【獣医師監修】犬の耳だれに潜む病気とは。原因と対処法を解説します
愛犬の耳をチェックする習慣はありますか?
ある日起きたら、愛犬の耳がベタベタしていた、という経験のある飼い主さんもいらっしゃるのではないでしょうか?もしかしたらそれは耳だれの症状かもしれません。耳だれとは、耳から液体が出てくることで、耳漏(じろう)とも言います。犬の耳だれは決して珍しい症状ではありませんが、病気が潜んでいる可能性もあるため、軽んじてはいけません。今回は、犬の耳だれの症状とそこに潜む病気について詳しくご紹介します。
耳だれの状態について
『耳だれ』は液体が出てくる状態のことを指しますが、実際に見てみるまではどういった症状を指すのか分かりにくいですよね。ここからは、犬の耳だれの症状について詳しくご紹介していきます。
耳だれの状態|形状・質感
耳だれは、ベタベタの液体状のものです。さらに悪化するとドロリと粘性が高まる場合もあります。 また、ひどくなると血液や膿が混じった耳だれが出てくることもあるので、病院に行く前にどんな耳だれが出たのか確認して、写真などで記録しておくと、診察の際に獣医師に伝えやすいのでスムーズです。
耳だれの状態|色
一般的な耳だれは、黄褐色の分泌液です。愛犬の耳の中や耳の周りを拭いたとき、黄色っぽいベタベタした分泌液がついたら、それが耳だれです。
耳だれが出ること自体も良くないのですが、その色が異常である場合も、別の病気が考えられます。黄褐色ではなく、赤黒い色の汚れが付く場合は、マラセチア菌という真菌に感染している可能性が高いです。どちらも耳のトラブルなので、早めの動物病院での受診が必要です。
耳だれの状態|におい
愛犬の耳のにおいを嗅いでみて、いつもと違うにおいがしたら要注意です。何らかの病気の可能性があります。 愛犬の病気にいち早く気がつくためにも、普段から愛犬の身体のチェックをしておくことが大切です。触る、嗅ぐ、見るなどして毎日愛犬の体調を確認しましょう。
耳だれの症状が見られた場合に考えられる病気
愛犬に耳だれの症状が見られた場合には、いくつかの原因が考えられます。また、病気のサインである可能性もあるので、放っておかずに動物病院へ連れていきましょう。
病気|外耳炎
犬の耳だれの一番多い原因として考えられるのは、『外耳炎』です。外耳とは、耳の入り口から鼓膜にかけての部位のことを指します。この部分が炎症を起こしている状態を『外耳炎』と言います。犬には非常に多い病気で、特に垂れ耳のミニチュアダックスフンドやトイプードル、アメリカンコッカースパニエル、ラブラドールレトリバー、ゴールデンレトリバーなどの犬種が外耳炎になりやすいと言われています。
外耳炎になってしまう原因
外耳炎になってしまう原因として、耳の中の蒸れが挙げられます。垂れ耳の子たちは、常に耳にフタをされてしまっている状態なので、風通しがよくありません。耳が蒸れてしまうと、中で細菌や真菌が繁殖してしまう原因になるので、不衛生にならないように、日々の丁寧なケアが大切です。
外耳炎→中耳炎→内耳炎
外耳炎がひどくなると、鼓膜がやぶれてそこから中耳炎に発展してしまうこともあります。鼓膜の内側の炎症なので、治療も難しく時間もかかります。
そうなってしまうとかゆみだけでなく痛みを伴うことも多いので、愛犬にとっても辛い状態になります。耳のトラブルは早めの治療が必須です。
犬の耳だれを家庭で対処する方法はある?
では、耳だれが治らない場合、家庭ではどのようなお手入れが出来るのでしょうか?
犬の耳だれの対処法
愛犬に耳だれの症状が見られたら、コットンなどで優しく拭いて、できるだけ早めに動物病院に連れていきましょう。ウェットティッシュなどで拭きとると、耳の中に水分が残って蒸れの原因になってしまうこともあるので、乾いたコットンがおすすめです。
耳だれを起こさないための予防方法
耳だれを予防するには、こまめな耳のケアを行うしかありません。ですが、毎日行う必要はなく、それほど耳の汚れが気にならない場合は2週間に1回程度で十分。ケアをやりすぎると、炎症を悪化させる要因になりますので注意が必要です。
愛犬の耳のケアは、綿棒で行っている方も多いかもしれませんが、綿棒で耳掃除をすると汚れを奥へ押し込んでしまったり、綿棒が奥に入り耳の中を傷つけてしまうことも。
一番のおすすめは、液体のイヤークリーナーを耳に入れ、耳の根本をクチュクチュともんであげる方法です。そうすると、耳の汚れが浮き、その後、愛犬が耳をプルプルと振ることでクリーナーと耳の汚れが一緒に排出されます。その後は乾いたコットンなどで拭いてあげれば完了です。
早期発見・治療で重篤化を回避しよう
愛犬に耳だれの症状が見られたら、とにかく早めに動物病院に連れて行くことが大切です。たかが耳の病気と軽く見ていると中耳炎、内耳炎にまで悪化してしまうこともあります。そうなるとバランス感覚をつかさどる三半規管にも影響し、フラフラとバランスが取れずに歩行困難になってしまうことも考えられます。
耳の病気は飼い主さんが日々気を使ってケアしてあげることで、ある程度予防できます。大切な愛犬の健康を維持するために、こまめな耳のケアをしてあげる習慣をつけましょう。
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この記事のライター
choco
シェルティとの生活に憧れる社会人です。みなさんの愛犬との暮らしがより豊かになるような情報を発信できたら、と思っています!
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