イタズラをする犬の気持ちって?イタズラをする理由や防止策・叱り方を解説!
愛犬のイタズラに困っている飼い主も多いですよね。ゴミ箱を荒らしたり、家具を噛んだりと、犬はあの手この手で私たちにかわいいイタズラを繰り広げてきます。少しの間、犬に留守番をさせて外出から帰宅してみると、犬のイタズラで部屋が大変なことになっていたという経験がある方もいらっしゃるかもしれません。愛犬がイタズラをするのは、決して飼い主のことが嫌いだからという訳ではありません。しかし愛犬のイタズラの後片づけ・後始末をするのは、どうあがいても飼い主さんですよね。
日常生活に支障をきたさず、愛犬と心地よい暮らしを送るためにはどうしたらいいのでしょうか?今回は犬がイタズラをする理由から、その防止策や効果的な叱り方までを一挙にご紹介していきます。犬がイタズラしたとき、帰宅してから叱っても犬に伝わるはずもないですよね・・・!?
目次
犬はどんなイタズラをする?犬のイタズラあるある
犬にとっては遊び、人間にとっては愛犬のかわいいイタズラ。実はかわいい犬のイタズラでも繰り返されると頭を抱えてしまうことも少なくありません。実際にどのような犬のイタズラがよくあるのでしょうか?犬のイタズラあるあるを見ていきましょう。
とにかく何でも噛む・かじる・破壊する!
犬のイタズラの代表とも言えるのが「噛む・かじる」です。日常生活で使用しているものから、こんなものまで?といった驚きのものもあります。飼い主さんたちの声を基に「噛む・かじる」の代表例を見ていきましょう。
枕やぬいぐるみを破壊する
先ほどの家具と似ていますが、犬は羽毛や綿の入った枕を破壊することがよくあります。最初はちょうどいい硬さ・大きさでおもちゃのように噛んでいただけの枕も、時間が経つと中身が出てくるまでに噛み千切られます。トイレシートをビリビリに破くことがありますね。噛みちぎっていくと中から徐々に羽毛や綿が出てくるので、犬も楽しくなってイタズラがエスカレートしてしまうのでしょうね。これらも犬の誤飲の原因になるため、注意が必要です。
家具を噛む
犬はダイニングテーブルや椅子の脚などの硬さのあるものをかじったり、革のソファなどの少し柔らかいものをかじってしまうことがよくあります。「硬さのあるものだったらさすがに犬の歯でも大丈夫でしょ」と思うかもしれませんが、犬の歯(顎の力)は強力なものです。徐々に木製の家具を削ったり、柔らかいものであれば、犬歯で引き裂いたりすることも得意です。
劣化した家具は、削れた部分が取れて犬が誤飲をするリスクがあります。また犬の腔内を傷つけてしまう恐れもあるため、注意すべきイタズラとして捉えておきましょう。
コード類をかじる
室内環境には不思議なほどコード類がいっぱい並んでいます。一般のご家庭では、テレビの裏や空気清浄機、スマートフォンの充電器まで、さまざまな太さや長さのコードに囲まれていますよね。これらのコード類は、人間にとっては大変便利なものですが、犬にとっては“かじりやすいもの”でしかありません。時折ユラユラすることもあるため気になっている犬も多いのかもしれませんね。
犬がコード類をかじってしまうと感電してしまう恐れもあるため、飼い主さんは細心の注意を払う必要があります。また壊れたコード類は火事の原因にもなるため、放置するのもNGです。中には高価な家電もあるので、コード類は要注意です。
まだまだ噛みます。こんなものも。
飼い主さんたちの声を聞いていると、「うちのコはなぜかスマホを噛むんです」「リモコンを噛んで駄目にしてしまいます」といったバラエティに富んだ回答が多く見られます。これらの噛んでしまうものたちは、犬にとっての危険リスクも高いため、十分に注意が必要となります。
小物を隠す
最後にご紹介するのが「小物類を隠す」という犬のイタズラです。犬を飼っているご家庭でよく耳にするのが「靴下が片方だけない」というものです。なぜか小物類と言ってもハンカチではなく靴下を隠すんですよね。自分のケージやサークルなどのテリトリーに隠し持っていることがよくあります。
とにかく汚して荒らす
犬は「汚す・荒らす」も得意です。「噛む・かじる・破壊する」の場合は、飼い主さんが見ているところでもすることがありますが、「汚す・荒らす」のイタズラは飼い主さんが目を離したすきにされていることが多くあります。
ティッシュペーパーをよく使う
犬はティッシュペーパーをよく使います。ティッシュペーパーを全部口で引っ張り出して、家中をティッシュペーパーだらけにするイタズラをすることがあります。ティッシュでイタズラする犬が多い理由は定かではありませんが、ティッシュを抜くときの音や、抜けてもどんどん出てくる感じが犬にとっては最高に面白いのかもしれません。
ゴミ箱をあさって散らかす
美味しい食べ物のニオイがしているゴミ箱は犬にひっくり返されてしまうことがあります。人間には分からないような些細なニオイも犬は嗅ぎ分け、探し当てます。飼い主さんも片づけるのが面倒ですし、何を捨てたのかもイチイチ覚えていられないと思いますので、「ゴミ箱は犬に触れさせない」が鉄則です。このイタズラは犬の誤飲に繋がりかねませんので、注意しましょう。
犬がイタズラをする6つの理由
犬がイタズラをする理由は、子犬と成犬で異なるケースが多いと考えられています。結論から言うと、子犬のイタズラは遊んでいるつもりで、成犬がイタズラをする理由の大半は退屈・寂しさ・運動不足等のストレスと言われています。自分と愛犬のふたりで作る生活をもう1度見直してみることで、犬のイタズラを改善することができるかもしれません。具体的に犬はどのような理由であの手この手でせっせとイタズラをするのでしょうか?ここでは、犬がいたずらをする理由を6つに分けてご紹介します。
1.ただ遊んでいるだけ
犬はよく食べよく動きよく眠る動物です。獲物を捕らえるという狩猟本能から現代で暮らすようになった犬たちも穴を掘るような行動をしたり、獲物の代わりにおもちゃを振り回すという行動をすることもあります。そのため、飼い主からするとイタズラのように思える行動も、犬からすると“ただ遊んでいるだけ”というケースがよくあります。
特に子犬の頃は、見るもの全てが新しくあらゆることに興味関心を抱きます。気になるものを見つけると、ついつい夢中で噛んで振り回したりしますが、初めて見るものであれば納得の理由ですよね。
2.美味しいニオイがする
犬は人間よりも優れた嗅覚を持っているため、私たち人間が気付かないような些細なニオイを嗅ぎ分け、反応することがあります。ゴミ箱から食べもののニオイがすると、犬にとっては美味しそうなニオイの先にたまたまゴミ箱があった、というだけのこと。人間にとっては犬がゴミ箱をあさるという行動として目に移ってしまいます。
3.お留守番のストレス
飼い主さんに構ってもらえないストレスから犬はイタズラをすることもあります。例えば長時間の留守番をさせている場合には、退屈・寂しい・運動不足といったことがイタズラの原因になるケースが考えられます。そのため、飼い主が不在のときや飼い主が家にいても忙しい時間帯などにイタズラをしてしまうことがあります。また、分離不安のあるコの場合には、不安な気持ちがイタズラに結び付くこともあると言われています。
4.こっちを見てほしい
犬にとっては飼い主さんが唯一無二の存在です。そんな飼い主さんの注意を惹こうと愛犬たちも必死です。飼い主さんに自分を見てもらいたい、構ってもらいたいという欲求から、犬がイタズラをして気を惹こうとしている可能性も考えられます。例えば、犬がリモコンなどを咥えて走った場合に飼い主さんが追いかけてくると、飼い主さんにとってはただ返してほしくて追いかけているだけでも、犬にとっては楽しい追いかけっこになってしまうこともあります。何かをして飼い主さんが来てくれたことを学習すると犬はまた同じイタズラを繰り返すことがあります。
5.何かが動いていて気になる
自分の身を守るため、狩りで獲物を捕らえるために、犬は動くものにも本能的に反応します。ティッシュをゴミ箱に投げ入れる動作はもしかすると犬にとって楽しそうな遊びに見えるかもしれません。また、壁にかけられたガーランドなどの風で揺れやすいものも犬の気になるものリストに仲間入りします。犬の狩猟本能ゆえの行動と言えます。
6.歯がかゆい
子犬は生後4か月頃から歯が生え変わります。そのため、歯がかゆくなってさまざまなものを噛むことがあります。硬さのちょうど良い家具などは格好の餌食ですね。これらは生後4か月頃の子犬によく見られますが、子犬の成長の証でもあり、決して悪い行動ではありません。しかしながら愛犬にとってはコード類などを噛んでしまうことは危険なことですので、飼い主さん的には絶対にやめてほしいことの1つですよね。
犬がイタズラをしたときに叱ってもいい?正しい叱り方
犬が上記のようなイタズラをしたときは、ワーワー騒ぎながら叱っても効果はありません。むしろ飼い主さんが騒ぐのは逆効果で、犬は飼い主が喜んでいる!と勘違いしてしまいます。また、信頼関係がない状態で叱ることは関係を壊してしまうことにもなりかねませんので、叱り方の注意点を踏まえて犬のしつけを行なっていきましょう。
即座に注意して無視する
お留守番をしているとき等、犬が近くにいない状態でイタズラをした場合、後から叱っても犬には何のことなのかが分かりません。犬が近くにいるときにイタズラをした場合には、「その場で即座に注意する」が鉄則になります。このとき、低めの落ち着いた声で「ダメ」「いけない」等と声をかけ、速やかにイタズラされたものを片付けたり、犬に目に触れないようにします。それと同時に、その場を去って「イタズラをすると飼い主さんが構ってくれない」ということを学習させるようにしましょう。また、留守番時などのイタズラについては“叱る”ということの効果がありませんので、後から紹介するそもそも犬にイタズラをさせないための対策を見ていきましょう。
「無視」するのは信頼関係が築けている前提で
しつけをする上で犬を無視するのは、犬が飼い主のことを好きであることが大前提です。興味がない相手に無視をされても何とも感じませんが、大好きな飼い主に無視をされるのは犬にとっては最も避けたいことです。イタズラを始めると大好きな飼い主が構ってくれないと分かると、自然とイタズラをやめ、飼い主がほめてくれることや一緒に取り組んでくれる遊びに集中しようとします。
しかし、ただただ長時間無視するのでは逆効果になるので注意が必要です。犬を無視するのは、現行犯でイタズラをしていたり、イタズラ後に飼い主の様子を伺っているときに短時間で行うことが大切です。
冷静に対処する
犬がイタズラをしているところを見てしまうと、ついつい声を出してしまいがちですが、気持ちをぐっと抑えて静かに対応するようにしましょう。気を引くためにイタズラをした犬は、飼い主さんが構ってくれたと勘違いしてしまうことがあります。
同じ言葉で叱る
犬を叱るときには同じ言葉を使うと効果的です。「ダメ」や「いけない」など、叱るたびに別の言葉を使うと犬はなかなか理解できません。家族内でも叱るときには統一した言葉を使うようにしましょう。また、叱るときの声は低いトーンで言うとより効果的です。
犬はイタズラした後に反省してる?
犬も叱られたことが分かると反省を行動であらわそうとします。犬があくびをしているのは、もちろん眠いときもありますが、緊張をしているときに緊張感をほぐそうとあくびをすることがあります。一番無防備な体制であるお腹を見せるポーズは、「わたしはあなたに従順です」というサインでもあります。目をそらしてあくびをしたり、飼い主にお腹を見せるポーズをしているときは、自分が何か悪いことをして飼い主が気分を害していると気付いている(叱られたことを理解している)可能性があります。愛犬が叱った後にこの行動をしていたらぜひ心を広く持って許してあげてくださいね。
犬にイタズラをさせないための防止策・対策とは?
お留守番をしているときに犬がイタズラをしてしまうようであれば、生活空間の見直しに加え、日頃の犬との生活スタイルを見直すようにしましょう。
普段からたっぷり一緒に遊ぶ
犬のイタズラはストレスによるものも多く、構ってもらえず、ヒマで何もすることがないためにイタズラに発展することがあります。愛犬と向き合う時間をしっかりと作り、遊びや散歩をさせ、ストレス解消をしてあげましょう。留守番の時間を短くすることも必要ですが、留守番の前に散歩に行ってトイレを済ませたり、十分なコミュニケーションを図る時間を作ることで、犬が安心して留守番できるようにしてあげてください。特に、若い犬は体力もあるのでドッグランなどで思いっきり走らせてあげるのも効果的です。朝からたっぷりと散歩の時間を作ってあげると日中(留守番中)には疲れて体力回復のために寝ていることも多くなります。
いたずらをされて困るものは片づける
イタズラをされて困るものは、犬の目に触れないようにしましょう。ゴミ箱はフタがついていて倒れにくく犬が簡単にあされないものにしたり、入ってほしくない場所には仕切りを作るようにしてください。家具など移動させることができないものは、対処的な方法にはなりますが、噛むと苦みを感じるしつけ用スプレーを試してみるのも1つの手です。イタズラを防ぐことが犬の安全を守ることにも繋がりますので、1つずつ点検してみてくださいね。
クレート・サークルトレーニングをする
特に子犬の頃は、留守中にいたずらをしてしまい、生ごみや人の食べ物を食べてしまったり、家具やクッションなどを食いちぎってしまうこともあります。飼い主の目が届かない場合は、ハウストレーニングをし、サークル・ケージで短時間のお留守番ができるようにしておきましょう。もしサークルやケージに入れることが難しい場合は、ペット用ゲートなどを使い、行動範囲を狭め、イタズラをさせない工夫をしてあげてくださいね。
また犬によってはクレートのように狭くて暗い方が安心できるコもいます。お留守番の時間が短い場合には選択肢のひとつとして考えておきましょう。ただし、狭い場所での留守番は温度管理が難しくなってくるため、日差しの当たる場所を避け、水飲み場を作ることも必要です。
ストレスを溜めない暮らしと、犬にイタズラをさせない工夫を!
犬のイタズラには理由があり、その原因の多くは暇を持て余していたり、ストレスが溜まっていることによるものです。愛犬のイタズラが増えてきたときには、コミュニケーション不足となっている可能性があります。いけないことをしたときには叱ることも必要ですが、まずは愛犬と過ごす時間を作り、思いっきり遊びや運動をさせてストレス発散をさせてあげてくださいね。
この記事のライター
nao
「愛犬の気持ちを理解したい」「寄り添ったコミュニケーションを取りたい」という思いからドッグライターとして犬に関する知識を学び、発信しています。愛犬の笑顔を守るために、そして同じ思いを抱く飼い主さんのために、有益な情報を発信していけたらと思っています。
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