【獣医師監修】犬の鼻炎の症状は?原因や治療法もあわせて解説
犬が鼻水を垂らしていたり、くしゃみをしていたら「風邪かな?」と心配になりますよね。人間と同じように、犬もアレルギーなどのさまざまな原因によって、鼻炎を引き起こすことがあります。犬にとってニオイを嗅ぎ分ける鼻はとても重要な器官です。
今回は、犬の鼻炎の原因や治療法、予防法についてご紹介します。
犬の鼻炎の症状
鼻の中の粘膜が炎症を起こした状態を「鼻炎」と言います。
犬の鼻炎の症状
鼻炎の主な症状はくしゃみ、鼻水です。さらさらとした鼻水が出ることもあれば、粘り気の強い鼻水が出たり、鼻詰まりにより、口を開けてパクパクと呼吸することもあります。鼻は鼻涙管(びるいかん)という管で目と繋がっているため、鼻涙管も炎症を起こし涙が増えたり、目ヤニが出ることもあります。
他の犬や人間にうつる?
鼻炎の症状自体がうつることは考えにくいですが、鼻炎の原因がウイルスや細菌などの感染によるものであった場合は、他の犬にうつる可能性があり、うつされた犬が鼻炎を発症することがあります。
鼻炎を引き起こすウイルスや細菌は人間に感染するものとは異なるため、人間にうつることはありません。
犬の鼻炎は何が原因?
ウイルスや細菌、真菌などの感染によるものや、アレルギー、鼻腔内の腫瘍、口腔内疾患の波及によるものなど多岐に渡ります。慢性的で原因のわからないものも多く、その場合は特発性鼻炎と呼ばれます。また、二次的に細菌感染を伴うことが多いとされています。
原因|1.アレルギー
人間と同じように、犬にもアレルギー体質の子が存在します。アレルギーの症状としては皮膚や耳に炎症が起こることが多いですが(アレルギー性皮膚炎)、くしゃみや鼻水(アレルギー性鼻炎)、目の痒み、涙の増加などの症状が現われることもあります。アレルギー性鼻炎は、アレルゲンと呼ばれるアレルギーのもととなる原因物質が、鼻の粘膜を刺激することでアレルギー反応が起こります。
原因|2.犬ジステンパー感染症
強い伝染力を有した犬ジステンパー感染症は、罹患した犬の鼻水や目ヤニ、唾液、尿、血液などに接触することで感染し、近距離で空気感染することもあります。成犬や免疫力の強い子は軽症で済むことも多いですが、子犬や免疫力の低下した子が感染するとくしゃみや鼻水、嘔吐、下痢などの症状を呈し、重症化すると痙攣などの神経症状が現われます。 大変怖い病気ではありますが、混合ワクチン接種による予防が可能な病気です。
かかりやすい犬種や年齢
鼻炎を発症する年齢はさまざまで、ウイルス性鼻炎であれば子犬や免疫力の低下した犬が発症しやすく、口腔内疾患からの波及によるものであれば高齢犬に多く見られます。犬種としては、ミニチュアダックスフンドやウィペットなど、比較的鼻の長い犬種が発症しやすいといわれています。
犬の鼻炎の治療法について
犬の鼻炎の治療法は原因によって異なります。鼻腔内に腫瘍があれば腫瘍の治療、口腔内疾患によるものであれば歯周病、口内炎などの内科治療や、外科治療による抜歯などの対処が必要です。症状によっては抗生剤や消炎剤などを投与することもあります。
治療にかかる費用
費用は動物病院によって幅があります。鼻炎の原因にもよりますが、診察や薬の処方など1回の治療で4,000~5,000円くらいかかります。症状が重い場合や、背景に基礎疾患がある場合は、さらに高額となる可能性があります。事前に動物病院に問い合わせておきましょう。
犬の鼻炎を予防するには
犬の鼻炎は原因によって、予防できるものとできないものがあります。 ウイルスによる感染症に関しては定期的な混合ワクチン接種を受けましょう。アレルギー性鼻炎の疑いがあれば、アレルゲンを特定する血液検査を実施してアレルゲンとの接触を避けてあげましょう。歯周病によるものに関しては、予防のための丁寧な歯磨きなど、日頃からのケアが鼻炎の予防に繋がります。
再発する可能性
犬の鼻炎は一旦治ったと思っても再発したり、慢性化することも少なくありません。もし薬が処方されていれば、症状が改善したとしても途中で投薬をやめたりせず、獣医師の指示に従いきちんと期間を守って投薬しましょう。
事前の予防策と早期発見で慢性化する前に治療を
人間と同じで、犬も鼻炎になると辛いものです。犬ジステンパー感染症や歯周病など、鼻炎の原因によっては事前に対策を行うことで予防できるものもあるので、可能な限り予防してあげましょう。そして、鼻炎が疑われる症状が見られれば、早めに動物病院を受診しましょう。
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この記事のライター
choco
シェルティとの生活に憧れる社会人です。みなさんの愛犬との暮らしがより豊かになるような情報を発信できたら、と思っています!