【獣医師監修】老犬にとって気をつけたい病気を知りたい|かかりやすい理由と対処法もあわせて解説します
一見元気そうに見えても、犬の身体は人間と同じで年齢と共に少しずつ衰えていくもの。老化に伴う、犬のちょっとした体調の変化や行動の違和感を見逃さないようにしましょう。
今回の記事では、老犬が罹患しやすい病気や症状、対処法などをご紹介します。
特にシニア犬と暮らしている飼い主さんで、愛犬の様子で気になる点がある方は、ぜひチェックしてみてくださいね。
老犬がなりやすい4つの病気とは
はじめに、老犬が罹患しやすい4つの代表的な病気を紹介します。
悪性腫瘍
悪性腫瘍は、いわゆる癌(ガン)のことを指します。腫瘍には、良性のものと悪性のものがありますが、悪性の腫瘍は癌(ガン)と言われます。老犬が発症する確率は若齢の犬に比べ高くなり、それぞれの疾患により症状の違いはありますが、10歳を超える老犬の約半数は癌を発症するといわれています。悪性腫瘍に伴って発症する主な症状としては、消化器症状、疼痛、栄養失調による衰弱などが挙げられます。
発症する原因は明確には解明されておらず、遺伝的な因子やホルモン性の因子などの影響が関係すると考えられています。
腎不全
犬の腎臓の働きは、私たち人間と同じで、身体の中の老廃物を尿として排出する役目をしています。この働きが衰えてしまうと、体内に老廃物が溜まり、多飲多尿や食欲不振などさまざまな身体症状を引き起こし、腎機能が低下します。放っておくと腎不全の症状はどんどん悪化していきます。
腎臓は年齢と共に機能が衰えていくので、老犬が腎不全を発症するケースは多いです。一度衰えてしまった機能が回復することはないため、死亡率の高い病気としても知られています。
腎不全について詳しくはこちらの記事で解説しています
心臓病
心臓病にはいくつかの種類があり、そのなかでも犬に最も多いと言われている病気が、弁膜症、特に僧帽弁閉鎖不全症です。一見元気そうに過ごせていても、目立った症状がないために、飼い主さんが気付かない間に病気が進行してしまうケースも多くみられます。
病気に気づくタイミングとしては、動物病院で健診を受ける際に「聴診」は必ず行いますが、その時に心雑音が聴取されることがあります。加えて、心臓のレントゲン検査や心臓の超音波検査などを行うことで正確に診断が付く場合もあります。年を取ってきたら、動物病院で定期的な健診、検査を受けるのがおすすめです。
糖尿病
犬の糖尿病とは、人間がかかるものと症状はほぼ同じです。病状の進行によっては白内障や腎不全、クッシング症候群などの深刻な合併症を引き起こす恐れもあります。
犬が糖尿病にかかる原因は、明確には解明されておらず、ほとんどが先天的な要因といわれています。しかし、発症には肥満などの要因が大きく関わっているといわれていますので、生活習慣病としての注意が必要です。
老化が原因で引き起こされる病気
ここからは、老犬がかかりやすいとされている目の病気、そして、老化が原因で起きるさまざまな症状について紹介していきます。
皮膚の病気
老化に伴い、皮膚に関するトラブルが増えていきます。犬の皮膚の病気は、皮膚に赤みが見られる、抜け毛が増えて脱毛する、乾燥してフケが出る、痒みが出るなどの症状です。
6歳以上になって、よく発症する皮膚に症状を起こす疾患としては、甲状腺機能低下症、副腎皮質機能亢進症、皮膚腫瘍などが挙げられます。ホルモン性の疾患が多く、治療のためには内服薬の長期的な投与や、疾患によっては外科手術をするケースもあります。
認知症
人間の高齢者と同じように、老犬にも認知症の症状が見られることがあります。老犬が夜鳴きや徘徊を繰り返したり、昼夜逆転した生活になる様子が見られたら、認知症の可能性が高いと思われます。
症状の出方はそれぞれの犬の状況によって異なりますが、早期発見と自宅での対策やケアが重要になります。気になる行動が見られた場合には、早めにかかりつけの獣医師に症状について相談してみましょう。
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目の病気
老化が進むにつれて、犬もさまざまな目のトラブルに悩まされます。目の治療で大事なのは、早期発見と早期治療です。犬の様子をよく観察して、初期症状がないかをチェックしてみましょう。
白内障
白内障は、目の水晶体が混濁してくる病気です。光の透過性が悪くなってしまうことで、目が見えにくいなどの症状が出てきます。目が白く見える、物にぶつかったりすることが増えたり、ご飯やトイレの場所などが分からず戸惑う様子も見られるようになります。放っておくと最終的に失明してしまうこともありますので、目が白いかなと感じたら早めに眼科検査を受けると良いでしょう。
緑内障
緑内障は、何らかの原因で眼圧が高まってしまい、視覚機能に障害が出てくる病気です。目をしょぼしょぼとすることが増えた、目が強く充血している、片目が大きく突出している、涙が多く目を痛がるなどの急性の症状が見られます。白内障に伴って、ぶどう膜炎や緑内障も併発する場合がありますので、注意が必要です。
角膜炎
角膜炎は、目の角膜に傷や潰瘍ができてしまい痛みや炎症が起きる病気です。他の目の病気と関連して発症することもあります。目をしょぼしょぼとすることが増えたり、充血がある、目の表面が白っぽい、凹んでいるように見えるなどの症状が見られます。
関節炎
関節炎とは、犬の肘や膝、股関節などのあらゆる関節部分の疾患の総称です。老化が進むに連れて関節の機能は衰えていくため、老犬が罹患しやすい病気です。命に関わるほどの病気ではありませんが、関節に痛みを伴い、日常生活に大きく影響が出てしまいます。適切な内服薬やサプリメントで症状の緩和を図ることや、普段から適度な運動などによる筋力強化で疾患を予防してあげるのが良いでしょう。
また、関節に負担がかかりやすい大型犬や、肥満ぎみの犬はより注意が必要です。家では滑りにくい床材を敷いたり、段差を無くすなど工夫してあげると良いかもしれません。
老化に伴って発症する病気への対処法
老化に伴って病気に罹患することは仕方のないことです。では、老犬の病気に対して、どのような方法でアプローチしたら良いでしょうか。
普段から観察する
老犬の病気は、早期発見が肝となります。普段から愛犬の様子をよく観察して、小さな体調の変化や身体の違和感などを見つけてあげてください。
また、老犬とのコミュニケーションも兼ねて、マッサージするのもおすすめです。マッサージによって血行などが良くなったり、皮膚の異常、腫瘍などに気付いたりすることもあるかもしれません。
栄養管理や運動に気を使う
糖尿病や関節炎など、生活習慣の乱れや運動不足が原因で病気を引き起こしてしまったり、悪化させてしまったりするケースも少なくありません。まずは、ドックフードやおやつなど、日頃の食餌の栄養バランスを見直したり、適度な運動を取り入れたりするなど、できることから始めてみるのが良いでしょう。
下記の記事に具体的な内容が記載されていますので、ぜひ参考にしてみてください。
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動物病院で定期的に健診を受ける
老犬の様子を見て気になる点があった場合には、ぜひ動物病院の獣医師に相談してみましょう。気になる点がなくても、シニア犬は少なくとも半年に1回のペースで健診を受けておくことが推奨されます。犬は人間の約4倍のペースで年を取りますので、犬の半年に1回は、人間で言うと2年に1回の健康診断というイメージです。
また、心臓病のように目に見えない病気や、自宅では初期症状に気付きにくい病気の場合もあります。犬が高齢になったら、定期的な健康診断や日頃のケアのアドバイスをもらうためにも、動物病院に足を運んでみましょう。
愛犬の様子をよく観察して病気のリスクを軽減しよう
老犬の病気は、暮らしの中の工夫や心掛けによって進行を遅らせたり、罹患を予防することも可能です。例えば、天気の良い日には時間を選んで散歩に出かけ、ベンチなどで休みながら日光浴するのもおすすめです。このような飼い主さんのひと手間で老犬の暮らしも快適に変化し、病気のリスク軽減にもつながります。
まずは、犬の身近にいるご家族や飼い主さんが、様子を観察して、生活習慣の改善を心掛けてみましょう。
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この記事のライター
choco
シェルティとの生活に憧れる社会人です。みなさんの愛犬との暮らしがより豊かになるような情報を発信できたら、と思っています!
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