【獣医師監修】犬の口腔内にできものがある場合に考えられる病気と対処法
犬の口にできものを見つけたら、痛くないか、悪い病気ではないかと心配になりますよね。犬の口のできものは悪性腫瘍の可能性もあるので、自宅で様子を見るのではなく、なるべく早く動物病院を受診することが望ましいです。ここでは、犬の口のできものの原因や考えられる病気、できものを発見したときの対処法について解説します。
口にできものがある場合の原因として考えられるもの
犬の口にできものがある場合、原因としては口腔内の炎症や口腔内の腫瘍などが考えられます。
口腔内の炎症
犬の口腔内は歯肉炎、口内炎などにより赤く腫れたり、潰瘍が形成されたり、痛みが生じることがあります。炎症が慢性化すると歯肉の組織が増殖し、もりあがってしこりのようになります。
口腔内の炎症を放置すると、食欲が低下したり、歯の根元が化膿して更なる病気を引き起こしてしまう可能性があります。
口腔内の腫瘍
犬の口腔内にできものを見つけたとき、最も注意しなければならないものは腫瘍です。腫瘍と言っても、良性のものと悪性のものがありますが、一般的に口腔内にできる腫瘍は悪性の比率が高いとされており、外からは観察しづらいため、皮膚など体の表面にできる腫瘍よりも発見が遅れてしまう場合が考えられます。
併発していたら要注意な症状
歯肉や口から出血する、口臭が急に強くなる、よだれを垂らす、口の周りを触られることを嫌がる、食欲が低下するなどの症状が見られる場合は注意が必要です。
口の中にあるできものの表面の色が黒や紫の場合は、悪性腫瘍の可能性が高いとも言われています。
口にできものがある場合に考えられる病気
犬の口腔内にできものがあるときは、腫瘍の疑いがあります。口腔内に発生する腫瘍には次のようなものがあります。
扁平上皮癌
扁平上皮癌は腹部の皮膚や口腔内粘膜、陰部の粘膜などに発生する悪性腫瘍です。
皮膚に発生すると脱毛や皮膚のただれ、潰瘍が見られますが、細菌の二次感染により痒みを伴い引っ掻く様子などから皮膚病と間違われてしまうことがあります。
口腔内では歯肉によく見られ、浸潤する力も強く、骨にまで病変は広がっていきます。
膀胱の粘膜に発生した場合には、頻尿などの症状が見られることもあります。
悪性黒色腫
悪性黒色腫(メラノーマ)は、メラニンをつくる細胞が腫瘍化したもので、口の中の粘膜に発生が多いことで知られています。進行が早い腫瘍であるため、発見した時点で既にリンパ節や肺に転移していることもあります。
被毛が黒色の犬や高齢犬に多く発生する傾向があります。
エプリス
エプリスは歯肉に発生する腫瘍で、犬では比較的多く見られる良性腫瘍です。
骨性、線維性、棘細胞性(きょくさいぼうせい)の3つがあり、主に見られるのは、骨性、線維性の2種で切除により良好な経過をたどります。棘細胞性エプリスは発生した場所の骨にまで浸潤してしまうため、骨も含めた切除が必要になります。この棘細胞性エプリスは良性腫瘍ではありますが、性質は一般的な良性腫瘍よりも活発で、口腔内の扁平上皮癌と見た目が似ていることもあります。
愛犬の口にできものがある場合の対処法
犬の口の中のできものが全て悪いものというわけではありませんが、見た目だけで悪性か良性かを判断することはできません。愛犬の健康を守るためにも、動物病院で診察を受けてできものの細胞を採取し、細胞診検査や病理検査できちんと病気の原因を判定してもらうことが重要です。
できものが悪性腫瘍であった場合には、様子を見ているとみるみる大きくなり、早期であれば可能であった治療ができなくなってしまう可能性もあります。自己判断で様子をみることはせず、なるべく早く診察を受けましょう。
口腔内のチェックは定期的に
犬の口の中にできる腫瘍は、迅速に対処しなければ急速に増殖したり、転移してしまうものもあります。早期に発見するためにも、日頃から犬の唇をめくったり、歯磨きの際に口腔内をチェックできるようしつけておきましょう。そして、できものを見つけたら、安易に様子を見ることはせず、早めに動物病院を受診することが重要です。
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この記事のライター
choco
シェルティとの生活に憧れる社会人です。みなさんの愛犬との暮らしがより豊かになるような情報を発信できたら、と思っています!
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