短頭種の犬種をご存知ですか?短頭種をお迎えする場合の注意点や歴史について
鼻ぺちゃ犬、ブヒ犬、ブサカワ犬などの愛称で親しまれている犬種が短頭種です。パグやフレンチ・ブルドッグに代表されるように、瞳が大きく、つぶれたような顔立ちの犬種を指します。
愛嬌のある顔立ちから人気犬種となっていますが、短頭種ならではの病気や問題点も抱えています。今回は、人気の短頭種の犬種の特徴、家庭に迎え入れる場合の注意点、歴史についてご紹介します。
目次
短頭種だけじゃない、長頭種?中頭種?
オオカミを祖先に持つと言われている犬は、その顔つきもオオカミと同じようにマズル(鼻の長さ)の長い顔立ちをしている犬種が大半を占めています。
犬のマズルの長さは3種類あり、頭蓋骨とマズルの長さのバランスによって分けられています。
パグやフレンチ・ブルドッグと並んで人気の犬種であるミニチュア・ダックスフンドやシベリアン・ハスキーは、マズルの長さが頭蓋骨の幅より長い長頭種。
コッカースパニエルやレトリバーは、頭蓋骨の幅とマズルの長さが同じであることから中頭種。
鼻ぺちゃと呼ばれているパグやフレンチ・ブルドッグは、頭蓋骨の幅に比べマズルが短い短頭種に分類されています。
短頭種にはどんな犬種がいる?
短頭種は、マズルが短いことをあらわす短吻種と呼ばれることもあります。実は、人気のパグやフレンチ・ブルドッグと同じ短頭種に分類されている中には、チワワやポメラニアンもいるのです。
ここでは、短頭種16犬種を一挙にご紹介します。
短頭種として古い歴史を持つ犬種
古代より愛玩犬として宮廷や王室で飼育されていた小型犬には、短頭種が多くいます。かつては人気犬種でしたが、現在では飼育頭数が少なく希少犬種となってる犬種もあります。
キング・チャールズ・スパニエル
イギリス原産でキャバリアの基礎犬となった犬種です。
チベタン・スパニエル
チベット原産で、紀元前から存在する古代犬種。現在の短頭種の基礎犬とも言われています。
ブリュッセル・グリフォン
ベルギー原産の害獣駆除の猟犬ですが、ベルギー王妃の愛犬として可愛がられていました。
狆
日本原産の古代犬の一種で、抱き犬として徳川綱吉にも愛されたことで知られています。
こんな人気犬種も実は短頭種
人気ランキングで常に上位にランクインしている犬種は短頭種が多いことがわかります。
ヨークシャーテリア
ヨーキーの愛称で親しまれているイギリス原産の犬種で、小型犬ながら勇敢な性質を持っています。
チワワ
超小型で不動の人気を誇るメキシコ原産のチワワも短頭種です。
ポメラニアン
ドイツ原産でサモエドを祖先犬に持つと言われ、活発で明るい性格が人気です。
マルチーズ
マルタ島原産で世界最古の愛玩犬として知られています。
鼻ぺちゃで人気の犬種
ブヒやブサカワとして人気の短頭種は5犬種です。
パグ
中国原産でしわくちゃの顔が愛らしいことから人気があります。
フレンチ・ブルドッグ
フランス原産で大きな耳が特徴。
ペキニーズ
古くから宮廷、王族に愛された中国原産の犬種です。
ボストン・テリア
ボステリの愛称で親しまれているアメリカ原産の犬種です。
シーズー
ラサ・アプソとペキニースを交配して誕生した犬種で、チベットが原産です。
意外と知られていない小型犬以外の短頭種
短頭種と聞くと小型犬というイメージが強いですが、大型犬にも短頭種として登録されている犬種があります。
ボクサー
ドイツ原産の猟犬で、マスティフの血統の犬種やブルドッグ系の犬種が祖先犬となっていると言われています。
チャウチャウ
中国原産の古代犬の一種で、唯一青い舌を持つ犬種として知られています。
ブルドッグ
イギリス原産で、牛と戦うために育種された犬種で、鼻ぺちゃとして人気の小型犬の基礎犬と言われています。
短頭種と人との間には長い歴史が
短頭種は、犬種によって様々な生い立ちの歴史を持っています。例えば、小型犬の短頭種は、愛玩犬として宮廷や王室で寵愛を受けていた歴史があります。
ナポレオン皇帝の妻ジョセフィーヌの危機を何度も救ったパグ、イギリスのビクトリア女王に愛され当時のヨーロッパに鼻ぺちゃ犬ブームを起こしたペキニーズなどが知られています。
様々な犬種の短頭種。その共通点とは?
短頭種と分類されている犬種は、顔やカラダの大きさは違っても身体的に多くの共通点を持っています。
クリクリした瞳の秘密は飛び出している目
短頭種が人気となっている理由の一つが大きな目です。
カラダや顔のバランスからすると、とても大きく見える目ですが、短頭種の犬たちは鼻が顔にめり込んだようになっているため、目と鼻の間にシワが多く目が大きく見えるのです。
また、鼻と目が同じ高さの位置にあることも、目が大きく見える要因となっています。
鼻ぺちゃはマズルが短い
鼻ぺちゃであることの特徴は、極端に短いマズルです。近年では、鼻ぺちゃであるほど人気が高まる傾向もあります。
シワシワの顔にも理由がある
なんともファニーなシワシワの顔が特徴の短頭種。マズルが短いことによって、皮膚がたるんでしまいシワやヒダとなってあらわれています。
また、古代に戦う犬として誕生した犬種もあり、噛まれた時のダメージが少ないようにシワの多い個体がブリーダーに好まれたという記録も残っています。
短頭種を家庭に迎え入れる場合の注意点
短頭種は、さまざまな身体的特徴を持っています。その可愛さに惹かれて迎える方も多い犬種ではありますが、かかりやすい病気に対する知識をきちんと持ち、日頃のケアをしてあげることが大切です。
歯並びが悪いことが多い
マズルが短い短頭種は、一般的な犬種に比べ上下の歯の噛み合わせが悪い子が多いとされています。そのため、歯垢や歯石が付きやすく歯周病を発症する可能性が高まります。
仔犬の頃から、毎日の歯磨きを習慣付けておきましょう。
飛行機に乗れない可能性がある
最近では、愛犬と一緒に飛行機で旅行できるプランも多くなってきました。しかし、短頭種の場合は、気圧の変化や気温の変化、特に暑さに弱いことから飛行機に乗ることができない場合があります。
ANAでは短頭種に限って一定期間、JALでは限定犬種に限って通年、飛行機の搭乗ができないと発表されています。
いびきをかきやすい
短頭種はマズルの形状から、いびきをかきやすい犬種です。多少のいびきであれば、犬種特有のものと考えられますが、あまりに大きないびきをかく場合は、何らかの障害が起こっている可能性があるので、動物病院に連れていく必要があります。
いびき対策として、犬用の枕やドッグベッドを使用することがおすすめです。
熱中症になりやすい
マズルが短い短頭種は、鼻呼吸が苦手です。そのため、パンティングによって体温を下げにくく、熱中症にかかりやすいことで知られています。
夏の気温や湿度にも注意が必要ですが、冬の暖房による熱中症にも気をつけることが大切です。
短頭種ならではの病気に注意
鼻ぺちゃが特徴の短頭種には、短いマズルならではの病気が多くあります。短頭種に属している多くの犬種が、呼吸器に問題を抱え、病気を発症する可能性を秘めています。
代表的な病気として、鼻腔狭窄、軟口蓋過長症、気管低形成、気管虚脱などがあり、このような呼吸器の病気を総称して短頭種気道症候群、または短頭種症候群と呼ばれています。
短頭種と暮らす場合には、こまめに呼吸が苦しそうではないかをチェックすることが必要です。
短頭種と暮らすには、それなりの知識が必要
ブヒ、ブサカワ、鼻ぺちゃなどの愛称が付けられ人気の短頭種ですが、病気が多いことも事実です。
特に、シニアになると命に関わる病気を発症することもあるので、呼吸器の病気に関しての知識を蓄えておくことも大切です。
呼吸器の病気は、専門医の診察が必要となる場合が多いため、短頭種と暮らす前に、専門医のいる動物病院を探しておくこともおすすめします。
この記事のライター
nao
「愛犬の気持ちを理解したい」「寄り添ったコミュニケーションを取りたい」という思いからドッグライターとして犬に関する知識を学び、発信しています。愛犬の笑顔を守るために、そして同じ思いを抱く飼い主さんのために、有益な情報を発信していけたらと思っています。