ボルドー・マスティフはフランスで最も古い犬?歴史や性格などの基本情報をご紹介
フランスで最も古い犬種とされているボルドー・マスティフ。日本ではあまり馴染みのない犬種ですが、トム・ハンクス主演のコメディ映画「ターナー&フーチ/素敵な相棒」にトム・ハンクス扮する私服警察官の相棒フーチ役として好演した犬がボルドー・マスティフです。今回は、ユニークな表情が魅力的なボルドー・マスティフの歴史や特徴、性格、飼い方のコツまでを解説します。
ボルドー・マスティフのルーツ
入手困難な犬種とも言われているボルドー・マスティフは、どのようにして誕生したのでしょうか?まずは、ボルドー・マスティフの数奇な歴史を見てみましょう。
犬種の起源はヤマイヌ?
フランスの犬種の中で最も古い犬と言われているボルドー・マスティフですが、その起源ははっきりとしません。フランスでは「ドーグ・ド・ボルドー」または「フレンチ・マスティフ」と呼ばれ、現代ではマスティフの仲間として人気のある犬種ですが、誕生したとされる14世紀頃に遡るとその生い立ちは謎に包まれているのです。
一説には、ローマ人と共にフランスにやってきたヤマイヌが祖先犬なのではないかと言われています。また、紀元前1世紀にユリウス・カエサルが連れてきたローマン・モロサスという古代の軍用犬が祖先犬であるという説もあります。どちらも、定かではない説ですが、軍用犬、闘犬としてさらに力強く、頑強な犬の作出を考えたフランス人によって、ナポリタンマスティフ、チベタンマスティフなどマスティフタイプの犬との交配によって誕生したとされています。
絶滅の危機にあったボルドー・マスティフ
ボルドー・マスティフは、貴族の番犬や闘犬、軍用犬としてフランス南西部のアキテーヌ地方で飼育されていました。アキテーヌ地方の首都がボルドーであることからボルドー・マスティフと名付けられたと言われています。その当時、ボルドー地方で大型動物を相手にする闘犬が人気であったこともこの名がついた由来と言われています。19世紀に入り、フランス革命が起こると、多くの貴族とともにボルドー・マスティフは殺害され、絶滅の危機に瀕したのです。さらに、第一次世界大戦、第二次世界大戦によってもその危機は訪れたのです。
この危機を救ったのが、わずかに肉屋の番犬として残されていたボルドー・マスティフでした。そして、熱心なブリーダーによって品種の再確立と保存が行われ、新たに家庭犬としてのボルドー・マスティフが復活したのです。
日本ではほとんど見かけることのない希少犬種
ボルドー・マスティフは、フランスで最も古い犬種でありながら、1863年に開催されたパリのドッグショーで初めてボルドー以外の地域の人たちに知られることになり、1896年に品種の規格が定められたとされています。1989年に前述の映画が公開され、世界中に認知されたボルドー・マスティフですが、AKCに登録されたのは、そのずっと後となる2008年で、ワーキンググループに所属する犬種として登録されています。
ボルドー・マスティフの性格としつけのポイント
なんとなく情けなく頼りなさそうな表情に見えるボルドー・マスティフですが、闘犬であった歴史を持つことから警戒心が強く、また頑固で攻撃的な一面を持っています。その反面、小さな子供には優しく接することができ、愛情深く、献身的な面を持ち合わせている犬種です。激しさと温和さの相反する性格を持つボルドー・マスティフは、飼育が難しい犬種でもあるのです。
しつけ
ボルドー・マスティフは、飼い主との信頼関係を最も大切にする犬種です。警戒心が強く攻撃性もあるため、子犬期からの社会化はもちろんのこと、信頼関係を強固にするためにも服従訓練をしっかりとする必要があります。しつけのポイントは、ルールに一貫性を持たせ、家族全員が同じ指示を出すこと。また、頑固であることもボルドー・マスティフの特徴であることから、我慢強く繰り返し教える必要があります。
ボルドー・マスティフの平均寿命と適正体重
しわしわの顔と短い鼻、がっしりとした筋肉質のボディが特徴のボルドー・マスティフは大型犬に分類される犬種です。 特に運動量が多い犬種ではありませんが、適度な運動で体重管理をすることが大切です。
平均寿命
ボルドー・マスティフは、多くの遺伝疾患や病気を発症する恐れがある犬種です。平均寿命は8〜10年で、他の大型犬に比べ短命な場合がありますが、健康状態に常に気を配り定期的に健康診断を受けることで、疾患の早期発見につながり、平均寿命より長寿となることが期待できます。
適正体重
筋肉質でがっしりとした長方形の体型が特徴のボルドー・マスティフは、オスの体重が50kg以上、メスは45kg以上で体高はオスが60~68cm、メスは58~66cmでどちらも1cmまでのアンダーサイズと2cmまでのオーバーサイズが認められています。
運動量
股関節・肘関節などの疾患を発症しやすいボルドー・マスティフは、成長期にしっかりと筋肉をつける必要があります。骨格や筋肉の成長過程である1歳を過ぎるまでは、激しい運動や階段の上り下り、高いところからの飛び降りなどをさせないように気をつけましょう。
運動量が特に多い犬種ではありませんが、運動不足は大きなストレスとなります。歩き回ることが大好きな性質なので、毎日2回1時間程度の散歩をしてください。また、大型犬の中でも機敏な犬種でもあるため、水泳など足腰に負担をかけない運動もおすすめです。
ボルドー・マスティフの被毛タイプ
ボルドー・マスティフの被毛の特徴は、短く細く、手触りが柔らかいオーバーコートと密集したアンダーコートの2層からなるダブルコート。被毛カラーは、フォーン、マホガニー、イザベラ、レッドの単色で色素が濃いほど望ましいとされています。また、ブラックマスク、脚先と胸のホワイトマーキングが認められています。
お手入れ方法
ダブルコートのボルドー・マスティフの被毛は、年間を通して抜け毛が出るため、定期的にゴム製ブラシでのブラッシングが必要です。ボルドー・マスティフの場合、被毛のケア以上に必要となるのが全身に深く刻まれているしわのケアです。湿気やほこり、汚れなどがたまりやすいしわは、ケアをしないと感染症や体臭のもととなります。顔のしわは毎日濡れタオルで拭き、清潔にしておきましょう。また、2週間に1回程度シャンプーをして常に皮膚の状態を清潔にしておくことも大切です。
ボルドー・マスティフはしつけが難しい犬種
闘犬であった過去を持つボルドー・マスティフですが、熱心なブリーダーによって品種改良され、当時に比べると穏やかな性格となりコンパニオンドッグとしても海外では人気です。
残念ながら、日本での登録頭数は2018年にわずかに8頭です。家族を守ろうとする気持ちが非常に強いため、しつけがされていないと警戒心が攻撃に転じてしまう可能性もあり、子犬期からのしっかりとしたしつけは必須です。飼育が難しい犬種ですが、しっかりとしたしつけをすることで最良のパートナーにもなれる犬種なので、ボルドー・マスティフの性質を十分に理解した上で迎えてください。
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この記事のライター
komugi
都内で愛犬のビーグルと暮らしています。コロナ期間中に肥満体型になってしまった愛犬のために食事や運動について勉強をはじめました。面白い発見や愛犬家の皆様に役立つ情報があればどんどん発信していきます!
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