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【獣医師監修】犬の「らせん菌」について|増える原因や治療法と感染を予防するためにできること

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動物病院で愛犬の糞便検査をしてみたら「らせん菌が多いですね」と言われたことがある飼い主さんは意外と少なくないと思います。らせん菌は犬に感染しても症状を現さないことが多いですが、免疫力が不十分な子犬や高齢犬、病気の犬などの場合、下痢などの症状が現れることがあります。ここでは、犬のらせん菌はどのようなものなのか、らせん菌が増える原因や、治療法・予防法についてご紹介します。

【獣医師監修】犬の「らせん菌」について|増える原因や治療法と感染を予防するためにできること
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目次

  1. 犬の「らせん菌」について
  2. らせん菌が増える原因とは
  3. らせん菌が多くみられる場合の治療法
  4. らせん菌の感染を予防するためにできること
  5. らせん菌は早期発見・治療が大切

犬の「らせん菌」について

寝ている犬
JannyLynn

細菌はその形状によって球状の「球菌」、棒状の「桿菌」、らせん状の「らせん菌」に分類されます。

らせん菌は「らせん状」の菌

らせん菌はその名のとおり細長い菌体がらせん形になったもので、回転運動をしながら素早く動きます。らせん菌群にはカンピロバクター・ジェジュニやカンピロバクター・コリ、ヘリコバクター・ピロリなどの菌がありますが、犬でらせん菌と言うとほとんどの場合、カンピロバクターのことを差します。

カンピロバクターは「カンピロ」や「キャンピロバクター」と呼ばれることもあり、健康な犬であっても便中に少量確認されることがあります。

らせん菌が増えることで引き起こされる症状

らせん菌が著しく増えている場合には、お腹の細菌のバランスが崩れている状況が考えられます。バランスが崩れた結果、下痢や血便、腹痛、嘔吐などの消化器症状が現れ、発熱を伴ったり、ひどい場合には脱水症状を引き起こすこともあります。

犬のらせん菌は人間に感染することがある

カンピロバクターは食中毒の原因とされる代表的な細菌ですが、人間への感染として、下痢をした子犬からうつった例も報告されています。カンピロバクター感染が疑われる犬の排泄物は速やかに片付け、その後、手洗いや手の消毒をしっかり行いましょう。

人間にうつるとどうなる?

人間が感染した場合には平均2〜5日の潜伏期間を経たのち、下痢や腹痛、発熱などの症状が現れます。子供では血便が見られることもあります。

また、ごくまれではありますが、カンピロバクターの感染がきっかけとなって運動神経が障害を受け、筋肉を動かす運動神経が障害されて手足が麻痺する「ギラン・バレー症候群」を発症する事例も報告されています。

らせん菌が増える原因とは

子犬

犬のらせん菌が増える原因として主な感染経路と、注意が必要なケースについてご紹介します。

主な感染経路

犬のらせん菌の主な感染経路は経口感染で、カンピロバクターは環境下に存在する菌のため、カンピロバクターに汚染された食べ物や水、感染した動物の排泄物との接触などによって感染します。健常な動物でも保菌していて、普段は症状が見られず、免疫力の低下により下痢を発症することもあります。

こんな子は特に注意が必要

免疫が不十分な子犬や高齢犬では、細菌が増殖しやすく、重症化しやすいため注意が必要です。また、ストレスを感じやすい生活環境であったり、病気や妊娠などにより免疫力が低下している場合にも発症することがあります。

らせん菌が多くみられる場合の治療法

伏せしている犬
wkn Pexels

らせん菌によって症状が現れた場合、自然治癒することもありますが、症状の程度や原因によっては治療が必要になります。

使用される薬

らせん菌によって引き起こされる症状の治療には、主に抗生物質や整腸剤が使用されます。ひどい下痢や嘔吐により脱水症状が起きているときには、輸液などを行い体内の水分を調整します。

下痢止めの安易な使用は危険

愛犬が下痢しているときに、飼い主さんの自己判断で下痢止めを与えることは危険です。下痢止めには消化管の運動機能を低下させて下痢を治すものがありますが、本来であれば下痢と一緒に体外に排出されるはずの細菌や毒素が体内にたまり、状態を悪化させてしまうことがあります。

適切なお薬を見つけるためにきちんと糞便検査をして、その結果を見て治療を決めてもらう必要があります。

らせん菌の感染を予防するためにできること

寝ている犬

らせん菌の感染を予防するために、飼い主さんにできることをご紹介します。 

免疫力を落とさない

免疫力の低下は、細菌が繁殖する原因になります。食餌は栄養バランスの取れた総合栄養食を主食に与え、おやつの与えすぎには注意しましょう。ストレスや病気が原因で免疫力が低下することもあるので、犬の生活環境を見直したり、病気の早期発見・早期治療に努めましょう。

犬の生活環境は清潔に

犬が使っているベッドやケージなどはいつも清潔に保ちましょう。消毒ができればなお良いでしょう。トイレの排泄物はこまめに処理し、触った後にはよく手を洗いましょう。

生肉や傷んだ食べ物は与えない

らせん菌は加熱不足の食べ物から感染することもあるので、肉などを与える際は十分加熱しましょう。また、傷んだ食べ物も要注意です。特に高温多湿の夏は細菌が繁殖しやすく、細菌由来の食中毒が起こりやすくなります。缶詰などのウェットフードは水分含量が多く傷みやすいので、開封後はなるべく早く使いきりましょう。飲み水も、犬が飲んでいなくても1日1~2回は新しいものに交換し、いつでも新鮮な水が飲めるようにしましょう。

その他

散歩中はリードを短く保持し、他の犬の排泄物や野生動物には近付けないようにしましょう。犬の行動を制止できるよう「マテ」や「オスワリ」などの基本的なしつけをしておくことも大切です。便がいつもと違うと感じたら、糞便検査も重要です。なるべく時間が経っていない新鮮な便を持参しましょう。

らせん菌は早期発見・治療が大切

餌を食べている犬

動物病院でらせん菌が多いと指摘された場合、愛犬はお腹の調子がすぐれないと考えて良いでしょう。らせん菌の増殖は早期に発見をし、良いタイミングで適切な治療ができれば、下痢の悪化や脱水などを伴うような重い症状にならずに済むでしょう。普段と比べて体調の異変を感じたら、速やかに動物病院を受診するようにしましょう。

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choco

この記事のライター

choco

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