北海道犬の平均寿命は?気をつけたい病気と体重管理方法まとめ
テレビCMで一躍脚光を浴びた北海道犬は、日本犬保存協会に登録されている天然記念物に指定されている日本犬6犬種のうちの1つです。その昔、アイヌの人々と暮らしていたことからアイヌ犬と呼ばれていたこともある純粋な日本犬です。今回は、北海道の厳しい自然の中で狩猟犬として活躍してきた北海道犬の平均寿命やかかりやすい病気、健康管理方法についてご紹介します。
北海道犬の寿命はどれくらい?
真っ白な日本犬のイメージが強い北海道犬ですが、胡麻、赤、黒などの被毛カラーがあり柴犬とよく似ていることから、間違えられることも多くあります。柴犬よりは、一回り大きく筋肉質な体つきが特徴で、エゾ鹿、ヒグマなどの獣猟犬としてアイヌの人々と共に暮らしてきた歴史があります。忍耐強く、忠実で頑健な体つきが特徴の北海道犬は、基本的には丈夫な犬種です。
平均寿命
厳しい自然の中で鹿や熊の狩猟犬として活躍していた北海道犬は、スタミナのある丈夫な体が持ち前。多くの中型犬と同じように比較的長生きな北海道犬の平均寿命は13〜15歳。病気には比較的強い犬種とされています。また、命には直接関わりませんが、いくつかの遺伝疾患を発症する可能性があることでも知られています。
長寿だったお父さん犬のカイ君
お父さん犬として、北海道犬を一躍有名にしたカイくんが、2018年に老衰のため逝去しました。カイ君の享年は16歳。中型犬の平均寿命は13.69歳ですから、16歳といえば長寿ということになります。
北海道犬がかかりやすい病気
厚生省が提唱する健康寿命とは、「健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間」と定義されています。獣医療の発展やドッグフードの進歩により、犬も長寿の時代となっています。北海道犬はそのルーツがはっきりとは解明されていない犬種ですが、北海道という本州から離れた地域でアイヌ人によって純粋な血統が保たれてきました。そんな北海道犬は、比較的健康で長生きができる犬種ですが、遺伝疾患を発症する可能性が高いとされています。なぜ、遺伝疾患が多いのか、北海道犬がかかりやすい病気と共に知っておきましょう。
純粋な血統を守るための歴史
アイヌ人の良きパートナーとして暮らしていたことからアイヌ犬と呼ばれ、集落ごとに繁殖され血統が受け継がれてきました。そのため、北海道犬にもその他の日本犬と同じように系統がありましたが、現在、純粋な血統を守って繁殖されているのは、5系統あったうちのわずか1種類千歳系統のみ。その他の系統の北海道犬は、犬種保存のために系統をまたいだ交配が行われた経緯を持ちます。しかし、過去には系統ごとに近親または近い血縁との繁殖が行われていたのです。
北海道犬がかかりやすい病気
北海道犬に限らず、近親での交配が行われていた犬種には遺伝疾患の発症が多いことがわかっています。北海道犬も例外ではなく遺伝疾患を発症する可能性があります。ここでは、北海道犬が発症しやすい遺伝疾患とかかりやすい病気をご紹介します。
皮膚病
北海道犬は、寒さの厳しい北海道の自然の中で暮らしていたため、密集した厚いダブルコートが特徴です。夏の換毛期には多くの抜け毛が出るため、こまめなケアが必要です。抜け毛がそのままになっていると、皮膚病を発症することがあります。
変性性脊髄症(DM)
ジャーマンシェパード、ウエルシュコーギーペンブロークなどに多く発症することで知られている遺伝子変異の遺伝疾患が変性性脊髄症です。変性性脊髄症は、8歳~11歳で発症するとされ、後ろ足から前足へ麻痺が進行し、最終的に呼吸ができなくなり死に至る病です。後ろ足を擦って歩いたりもつれる、腰がふらつくなどの症状が出た場合は、この病気を疑います。
変形性関節炎
シニアの犬に多く見られる変形性関節炎は、関節の軟骨とその周りの組織が損傷し、痛みや腫れなどの症状が現れる病気です。進行すると関節が変形してしまいます。変形性関節炎を発症すると、散歩に行きたがらない、走らない、ジャンプしない、階段を嫌がる、歩きにくそうにする、足をかばうようにするなどの症状が現れます。はっきりとした原因は解明されていませんが、肥満、過度な運動などが関節に影響を与えると考えられています。
白内障
水晶体が白く濁り視力が低下する白内障は、加齢によって発症する以外に遺伝によるもの、また糖尿病などの病気によっても発症します。人間と違い、犬の白内障は加齢によるものよりも遺伝性による発症が多く、この場合は6歳になる前に発症します。白内障を発症すると、黒目が白く見えるのは水晶体が白く濁るためで、進行すると目が見えにくくなります。また、重症化すると緑内障やブドウ膜炎を併発することがあるため、早期発見治療が必要です。若年性の場合は、1週間程度で重症化することもあるため、若いうちから眼科検診を定期的に行うことがおすすめです。
コリーアイ(CEA)
ラフコリー、ボーダーコリーなどコリーと名がつく犬種に多く発症する目の遺伝疾患です。コリーアイは、眼底を包む脈絡膜に異常が起こり、網膜に酸素や栄養が補給できなくなる病気です。軽度の場合は、特に症状がありませんが、眼底出血や網膜剥離を起こすと重度の視力障害を発症することもある病気です。
健康寿命を延ばすための体重管理
北海道犬は、北海道という隔絶された地で他の犬種と交わることなく、アイヌの人々と共に暮らしてきた犬種です。そのため、北海道の気候風土にあう体質、大型の動物を相手にする獣猟犬として屈強な体と勇猛果敢な性質が現在まで受け継がれています。そんな北海道犬は、基本的には健康ですが、健康で1日でも長生きをしてもらうためには、日々の生活の中で注意しておきたい点があります。
好きな運動
狩猟犬として活躍してきた北海道犬は、飼い主から仕事を与えられることに喜びを感じる犬種です。また、アウトドアで体を動かすことが好きな犬種のため、キャンプやハイキング、登山をはじめ、ボールキャッチ、アジリティなどアクティブに遊んであげることがおすすめです。また、飼い主に忠実な北海道犬は競技会にも向いています。北海道犬の持つ運動能力が存分に発揮できる環境を整えてあげることで、彼らならではの能力を発揮してくれます。
ごはんの量
大型のヒグマやエゾ鹿を相手に立ち向かえる勇気と体力を持ち合わせている北海道犬は、筋肉質でしっかりとした体つきが特徴です。そんな筋肉質の体を維持するためには、高タンパク低脂肪のごはんがおすすめです。北海道犬に限らずどんな犬種でも、成長期、成犬、シニア期とライフステージごとに必要となる栄養量が異なります。また、活発な犬種であったため、運動量が少ない生活では肥満になりやすい体質のため、生活環境、運動量を考慮してごはんの量を決めることがおすすめです。
散歩の目安
北海道の広い大地で獲物を追う生活を送ってきた北海道犬は、運動欲求の高い犬種です。リードでの散歩は、最低でも1日2回1時間以上必要です。また、通常の散歩以外に思いっきり走れる環境を整え、彼らの運動欲求を満たす必要があります。運動不足は北海道犬にとって大きなストレスとなり、問題行動を起こす恐れがあるため注意が必要です。
適切な環境をつくり北海道犬に長生きしてもらおう
北海道犬は、リードの散歩では満足できない性質の犬種です。彼らにとって運動不足は、大きなストレスとなりまた肥満のリスクもあります。ストレスはどんな犬種にとっても万病の元。どんなに健康な体質でも、ストレスの多い生活では長生きすることができません。北海道犬が健康でいられるためにも、性質や体質に見合った生活環境を整えてあげることが大切です。
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この記事のライター
nao
「愛犬の気持ちを理解したい」「寄り添ったコミュニケーションを取りたい」という思いからドッグライターとして犬に関する知識を学び、発信しています。愛犬の笑顔を守るために、そして同じ思いを抱く飼い主さんのために、有益な情報を発信していけたらと思っています。