犬と人の長い歴史や関係性に迫る。犬はなぜ野生からペットに?犬の歴史が分かるオススメ本などもご紹介
人と生活を共にする動物と言えば、まず犬や猫を想像する人が多いのではないでしょうか。犬は、今やペットとしてだけでなく警察犬や盲導犬といった使役犬として人間社会の中で欠かすことのできない存在となってきています。しかしながら、元々犬は野生で暮らしていた生き物です。野生動物であった犬がどのような経緯で人間と生活を共にするようになったのでしょうか。ここでは、意外と知られていない犬と人の歴史・関係性について解説します。
日本における犬の歴史
佐賀県内で約7千年前の遺跡から出土した犬の骨を解析した結果、柴犬や秋田犬と同じタイプの遺伝子をもつことが判明しています。 そのため、日本在来の「日本犬」の祖先は縄文時代早期には存在していたと考えられます。
家畜からペットに
犬は元来猟犬や番犬などの役割をもつ「家畜」として飼育されていましたが、奈良時代や平安時代になるとペットとして扱われるようになりました。 その頃はまだ、人が馬を操り弓矢で犬を射止める「犬追物」や犬同士を闘わせて楽しむ「闘犬」としても扱われていたとの記録が残っています。
生類憐みの令
江戸時代になると第五代将軍徳川綱吉により生類の殺生を禁止する「生類憐みの令」が制定されます。 徳川綱吉は「犬公方」とあだ名が付けられるほど犬好きで、狆を100匹も飼育していたとされています。
また、江戸市中の犬を保護するために巨大な犬屋敷を造りました。現在その痕跡はありませんが、中野区役所前に当時の様子を伝える犬の石像が残されています。
犬の歴史|犬と人間の関係性
私たちが普段接している「犬」は、生物学的には「イエイヌ」と呼ばれます。DNAの解析により、犬の祖先はオオカミであることが明らかになっており、学名では「Canis lupus familiaris」で、Canisはイヌ、lupusはオオカミ、familiarisは家庭の、という意味を持ちます。
オオカミから家畜化された犬
DNAの分析から、犬は約2万年前から1万5千年前に東アジアでオオカミから家畜化されたと考えられています。ドイツの遺跡では1万4千年前の人間の墓からイヌ科動物の小さな下顎骨が発見されています。
ロシア中央平原では2匹の大型の古代犬と思われる骨格が発見されており、人間に飼育されていたオオカミの可能性が示唆されています。この頃の犬は人間社会で狩猟の補助や住居の護衛の役割があったと考えられます。
オオカミが人間と関わりをもつようになったきっかけ
オオカミが家畜化されるまでの経緯についてハッキリとしたことは判っていませんが、オオカミが人間の住居に近づき食料などのゴミを漁るようになり、近づいてきたオオカミから人間が攻撃性の低い個体を選び家畜化した結果、犬が誕生したと考えられています。
犬の歴史がよく分かる本
犬の歴史がよく分かる本をご紹介します。
犬の日本史ー人間とともに歩んだ一万年の物語
縄文犬の登場や平安京の犬、中世の犬追物のブーム、狂犬病など、1万年に及ぶ様々なエピソードを綴った交流史です。
犬の科学ーほんとうの性格・行動・歴史を知る
犬の進化について科学的な議論を展開した方です。生物学や遺伝学、心理学などの研究をまとめ、やさしく記述しています。
日本犬の誕生
日本犬の保護、飼育を目的として発足した日本犬保存会。7つの犬種を天然記念物に指定することで純血種の保存をはかりますが、そこには近代化や動物保護、戦争など、排除と選択のなかで創り出された「日本犬」の姿がありました。日本犬の歴史がよく分かる本です。
純血種という病−商品化される犬とペット産業の暗い歴史
ケネルクラブやブリーダー、ドッグショーなどによる犬のブランド化の裏で、多くの「純血種」の犬が遺伝性の病気に苦しんでいます。人間の欲と犬の受難を描いた純血種の犬の社会史です。
犬の歴史を知ることで、より良い関係を築きましょう
犬の歴史を知ることによって、より深く犬のことを知ることが可能になります。しつけや健康管理などの観点からも知識が役立つことがあるかもしれません。 大切なパートナーである犬の歴史を学び、今まで以上に関係を深めることに役立ててみてくださいね。
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この記事のライター
komugi
都内で愛犬のビーグルと暮らしています。コロナ期間中に肥満体型になってしまった愛犬のために食事や運動について勉強をはじめました。面白い発見や愛犬家の皆様に役立つ情報があればどんどん発信していきます!
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