【獣医師監修】犬の食事は1日何回が適切?ライフステージごとの目安と注意点
犬の食事回数は1日あたり何回が適切なのか疑問に思ったことはありませんか?犬は年齢によって必要な栄養素の量やエネルギー量が異なるため、ライフステージに合わせた栄養管理や食事管理がとても大切になります。ここでは、子犬期・成犬期・シニア期に分けて、食事回数の目安や注意点について解説します。
【子犬期】食事回数の目安と注意点
子犬は消化機能が未熟であり、成長にもエネルギーを必要とするため、他のライフステージと比べて食事の与え方に配慮が必要です。
1日に食事を与える回数
成長期の子犬は、多くの栄養やエネルギーを必要とします。食べるスピードも速いですが、子犬の胃袋はまだ小さく、消化管の機能もまだ未発達です。一度に多くの食事を与えてしまうと消化不良を起こし、吐いてしまったり、軟便、下痢ぎみになることがあるので、回数を3〜5回に分けて与えましょう。
低血糖症に注意
生後3ヶ月ぐらいまでの子犬には低血糖症が多くみられます。例えば空腹時間が長いときや身体が冷えたとき、感染症にかかったときなどに低血糖の症状を発症します。
離乳していない幼犬の場合、たった数時間ミルクを飲まないだけで低血糖症を起こしてしまうことがあります。離乳した子犬であっても半日食事を摂らないだけで低血糖症を起こす子もいます。少なくとも4〜6時間おきにはごはんを与えましょう。
成長途中で食べるスピードが緩やかになる
生後5〜6ヶ月頃までは成長が著しく食欲も旺盛ですが、成長が落ち着くと食べるスピードが緩やかになったり、食事を残すようになることがあります。飼い主さんは「食事に飽きてしまったのかな」と考えるかもしれませんが、必要なエネルギー量が減ってくる、満腹中枢が発達する、胃や腸の消化機能が発達して一度に食べられる量が増えてくるなどの理由のため、これは自然なことなのです。
あまり食べないからといってフードを嗜好性の高いものに変えたり、おやつを与える必要はありません。偏食の原因にもなるので、食事はむやみに変えないようにしましょう。
【成犬期】食事回数の目安と注意点
成犬になると身体の成長が緩やかになるため、食事の与え方も変わってきます。
1日に食事を与える回数
生後半年を過ぎると消化機能が発達してくるため、食事回数は1日2〜3回が適正になります。フードのパッケージに記載された1日分の給与量を2〜3回に分けて与えましょう。
ただし、与える子の運動量や飼育環境によって必要になる食事量が異なるので、様子を見ながら決めていきましょう。
1日1回の食事は良くない?
ひと昔前までは、食事は1日1回で十分という考え方もあったようです。しかし、犬は食事の時間をとても楽しみにしていますし、1日1回の食事では次のような弊害が起こることも考えられます。
- 空腹時間が長くなることで、胃液の分泌が過多になり、吐いてしまう
- 一度にたくさんの量を食べることで、胃腸に負担がかかる
- 食欲の有無を1日1回しか確認できず、食欲低下などの体調の異変に気付くのが遅れる
不妊手術後は肥満に注意
避妊・去勢手術をすると、繁殖に必要なエネルギーを消費しなくなるため、基礎代謝量が低下します。ホルモンの変化により食欲の増進や代謝の変化が起きるので、手術前と同じ量のごはんを与えてしまうと太ってしまうことがあります。
体重が増えてしまうようであれば、フードの量を減らしたり、低カロリーの体重管理用フードへの切り替えを検討しても良いでしょう。
【シニア期】食事回数の目安と注意点
シニア期になると身体の機能が低下し、食欲にも変化が見られることがあります。
1日に食事を与える回数
シニア期の食事も基本的には1日2回で問題ありませんが、年齢と共に消化機能が少しずつ衰え、食事を残すようになることがあります。今まで与えていた量を一度に食べきれないようであれば、食事回数を1日1回に減らすのではなく、1日分の食事を3~4回にして、小分けの分量で与えましょう。
食事を食べにくそうにしていたら?
老犬になると食事の際に咬む力や飲み込む力が弱くなり、食べにくそうな姿が見られることがあります。食べにくそうであれば、小粒のドライフードに変えたり、ドライフードをふやかして与えたり、ウェットフードを与えても良いでしょう。
食欲が落ちているときは、病気の可能性も
食欲が低下している場合、老化による消化機能の低下だけでなく、歯周病や目に見えない内臓部分での異変、腫瘍など何らかの病気が原因の可能性も考えられます。食欲の無い日が続いたり、いつもと違う様子がみられるようであれば、早めに動物病院を受診しましょう。
食事量や回数は愛犬の様子をよく観察して決めましょう
食事の回数のおおよその目安は、子犬期が3〜5回、成犬期が2〜3回、シニア期が2〜4回です。これはあくまでも目安の回数であり、その子の活動量や身体の機能による個体差があるため、様子を見ながら与える量や回数を決めましょう。適切かどうかの指標となる、排便の状態や体重の定期的なチェックもとても重要です。適切な食事管理で、愛犬の健康を守ってあげてくださいね。
こちらの記事もチェック
この記事のライター
choco
シェルティとの生活に憧れる社会人です。みなさんの愛犬との暮らしがより豊かになるような情報を発信できたら、と思っています!
飼育に関する知識に関する記事
健康管理/病気
【獣医師監修】愛犬が交通事故に遭ってしまったらどうしたらいい?もしもの時のために知っておきたい対処法や法律上の対応
犬は屋外での散歩を必要とする以上、交通事故の危険性と常に隣り合わせです。しかし、万が一交通事故...
2024年3月26日
健康管理/病気
【獣医師監修】知っておきたい犬の熱中症に関する基礎知識|初期症状や見分け方、予防法などを紹介します
汗をかいて体温調節ができない犬にとって、高温多湿になる夏(6~9月)は特に気をつけたい季節です...
2024年3月22日
健康管理/病気
【獣医師監修】犬の高脂血症とは?症状はある?発症の原因や治療法、予防法なども解説
自覚症状がほとんどなく進行し、命に関わる病気を引き起こす生活習慣病は「サイレントキラー(沈黙の...
2024年3月21日
健康管理/病気
【獣医師監修】老犬にとって気をつけたい病気を知りたい|かかりやすい理由と対処法もあわせて解説します
一見元気そうに見えても、犬の身体は人間と同じで年齢と共に少しずつ衰えていくもの。老化に伴う、犬...
2024年3月14日
健康管理/病気
【獣医師監修】犬の貧血について|免疫介在性溶血性貧血(IMHA)の症状・原因と治療法を解説します
人間と同じように、犬も貧血になることがあります。犬の貧血の原因はさまざまで、治療により回復する...
2023年11月29日