますが、日本では施設によって体重20kg以上を大型犬とし、40kgを超えると超大型犬とされることもあります。
人気の大型犬の種類
では、大型犬にはどんな犬種がいるのでしょうか。人気の大型犬をご紹介します。ペット保険のアニコム損害保険株式会社による調査では、
1位:ゴールデンレトリバー
2位:ラブラドールレトリバー
3位:バーニーズマウンテンドッグ。
この他に、シベリアンハスキー、ダルメシアン、ジャーマンシェパード、フラットコーテッドレトリバー
などが人気となっています。
大型犬の平均寿命は?
一昔前までは、大型犬の寿命は7〜8歳と言われていました。しかし、現在では獣医療が格段に発達し、また高品質なドッグフードから手作り食まで犬の食生活についての考え方も大きく変わり、大型犬の寿命は10〜13歳と延びてきています。しかし、小型犬の平均寿命が13〜15歳であることに比べ、大型犬の寿命は短いことが知られています。
小型犬と比較して大型犬の寿命が短いのはなぜ?
2017年に発行されたアメリカのForbs誌に、「なぜ小型犬より大型犬の方が寿命が短いのか」という疑問についてゲノム学の専門家が見解を発表しています。そこに書かれていることがなかなか興味深い内容なのでご紹介します。
大型犬の方が老化のスピードが速い?
哺乳類では、身体の大きな動物が小さい動物よりも長生きする傾向にある中で、犬は身体の大きい個体の方が寿命が短いことがわかっています。これは、犬はネズミや人間と同じように、カラダの大きい個体は成長過程でガンを発症する確率が上がるからとされています。また、74犬種のデータを分析し研究した結果、小型犬・大型犬どちらも老化が始まる時期に変わりはないが、大型犬の方が老化のスピードが速いということも発表されています。
まだ未解明な部分が多い
なぜ大型犬だけ老化のスピードが速くなるのかは、未だに解明されていません。おそらく、大型犬が持つ遺伝子に何らかの原因があるのではないかと想定されていますが、なぜ老化のスピードが早まるのかは研究段階であるそうです。
大型犬が長生きするために飼い主がしてあげられること
やんちゃな子犬期から、精悍な成犬期、そして優しく穏やかなシニア期。あっという間に成長する大型犬は、その年齢ごとにさまざまな魅力溢れる表情を見せてくれます。そんな大型犬に、少しでも長生きしてもらいたいと思うのは、飼い主の切なる願い。ここでは、長生きのために飼い主ができることをご紹介します。
大型犬は急激に成長する
産まれたての大型犬の体重はわずか数キロ。手のひらに乗るほど小さな身体で産まれてきますが、3ヶ月も経つ頃から急激に成長していきます。そして1歳の頃には、ほぼ成犬の標準体重にまで育つのです。わずか1年の間に、10~20倍の体重にまで成長するのが大型犬の特徴です。
成長に合わせて栄養をしっかり摂取することが大切
大型犬は使役犬として育種されてきた犬種が多く、元来のがっしりとした骨格と筋肉質な体型をシニアになってもキープすることが理想です。そのためには、骨や身体の基礎が作られる仔犬期にしっかりと栄養を摂取することが大切です。「大きく育てってほしくない」という理由から、ペットショップなどでは食事量を減らすことがあるようですが、仔犬期にしっかり栄養を摂取していない大型犬は、病気を発症する可能性が高まります。まずは、成長過程に合わせた質の良い食事内容を考え、身体の基礎を作ることが大切です。
運動不足は肥満の元、若い頃から筋肉をつけることが大切
大型犬に限らず、日本の犬たちは肥満傾向にあります。特に、大型犬は、太りやすい体質の犬種が多い上、運動の絶対量が足りないため、肥満の問題を抱えている犬が多くいます。人間だけではなく犬も、肥満は万病の元。太らせたくないからといって、食事の量を減らすのではなくおやつを減らし、運動量を増やすことで、犬本来の体型を目指すことができます。また、若い頃から運動をしてしっかりとした筋肉をつけておくことが長寿の秘訣だと言われています。また、高齢になっても筋肉が落ちないように、散歩だけは欠かさずに行ってあげることも大切です。
シニアになったら、消化に負担の少ない食事を
大型犬も年齢を重ねるごとに消化能力が衰えてきます。今までと同じように1日2回の食事ではなく、1日量を3回に分けるなど、消化に負担がかからない食事を考えてあげることが大切です。また、消化に時間がかかるドッグフードから消化の良い手作り食へ変更することもおすすめです。同時に、シニアになるとイン水量が減ることがあるので、水分も十分に摂取して隠れ脱水を防ぐことも大切です。
ストレスフリーな毎日を
犬もシニアになると、今までできていなかったことができなくなったり、耳が遠くなり飼い主の声が聞こえなくなったりと、さまざまな不安を抱えることになります。不安は犬にとって大きなストレスとなり、気持ちが落ち込んでしまうことも。そうなると、ご飯を食べなくなったり、大好きだったお散歩にも行きたがらなくなる可能性もあるのです。大型犬が高齢になったら、なるべくストレスがかからないように、飼い主とその家族が気配りをしてあげましょう。
大型犬が長生きするためにしてあげられること
8歳を過ぎると、ある日突然、今までできていたことができなくなる大型犬。言葉を話せない犬は、自分の不調を飼い主に伝えることはできません。顔に白いものが増え、歩き方もゆっくりになり、呼んでも反応が遅い。大型犬と暮らしていると、そんな日が突然訪れます。プライドの高い犬は、自分のカラダが思うように動かないことにショックを受けることもあります。10歳を過ぎた大型犬の1日は人間の1週間。あっという間に、犬たちの時間は過ぎていきます。少しでもおかしいなと感じたら、動物病院へ連れて行く、日々の変化に気をくばる、そんな飼い主の心配りが大型犬の長寿につながります。飼い主として最善の気配りをしてあげることが、1日でも長く一緒に暮らせる秘訣です。
この記事のライター
komugi
都内で愛犬のビーグルと暮らしています。コロナ期間中に肥満体型になってしまった愛犬のために食事や運動について勉強をはじめました。面白い発見や愛犬家の皆様に役立つ情報があればどんどん発信していきます!
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