ビクター犬【ニッパー】のモデルはフォックス・テリア!忠犬ハチ公のようなエピソードも
蓄音機をのぞく犬で有名な、オーディオ機器などの大手メーカー「Victor」の看板犬(通称:Nipper=ニッパー)は「ビクター犬」と呼ばれています。一昔前は、街の電気屋さんのお店の前に、ビクター犬の立体看板が置かれていましたが、今は以前のような街の電気屋さんが減り大型の家電量販店が主流となったことで、私たちがビクター犬を目にする機会も減ってしまいました。今回は、忠犬ハチ公のような秘話もあるビクター犬「ニッパー」についてご紹介します!
ビクター犬のモデルとなったのはフォックス・テリア
ビクター犬のモデルになっているのは「フォックス・テリア」という犬種です。 現在、フォックス・テリアには、「スムース・フォックス・テリア」と「ワイヤー・フォックス・テリア」の2種類がいます。
ビクター犬の絵を見る限り、短毛であることが伺えるので、ビクター犬のモデルは「スムース・フォックス・テリア」だと言えるでしょう。
スムース・フォックス・テリアとは
日本では「ワイヤー・フォックス・テリア」の方がメジャーな犬種となりますが、実は「ワイヤー・フォックス・テリア」は「スムース・フォックス・テリア」から作出された犬種です。
そのため、歴史も「スムース・フォックス・テリア」の方がはるかに古く、もともとはキツネ狩りに使われていた狩猟犬で、岩場やキツネの巣穴付近で活躍していました。
ビクター犬の原画はイギリスの画家が描いたもの
ビクター犬で有名な絵の原画は「フランシス・バラウド」というイギリスの画家によって描かれたものです。 描かれている犬の名前は「ニッパー」といって、もともとはこの絵を描いた画家の兄「マーク・H・バラウド」がとてもかわいがって飼っていた犬でした。
ですが、その兄が亡くなってしまったため、弟のフランシスがニッパーを引き取り、家にあった蓄音機で録音されていた兄の肉声をニッパーに聞かせたところ、首をかしげながら懐かしい飼い主の声に聞き入っていたというエピソードが伝えられています。
情景的な一枚の絵
そんなニッパーの健気な姿に心を打たれたフランシスは、この情景を一枚の絵にしました。 その絵のタイトルが「His Master's Voice」。直訳すると、「彼の飼い主の声」です。
突然いなくなってしまった大好きな飼い主さんの声が、機械の中から聞こえてくるのを不思議に思いつつも、その前から動けずにいるニッパーの気持ちが伝わってきますよね。
ニッパーのエピソードに感動
この絵とニッパーのエピソードに感銘を受けた、蓄音機の発明者であるベルリナーは、この絵をそのまま商標登録し、今なお使い続けられているビクター(当時はグラモフォン社)の有名なロゴマークとなりました。
あの「HMV」のロゴもニッパー
あまり知られていませんが、大手CDショップの「HMV」のロゴにも同じくニッパーが使用されています。 もともとHMVは、グラモフォン社の自社ブランドだったため、同じロゴを使っていたのです。 そして「HMV」はなんと「His Master's Voice」の頭文字なんです。ご存知でしたか?
現在は、HMVと日本ビクターは直接の関係はありませんが、同じ商標を共有しているというのは歴史のおもしろさを感じさせてくれますよね。
置物からCDまで!ニッパーのグッズ
ビクター犬「ニッパー」の人気は現在でも続いています。ビクターのオンラインショップでは、置物やTシャツなど、さまざまな「ニッパーグッズ」も販売されており、その不動の人気ぶりがうかがえます。
愛犬と一緒に聴こう|ニッパーCD
ビクターエンターテイメントからは、なんとニッパーをテーマにしたCDもリリースされています。その名も「Music For Nipper」。 カヒミ・カリィさんがプロデュースしたこちらのCDは、飼い主さんと愛犬が一緒にくつろいでいる時に繰り返し聴ける音楽というコンセプトで作られました。
自身も愛犬家であるカヒミ・カリィさんは、愛犬がお留守番の時にこの音楽を聴いて、リラックスしながら飼い主さんを待てるようなCDになったらいいなという願いを込めて作ったそうです。
愛犬と一緒に聴けるCD、ぜひみなさんもニッパーに思いを馳せながら聴いてみてくださいね。
まるで「忠犬ハチ公」|今も愛され続ける犬「ニッパー」
日本で言うところの「忠犬ハチ公」のようなビクター犬のお話、いかがでしたか? 飼い主さんが亡くなっても、ずっと自分の名前を優しく呼んでくれていた声はニッパーの記憶に残っていたのですね。心がほっこりとするエピソードです。このお話を読んだ後に、ビクター犬を見るとまた違った見え方になるかもしれません。
この記事のライター
komugi
都内で愛犬のビーグルと暮らしています。コロナ期間中に肥満体型になってしまった愛犬のために食事や運動について勉強をはじめました。面白い発見や愛犬家の皆様に役立つ情報があればどんどん発信していきます!
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