スモール・ミュンスターレンダーって知ってる?性格や特徴・歴史を解説
本国ドイツで定番の最小鳥猟犬であるスモール・ミュンスターレンダー。ジャパン・ケネル・クラブ(JKC)では英国名であるスモール・ミュンスターレンダー(Small Musterlander)の名で登録されていますが、原産国のドイツではクライナー・ミュンスターレンダー(Kleiner Münsterländer)と表記される犬種です。
日本では見かける機会は少なく、知名度も低いですが、ドイツでは賢い猟犬としての活躍とその堂々たる姿にファンの多い犬種となっています。ここでは、そんなスモール・ミュンスターレンダーの歴史と、性格の傾向・特徴などをご紹介していきます。
スモール・ミュンスターレンダーのルーツ
まずは、スモール・ミュンスターレンダーの誕生の歴史についてご紹介します。歴史を遡って犬種の成り立ちを知ることで、その犬種の特徴を解明していきましょう。
スモール・ミュンスターレンダーの歴史
スモール・ミュンスターレンダーの歴史は、ドイツ北西部の田園地帯であるミュンスター地方で作出されたところから始まります。1870年頃、ナポレオンの時代に、フランスから西ドイツに持ち込まれたスパニエル系の犬種に、この地方で名が知れ渡っていたドイツ原産の長毛のジャーマン・スパニエル(ヴァクテルとも呼ばれます)が、スモール・ミュンスターレンダーと血縁関係があると考えられています。
ドッグクラブの設立
1912年、純粋性の追求とスモール・ミュンスターレンダーの正しい繁殖の普及を目的としてスモール・ミュンスターレンダー・ポインティング・ドッグ・クラブという施設が設立されました。当時ジャーマン・スパニエルと同じ犬種と扱われていたスモール・ミュンスターレンダーですが、このクラブ設立により、正式に同犬種の犬種スタンダードの適用や犬種登録への道が進んでいきます。
同じ犬種として扱われていたほど容姿の似ている犬種ではありますが、スモール・ミュンスターレンダーはしっぽの先が必ず白という特徴があります。
優れた能力を持つ猟犬
スモール・ミュンスターレンダーは、いわゆるHPR犬種として活躍をしてきた歴史を持っており、今でもヨーロッパ地方ではその活躍を垣間見ることができます。ハント(狩り)に加え、ポイント(獲物を見つけて合図)・リトリーブ(獲物の回収)までを全て任せることができる大変優れた能力を持っています。
実猟犬としての才能を後世に受け継ぐため、スモール・ミュンスターレンダーを「クライナー・ミュンスターレンダー」と呼び、猟犬能力試験などを行なっている団体が「狩猟犬協会(JGHV)」です。このテストに合格していないクライナーの子犬は、ドイツのケネルクラブでは血統書が発行されません。ドイツの猟犬に対する情熱を感じますよね。
しかしながら、このように猟犬としての資質を高められてきた犬種であるため、家庭犬としての飼育はかなり難しいと考えられます。そもそもドイツやアメリカのブリーダーさんが譲ってくれることはまずないと言っても過言ではありません。
スモール・ミュンスターレンダーの特徴
スモール・ミュンスターレンダーの外見的特徴や能力についてご紹介します。
猟犬としての役割
スモール・ミュンスターレンダーは鳥猟犬であり獲物に対し敏感に反応します。獲物の捜索、ポイント(獲物の場所を示す)、籔入り、フラッシュ(飛び立たせる)といった仕事だけでなく、撃ち落とされた獲物の捜索や回収にも優れた能力を発揮します。
また、最近では鳥猟に留まらずイノシンや鹿猟においても優れた成果を上げています。自分に与えられた仕事を理解し、狩猟経験を活かすことができる犬種と言えます。
サイズやカラー
オスの体高の目安は52〜56cm、メスは50〜54cmです。体格はバランスがとれ、優雅で、直立した時のアウトラインは流れるようです。光沢のある被毛には撥水性があり、密生しストレートもしくは僅かにウェーブがかかっています。垂れ耳で、前足、後足、尻尾には飾り毛があります。毛色にはブラウン&ホワイトまたはブラウンローンがあります。
スモール・ミュンスターレンダーの飼い方
感情表現が豊かですが、穏和で安定した性格です。人や犬、ほかの動物に対して友好的で協調性があり、飼い主に忠実なため、家庭に迎えると良きパートナーとなるでしょう。小動物と遭遇すると、狩猟本能に目覚めてしまうことがあります。
狩猟に対しては粘り強く、冷静さと鋭敏さで与えられた役割をこなします。
スモール・ミュンスターレンダーの飼い方のポイント
スモール・ミュンスター・レンダーの飼育上の注意やポイントには次のようなものがあります。
運動量やお手入れ
元来鳥猟犬であるため、運動量が必要です。散歩は1日2回、最低でも1時間は行います。ロングコートの艶のある被毛を維持するには、ブラッシングが必須です。
しつけの仕方
知性の高いスモール・ミュンスター・レンダーの従順性や自主性をコントロールするには、飼い主が一貫性をもってしつけ訓練を行うことが重要になります。注意力があり人に誉めてもらうことが好きなので、しつけは覚えやすいでしょう。性格をよく理解した上でしつけることが大切です。
協調性のあるスモール・ミュンスターレンダーと暮らしてみては?
日本ではまだまだ知られておらず入手の難しいスモール・ミュンスター・レンダーですが、人やほかの動物と協調性があり、ペットとしては飼いやすい犬種と言えます。本来は鳥猟犬で仕事好きな犬であるため、家庭犬として生活した場合には何らかの役割を与えたり十分に運動させないと暇をもて余し、ストレスが溜まって問題行動を取る可能性があります。スモール・ミュンスター・レンダーについてよく理解した上で飼育を検討しましょう。
この記事のライター
nao
「愛犬の気持ちを理解したい」「寄り添ったコミュニケーションを取りたい」という思いからドッグライターとして犬に関する知識を学び、発信しています。愛犬の笑顔を守るために、そして同じ思いを抱く飼い主さんのために、有益な情報を発信していけたらと思っています。
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