アメリカンアキタは秋田犬とは違う?似ているようで異なるアメリカンアキタの基本情報について
秋田犬は海外でも人気のある日本犬ですが、名前がよく似たアメリカンアキタという犬種をご存じですか?名前に「アキタ」と入っているので、「秋田犬と関係があるのかな?」となんとなく予想できますよね。今回は秋田犬に似ているようでちょっと違うアメリカンアキタについて、歴史や性格、特徴などの基本情報をご紹介します。
秋田犬とアメリカンアキタの基本情報について
名前に”アキタ”と入っているアメリカンアキタですが、秋田犬とはどのような違いがあるのでしょうか?まずはじめに両犬種の基本情報を見ていきましょう。
■秋田犬の基本情報
原産国 | 日本 |
---|---|
サイズ | 大型犬 |
体高 | オス:67㎝、メス:61㎝(上下±3㎝まで許容) |
毛色 | 赤・虎・白・胡麻 ※白以外は裏白でなければならない |
グループ | 5G:原始的な犬・スピッツ |
用途 | 家庭犬 |
■アメリカンアキタの基本情報
原産国 | 日本 |
---|---|
サイズ | 大型犬 |
体高 | オス:66~71㎝、メス:61~66㎝ |
毛色 | レッド・フォーン・ホワイト・ピントー・ブリンドルなどさまざま |
グループ | 5G:原始的な犬・スピッツ |
用途 | コンパニオン・ドッグ |
※ここでの基本情報は、ジャパンケネルクラブや日本犬保存会が提供している情報をもとにしています。
秋田犬とアメリカンアキタの基本情報を見てみると、毛色以外に大きな違いはないことが分かります。どちらも体重については個体差が大きく、参照するサイトによって記載されている数値はバラバラです。
ハチ公クラブというサイトの「秋田犬の体重」のページでは、「体重はさまざまな要因によって大きな差が出るので一概には言えないが、3歳程度のオスは40㎏前後、メスは35㎏前後がおおよその目安」として紹介されています。秋田犬に限らず犬の体重は個体差があるので、必ずしも紹介されている範囲内の数値が適正というわけではありませんが、参考程度に知っておくといいかもしれません。
また、秋田犬とアメリカンアキタを比較すると、アメリカンアキタのほうが大きめの傾向にあると言われているため、アメリカンアキタにおいては秋田犬よりも体重が重くなる可能性も考えられますが、オスメスともに40㎏以上と紹介されることがある一方で、20㎏台後半~60㎏近くと紹介されることもあるため、やはり個体による差は大きそうです。
アメリカンアキタの見た目の特徴としては、秋田犬よりも頭部が広くやや三角形に近い形をしています。マズルは深く、耳は立ち耳で、目は比較的小さめです。
骨太でがっしりとしていますが、バランスの取れた体躯をしており、力強い印象を受けます。尻尾は厚みのある巻き尾です。中にはくるんと巻かれていない子もいます。
アメリカンアキタの歴史
アメリカンアキタのルーツは、秋田犬の祖先と同じ秋田地方で狩猟犬として活躍していた秋田マタギ犬と呼ばれる中型の犬です。主に熊の狩りに従事していました。
江戸時代に入り、日本で闘犬が広く行われるようになると、秋田マタギ犬は闘犬として用いられるようになります。中型犬ほどの大きさしかなかった秋田マタギ犬は大型の土佐犬に勝つことができず、闘犬としてより強く大きくなるよう土佐犬やマスティフ、グレートデーンなどの洋犬との交配が進められ大型化しますが、その一方で日本犬としての特徴は失われていきました。
1908年、闘犬のあまりの白熱ぶりに社会的な弊害を鑑みて秋田県で闘犬禁止令が発令され、1916年には警視庁から「闘犬、闘牛及闘鶏の禁止命令」が公布、日本では一時的に闘犬が禁止となります。すると、闘犬が禁止されたことにより、それまでは盛んに繁殖が行われていた秋田犬の数が激減、絶滅の危機に瀕してしまいます。
このことに危機感をもった人々により保存運動が起こり、大舘町長を中心に秋田犬の新しい基準が模索され、改良・作出が行われます。1919年には史蹟名勝天然紀念物保存法(文化財保護法の前身)が公布・施行され、秋田犬も登録申請を出しますが、本来の秋田犬の姿をほぼ留めておらず、個体差も大きかったことから、秋田犬の指定は見送られてしまいます。
1927年になると大舘町長らによって秋田犬保存会が設立され、長年の賢明な保存活動により1931年についに国の天然記念物として指定されました。
しかし、第二次世界大戦が起こると、食糧難や感染症の流行、さらには軍用の防寒衣料として軍用犬であるジャーマンシェパード以外の犬は捕獲命令が発令されたことにより、軍に犬を供出せねばならなくなり、再び秋田犬の存続が危ぶまれる状況に陥ってしまいます。そこで、愛好家たちは秋田犬を疎開させたり、捕獲を逃れるためにやむを得ずジャーマンシェパードとの交配を行い、ひそかに保存活動を続けていました。
戦後、純粋な秋田犬はわずか数十頭となってしまいますが、残った秋田犬をもとに保存活動が行われ、ようやく絶滅の危機を脱します。
一方で、日本に駐在していたアメリカの兵士がジャーマンシェパードの特徴を持つ『出羽系』秋田犬をアメリカに持ち帰り、現地で独自に繁殖を進めました。この結果誕生したのがアメリカンアキタです。日本では洋犬の特徴を取り除き、本来の秋田犬に戻す努力がなされ、現在では『一ノ関系』の秋田犬が主流となっています。
アメリカンアキタと秋田犬はルーツを共有していますが、異なる特徴を持つ全くの別の犬種として認められて今に至るのです。アメリカンアキタは「グレート・ジャパニーズ・ドッグ」とも言われます。
闘犬については詳しくはこちらの記事をチェック!
アメリカンアキタはどんな性格?
日本の秋田犬はワンオーナードッグと呼ばれることもあるほど飼い主さんに忠実で他人には警戒心の強い性格をしていますが、そんな秋田犬と比べてアメリカンアキタはどのような性格をしているのでしょうか?
警戒心は弱め
アメリカンアキタは秋田犬と比べると警戒心が弱く、フレンドリーな傾向にあるようです。
そのため、他の人や犬とも仲良くできると言われています。ただし、どんな犬種であっても育て方によっては警戒心が強い子に育ってしまうことも珍しくありません。子犬のうちにたくさんの人や犬と触れ合ったり、さまざまな音を聞いたりするなどの経験をさせてあげることが大切です。
忠実
秋田犬と同じくアメリカンアキタも飼い主さんに忠実です。優しく人懐っこいですが、家族を守るために果敢に立ち向かっていく勇敢さも兼ね備えています。縄張り意識も強いので、番犬としても活躍してくれるでしょう。
秋田犬の性格について詳しくはこちら
アメリカンアキタの飼い方
日本では飼っている人が少ないアメリカンアキタの飼い方について、簡単に見ていきましょう。
お散歩
アメリカンアキタは個体差はあるものの、秋田犬よりも大きく育つこともあり、超大型犬に分類されることもある犬種です。もともとのルーツは狩猟犬のため、十分な運動量を確保する必要があります。1日に2回、30分~1時間程度のお散歩に行きましょう。たまにはドッグランで思いっきり走らせてあげるのが理想です。
被毛のお手入れ
被毛はダブルコートなので、密集したアンダーコートを持っており、抜け毛は多くなります。1年に2回やってくる換毛期には、できれば毎日ブラッシングをして死毛を取り除くようにしましょう。死毛が体の上に残っていると蒸れて皮膚トラブルの原因となるため、ブラッシングを習慣にすることをおすすめします。また、月に1回程度のシャンプーは皮膚や被毛を清潔に保ったり、抜け毛対策としても効果的です。ただし、すすぎ残しや水気が残っていると皮膚炎になることがあるので、しっかりとドライヤーで乾かすようにしてください。
しつけ
フレンドリーな性格をしていますが、だからといってしつけが不要というわけではありません。超大型犬サイズになることもあるアメリカンアキタは力が強いので、興奮してコントロールできなくなってしまった場合、トラブルとなってしまう可能性があります。子犬のころからしっかりとしつけ、「待て」や「お座り」などのコマンドで落ち着けるようにしておくことが大切です。
アメリカンアキタはアメリカで人気の犬種!
秋田犬がアメリカで独自に発展したアメリカンアキタは、アメリカでは理想の家庭犬としてとても人気のある犬種ですが、JKCの2023年の犬種別犬籍登録頭数を見てみると12頭となっており、日本ではほとんど見かけることはありません。
2024/11/27現在、ブリーダーサイトに掲載されている子犬はおらず、掲載されてもすぐに家族が決まってしまうことも多いため、一緒に暮らせるチャンスは限られるかもしれませんが、優れた家庭犬としての素質を持ち合わせていると言われるアメリカンアキタは、信頼関係を築くことができたら素晴らしいパートナーになってくれるでしょう。
アメリカンアキタは大型犬であり、運動量の多さやお手入れの大変さはもちろん、飼育に必要なケージやリードなどのアイテム、ドッグフードやトイレシートなどの消耗品が小型犬と比べて高くなります。また、ペット保険の保険料や動物病院での費用も高額な傾向にありますし、大型犬をトリミングしてくれるサロンがなかなか見つからないことも珍しくありません。アメリカンアキタと暮らしたいという場合には、犬種の特性を理解することはもちろん、大型犬ならではの課題にも向き合って、よく検討するようにしてくださいね。
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この記事のライター
choco
シェルティとの生活に憧れる社会人です。みなさんの愛犬との暮らしがより豊かになるような情報を発信できたら、と思っています!
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