犬をお風呂に入れる頻度や方法は?理由や注意点についても解説
愛犬の健康維持や皮膚のトラブルを防ぐため、シャンプーをしたりお風呂に入れたりすることは大切です。
しかし、飼い主さんのなかには愛犬をうまくお風呂に入れられなくて困っている方も多いのではないでしょうか。
今回は犬のお風呂に関して適切な頻度や手順、注意点を紹介します。
犬を飼い始めたばかりの方や愛犬をお風呂に入れたことがない方は、ぜひご覧ください。
犬をお風呂に入れる理由
最初に、犬をお風呂に入れる理由について解説します。
- 悪臭や皮膚トラブル予防のため
- 花粉を持ち込む可能性があるため
上記の2つについて順番に見ていきましょう。
悪臭や皮膚トラブル予防のため
愛犬をお風呂に入れる最大の理由は、悪臭や皮膚トラブルの予防です。
犬は汗をかかない動物だと思われる飼い主さんもいますが、そんなことはありません。
犬には「エクリン腺」「アポクリン腺」とよばれる2つの汗腺があります。
さらっとした汗を出すエクリン腺は、犬の肉球や鼻先など限られた部位にしか存在しないため、汗をかかないイメージをもつ方もいるのでしょう。
しかしもう一つの汗腺であるアポクリン腺は、犬の全身に存在します。
アポクリン腺は人間でいうと脇の下に存在し、じっとりとした汗を出す汗腺です。
犬がお風呂に入らないと全身のアポクリン腺から出る汗と皮脂が酸化し、犬独特の悪臭を発します。
またお風呂に入らないと、皮膚の汚れや皮脂の蓄積により、皮膚の乾燥や炎症などの皮膚トラブルを起こす恐れもあります。
悪臭や皮膚トラブル予防のために、愛犬を適切な頻度でお風呂に入れてあげましょう。
花粉を持ち込む可能性を減らすため
犬をお風呂に入れる1つ目の理由は、家の中に持ち込む花粉を減らすためです。
2017年の日本獣医学会学術集会において、花粉は散歩後の犬の毛につき、室内に持ち込まれる可能性があるとの発表がされました。
この発表はライオン商事と麻布大学獣医学部、NPO法人東京アレルギー・呼吸器疾患研究所の共同研究が行った実態調査によるものです。
さらにその後、2018年に行われた日本獣医内科学アカデミー学術大会において、外出後の犬をお風呂に入れたり、拭き取りシートなどを利用して体を拭いたりすることで、家に持ち込む花粉を取り除けると発表されました。
花粉は人間だけでなく、犬にとってもアレルギー症状を引き起こす原因のひとつとなります。
散歩後はお風呂やブラッシングなどでできるだけ毛についた花粉を落としてから、家の中へ入りましょう。
犬をお風呂に入れる適切な頻度
犬をお風呂に入れる適切な頻度は、犬の成長過程によって多少変わります。
ここでは子犬、成犬、シニア犬それぞれのお風呂に入れる適切な頻度を見ていきましょう。
子犬は予防接種が終わるまではNG
子犬は予防接種が完了するまではお風呂を避け、汚れたら軽く拭いてあげる程度に留めましょう。
予防接種が完了していない子犬は免疫がしっかりとついていないため、シャンプーによって体調を崩してしまう恐れがあるためです。
子犬は初年度に2〜3回の予防接種を受けます。
最後の予防接種を受けてから2週間を過ぎ、免疫がしっかりとついてからお風呂を開始するとよいでしょう。
予防接種が終われば、成犬と同じく月に2回程度の頻度でお風呂に入れても大丈夫です。
しかし、子犬は成犬と比べてお風呂によるストレスを感じやすいため、お風呂やシャンプー中に体調の変化が見られたら、すぐに中止するようにしましょう。
成犬は月2回
成犬の場合、お風呂は月2回を目安に入れてあげましょう。
犬は人間のように毎日お風呂に入る必要はありません。
お風呂の頻度が高いと皮脂を落としすぎてしまい、乾燥や皮膚トラブルの原因となるためです。
また犬にとって、お風呂に入ることは少なからずストレスとなります。
運動が大好きで散歩の度に汚れてしまう犬に対しては、ドライシャンプーを使ったり、お湯で濡らしたタオルで拭き取ったりして汚れを落としましょう。
シャンプー以外で体をきれいにする方法については後述していますので、ぜひ読んでみてくださいね。
シニア犬は体調がよいとき
シニア犬のお風呂の頻度も目安は月2回程度ですが、大事なのは体調がよいときにお風呂に入れてあげることです。
シニア犬は成犬時よりもストレスに弱いだけでなく、少しの刺激で体調を崩してしまう危険があります。
食欲や元気はあるか、下痢や嘔吐はしていないかなど、健康管理をしっかりおこなったうえで、お風呂に入れてあげてください。
シャンプー後に体調の変化がないかどうかも、しっかり観察するようにしましょう。
犬をお風呂に入れる適切な方法・手順
犬のお風呂は以下の手順で行います。
- 全身をブラッシングする
- しっかりと濡らす
- シャンプーで洗う
- すすぐ
- リンスを馴染ませる
- お湯に数分浸からせる
- 水気を切る
- ドライヤーで乾かす
①全身をブラッシングする
お風呂に入れる前に、全身のブラッシングを丁寧に行いましょう。
ブラッシングをすることで、お風呂に入れる前にある程度汚れや埃を落とせるためです。
またブラッシングで余分な毛を落としておくと、シャンプー後の浴槽掃除も楽になります。
スリッカーやコームなどでブラッシングしながら、傷がないか皮膚の状態を確認し、毛玉がある場合はほぐしたりハサミで切ったりしておきましょう。
毛玉は毛が擦れやすい耳の後ろや胸の下、お腹、脇、足の付け根にできやすいので、しっかりと確認してください。
②地肌までしっかりと濡らす
全身をブラッシングして浴槽に連れて行ったら、まずはシャワーを出して地肌までしっかりと濡らしていきます。
いきなり頭からシャワーをかけると犬が驚いてしまうので、お尻から後ろ足、背中、お腹、胸、前足、頭と順番に濡らしてください。
地肌をしっかり濡らすことで汚れも落とせるので、念入りに行いましょう。
③シャンプーで洗う
地肌をしっかりと濡らした後は、よく泡立てたシャンプーで洗います。
このときもシャワーと同じくお尻から頭までの順番を意識し、指の腹を使って強く擦らないように洗いましょう。
愛犬がシャンプーを舐めてしまわないよう、注意しながらおこなってください。
④シャンプーをすすぐ
洗い終わったらシャワーでシャンプーをすすいでいきます。
すすぐ順番は洗うときと逆で、頭から胸、背中、お腹、足先、お尻です。
鼻に水が入ってしまうと苦しいので、片手で顎を支え、頭を高く保ってあげましょう。
シャワーヘッドを犬の毛に近づけてすすぐと大きな音がせず犬も怖がらないので、ぜひ試してみてください。
⑤リンスを全身になじませる
シャンプーが終わったら必要に応じて、リンスを全身になじませていきます。
リンスを付けることで期待できる効果は、毛のツヤ出しと毛玉の予防です。
特に首から下と耳の後ろを中心とした全身に、リンスを塗布しましょう。
指先で毛をとかしたら、内部に成分を浸透させるため5分程度時間をおき、シャワーでしっかりと流してください。
⑥お湯に数分つからせる
シャンプーとリンスが終わったら、お湯に数分つからせましょう。
この後の注意点でも紹介しますが、お湯の温度は冷たすぎず熱すぎない36〜37度程度が目安です。
愛犬が嫌がらなければ、顔や背中を指でマッサージしてあげるとリラックスしてくれますよ。
飼い主さんとのコミュニケーションにもなるためおすすめです。
⑦水気を切る
お湯から出した後はタオルで水分を拭き取ります。
力を入れず、擦らないように拭いてあげましょう。
タオルを使って8割程度乾かしておくと、この後のドライヤーを使う時間が短くなるため愛犬の負担を減らせます。
吸水タオルやマイクロファイバーのタオルを使うと手早く乾かせますので、ぜひ使ってみてください。
体だけでなく、顔や足先など細かい部分も丁寧に拭き、水気を切ってあげてくださいね。
⑧ドライヤーで乾かす
最後にドライヤーで乾かし、仕上げをしていきましょう。
片手でドライヤーをあて、もう一方の手でスリッカーをかけながら行うと手早く乾かせます。
犬が嫌がって動いてしまう場合は2人がかりで行ったり、支えの要らないスタンドドライヤーを試したりしてみるのもおすすめです。
ドライヤーによる音や風からのストレスで体調を崩してしまう犬もいるため、呼吸や口の中の色の状態など、体調の変化を観察しながら手早く行いましょう。
犬をお風呂に入れる際の注意点
お風呂に入れる手順について紹介しましたが、以下の点に注意しましょう。
- 人間と同じシャンプーは使わない
- シャワー、湯船の温度管理をしっかり行う
- すすぎは念入りに行う
- 食事の前後はお風呂を避ける
順番に詳しく紹介します。
人間と同じシャンプーは使わない
人間には人間用のシャンプーがあるように、犬には犬用のシャンプーがあります。
犬の皮膚は私たち人間の皮膚と比べて薄いため、人間と同じシャンプーを使うと刺激で皮膚トラブルを起こす可能性があります。
もしお風呂に入ってから犬用シャンプーがないことに気づいても、人間用のシャンプーを使うのはやめましょう。
お湯で洗うだけでも汚れを落とす効果はあるので、ぜひ試してみてくださいね。
シャワー、湯船の温度管理をしっかり行う
シャワーと湯船の温度管理はしっかりと行いましょう。
熱いお湯を使ってしまうと、愛犬がのぼせてしまう可能性があります。
前述しましたが、犬は熱を発散するためのエクリン腺と呼ばれる汗腺が肉球と鼻先にしか存在しません。
体温が上がってしまっても上手に発散することができないため、適切な温度管理が必要です。
シャワーの温度が低すぎると、かえって体温を奪ってしまうので、36〜37度程度を目安に保ちましょう。
温度が目安通りでも犬の体調によっては適さない場合があります。
お風呂に入れながら愛犬の呼吸状態や歯茎、舌の色を確認するようにしてください。
すすぎは念入りに行う
すすぎはシャンプーによるぬめりがしっかりと取れるまで、念入りに行いましょう。
十分にすすがなければ毛や皮膚にシャンプーが残り、皮膚トラブルに発展する恐れがあります。
シャンプーやリンスの後にお湯に浸かるからといって適当に済ませず、顔のしわ、指の間、内股や脇の下も飼い主さんの手でシャンプーが残っていないか確認してください。
食事の前後にお風呂は避ける
食事の前後にお風呂に入ることは避けましょう。
空腹時は脳の中枢神経がエネルギー不足で血糖値が低く、お風呂に入ると意識が朦朧としてしまう危険があります。
また、食後すぐにお風呂に入ると、消化不良を起こす場合があります。
これはお風呂で体温が上がることで胃に血流が集まってしまい、食べものを消化しづらい状態となるためです。
お風呂を嫌がる犬は、食後すぐのお風呂で暴れてしまいお腹を打って嘔吐する危険もあるため、食後であれば2時間程度空けてからお風呂に入りましょう。
シャンプーを使わずにきれいにする方法
お風呂は少なからず犬に負担をかけるものなので、成犬であっても体調次第で適切な頻度でシャンプーが行えない場合があります。
期間が空いてしまう場合には、シャンプーを使わずに犬の体をきれいにできる以下の方法をとり入れてみてください。
- ブラッシング
- お湯だけで洗う
- 濡れタオルで拭く
- ドライシャンプー
順番に見ていきましょう。
ブラッシングする
シャンプー以外で体をきれいにする方法として、ブラッシングがあります。
ブラッシングは余分な毛や汚れ、花粉も落とせるため、ぜひ毎日おこなっていただきたい方法です。
愛犬の毛の長さによりスリッカーブラシやラバーブラシ、コームなどを使い分け、皮膚を傷つけないよう注意しながら、全身にブラシをあてましょう。
このとき目や耳、皮膚に異常がないか観察すると健康管理にも役立ちます。
愛犬と触れ合うことでコミュニケーションにもなるため、おすすめの方法です。
お湯だけで洗う
シャンプーを使わずにお湯だけで洗っても、愛犬の体をきれいにできます。
ひどく汚れてしまったけれどシャンプーをする時間はないといった場合に向いています。
お湯だけで洗う場合もシャンプーと手順は変わらず、地肌までしっかりと濡らして指の腹で汚れを落とすことがポイントです。
最後はタオルで水気を取り、ドライヤーでしっかりと乾かすことを忘れないでください。
濡れタオルでふく
散歩帰りで少し汚れてしまった場合は、濡れタオルで拭く方法があります。
ぬるま湯でタオルを濡らして軽く絞り、汚れを拭いてあげましょう。
拭いた部分は濡れてしまうため、乾いたタオルやドライヤーなどを使い、乾かしてあげてくださいね。
ドライシャンプーを使う
シャンプー以外で愛犬の体をきれいにするには、ドライシャンプーもおすすめです。
ドライシャンプーは洗い流さなくていいタイプのシャンプーで、シートやパウダー、泡、スプレーなどさまざまなタイプがあります。
シートやパウダータイプは気軽に利用でき、泡やスプレータイプは洗浄力が強いという特徴があります。
愛犬や飼い主さんに合ったものを使うとよいでしょう。
ドライシャンプーはシャンプー嫌いの犬や子犬、シニア犬にも使用できて便利なうえ、部分洗いにも適しています。
洗浄力は水で流す通常タイプのシャンプーには及ばないものの、濡れタオルだけでは汚れやにおいが残ってしまう場合におすすめです。
まとめ
今回は犬のお風呂の頻度や手順、注意点を紹介しました。
お風呂は犬の皮膚トラブルを防止し、花粉や汚れを持ち込ませないために必要です。
なるべく愛犬のストレスにならないよう、今回紹介した注意点を守りながら、適切な頻度でお風呂に入れてあげてください。
ただし愛犬の年齢を考えた場合や体調がよくない場合は、無理する必要はありません。
シャンプー以外の方法を試しながら、愛犬と飼い主さん双方の負担にならない方法で、愛犬の体をきれいにしていきましょう。
この記事のライター
nana
泳ぎも走りも得意な運動神経抜群のゴールデンレトリバーと暮らしています!今は愛犬とタンデムサーフィンの練習中。いつまでもアクティブに楽しく過ごせるような情報を発信していきます。
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